フルローンで不動産投資をするメリットは?組める人の特徴や実際の成功事例も紹介

最終更新日:2024年7月27日

フルローンとは、頭金を用意せずに物件を購入する方法です。
物件価格の全額を借り入れるため、自己資金をほとんど用意せずに不動産投資を行えます。

 

フルローンの不動産投資にはメリットがある一方で、デメリットや危険性も伴います。
自分に向いているかどうかを把握した上で、実行するか決めましょう。

 

こちらの記事では、フルローンで不動産投資を行うメリットやデメリット、意識すべきことを解説します。

 

目次

フルローンとは

 

フルローンとは、物件の購入価格を全額金融機関から借り入れる方法です。
フル(全額)でローン(融資)を受けるため、フルローンと呼ばれます。

 

不動産投資を行う際に、フルローンで融資を受ける方がいます。
フルローンなら、自己資金を投入せずに物件を購入できるため、少ない資金で不動産投資を行うことが可能です。

 

しかし、フルローンでは金融機関の審査が厳しくなりやすい傾向があります。
また、借入金額が大きいため金利負担も重くなるデメリットがあります。

 

フルローンで不動産投資を行う際には、キャッシュフロー管理をきちんと行うこと、自分のリスク許容度を考慮した上で慎重に判断することが大切です。

 

フルローンで不動産投資を行うメリット

20240727 2

フルローンで不動産投資を行うメリットは複数あります。

 

以下で、具体的なメリットについて解説します。

 

自己資金をほとんど用意せずに不動産投資を行える

 

フルローンなら、自己資金をほとんど用意せずに不動産投資を行えます。
手元に十分な投資資金がないものの、魅力的な投資物件を見つけた際にはフルローンが有力な選択肢となるでしょう。

 

不動産投資を始める際には、自己資金の用意がハードルの一つです。
一般的に用意すべき自己資金は物件価格の10〜20%程度といわれており、高価な物件になるほど用意すべき自己資金も増えます。
例えば、1億円の物件を購入する場合、通常は1,000万〜2,000万円程度の自己資金が必要です。

 

しかし、フルローンを利用すれば自己資金を用意する必要はありません。
数百万〜数千万円程度の自己資金を用意せず、不動産投資を行えます。

 

なお、登録免許税や印紙税、司法書士へ支払う報酬をはじめとした諸経費は自己資金として用意する必要があります。

 

レバレッジ効果を生かせる

 

フルローンだと、レバレッジ効果を生かした不動産投資を行えます。
レバレッジ(てこ)とは、少ない自己資金で大きな投資効果を狙う意味です。

 

レバレッジを効かせることで、高い投資収益率を狙えます。自己資金を用意せずに家賃収入や値上がり益による利益を得られるため、効率よく資産を増やせる期待が持てるでしょう。

 

ただし、レバレッジ効果はマイナスにも作用します。
つまり、マイナスが発生すると被る損失も大きくなってしまうため、リスク管理を適切に行うことが大切です。

 

自己資金を貯める必要がないため好きなタイミングで始められる

 

フルローンを利用すれば、自己資金を貯める必要がないため、好きなタイミングで不動産投資を始められます。
魅力的な投資物件を見つけたときに自己資金が不十分だったとしても不動産投資を始められる点は、フルローンのメリットです。

 

場合によっては、物件価格の10〜20%程度の自己資金を用意するのに時間がかかってしまうでしょう。
自己資金を用意している間に他の人に買われてしまえば、機会損失が生じてしまいます。

 

しかし、フルローンであれば自己資金は、契約に際して必要な費用のみ用意できれば物件を購入できます。
つまり、高額な自己資金を貯める必要がないのです。

 

自分にとって都合が良いタイミングで、魅力的な物件を見つけた際に素早く行動できる点は、フルローンで不動産投資を行うメリットです。

 

フルローンで不動産投資を行うデメリットと危険性

 

フルローンで不動産投資を始めると、自己資金を用意しなくてよいメリットがある一方で、いくつかデメリットも伴います。

 

以下で、フルローンで不動産投資を行うデメリットと危険性を解説します。

 

返済負担が重くなりキャッシュフローが悪化しやすい

 

フルローンで不動産投資を始めると、必然的に借入額が多くなります。
借入額が多いと支払う利息が増えるため、返済負担が重くなりキャッシュフローが悪化しやすくなります。

 

さらに、フルローンでは毎月の返済額が大きくなりやすい点もデメリットです。
一般的に、ローンの返済は物件から得られる賃料収入から行うため、返済負担が重くなると投資のキャッシュフローに悪影響を及ぼすでしょう。
その為、フルローンで購入する場合は、一定の利回りも同時に確保し、キャッシュフロー、つまり投資の手残りをきちんと確保する事も重要になります。

 

不動産投資は、安定的なインカムゲインを得つつ、ローン完済後にその物件の土地を資産として手に入れることを期待して行うものです。
しかし、キャッシュフローが悪化するとインカムゲインが得られず、また思うように物件を売却することができない状況になりかねません。

 

キャッシュフローの悪化は不動産投資のパフォーマンスに大きな影響を与えるため、フルローンで不動産投資をする場合は、同時に、利回りの良い物件である事も前提となる事は留意しましょう。

 

空室リスクに対して脆弱になる

 

フルローンを利用した不動産投資は、空室リスクに対して脆弱になりやすい点に注意が必要です。空室リスクとは、物件が空室となり賃料収入が得られなくなるリスクです。
不動産投資を行う際には、常につきまとうリスクといえるでしょう。

 

空室期間中は家賃収入を得られないため、家賃収入以外の給与収入や事業収入からローンを返済しなければなりません。
ローンの返済を家賃収入から充てるプランで不動産投資を始めた場合、空室が生じると返済が滞るリスクが高まるでしょう。

 

特に、フルローンの場合は物件購入価格の全額を借り入れているため、毎月の返済額が大きくなりがちです。
返済に当たって賃料収入への依存度が高いため、空室リスクを大きく感じやすいでしょう。

 

フルローンの不動産投資はキャッシュフローが悪化しやすいとお伝えしましたが、さらに空室が発生するとキャッシュフローはさらに圧迫されます。
そのため、不動産投資の際には空室リスクを最小限に抑えることが重要です。

 

物件そのものに魅力があっても、入居者の都合で空室が発生することがあります。
つまり、投資家がコントロールできない部分で空室が発生するため、空室リスクは無視すべきではありません。

 

その為、フルローンで購入する場合、

・前述した通り、利回りの良い物件を購入する事で利益を出す事、

に加え、

 ・空室対策のスキルを身に付け、安定経営を実現する事

が重要となります。

 

諸経費の借入は難しい

 

多くの金融機関では、フルローンを組む際に不動産投資に伴う諸経費は借入することは難しく、諸経費は自分で用意する必要があります。

 

具体的には、不動産会社へ支払う仲介手数料や登録免許税・不動産取得税などの税金は自分で用意する必要があります。諸経費は物件価格の3~10%程度になることが多いため、金額にすると数十万~数百万円になるでしょう。

 

そのため、購入したい物件を見つけたときに素早く購入できるように、最低でも諸経費は用意しておきましょう。

 

審査が厳しくなりやすい

 

不動産投資を行うに当たってフルローンを組む際には、金融機関の審査が厳しくなりやすいデメリットがあります。
借入額が大きいほど、お金を貸す金融機関からすると、回収できなくなるリスクを気にします。

 

つまり、フルローンは金融機関にとってリスクが大きい融資となるため、慎重な審査が行われるのです。
例えば、申込者本人に十分な返済能力があるかどうか、過去にローンやクレジットカードを利用した際に延滞や債務整理などのトラブルを起こしていないかがチェックされます。

 

他にも、購入する物件の収益性や将来的な価値も評価される点を押さえておきましょう。申込者が返済不能に陥ったときに備えて、金融機関は購入する物件に抵当権を設定します。実際に返済が滞ったとき、金融機関は物件を売却して融資したお金を回収するため、物件の価値も慎重に審査されるのです。

 

フルローンで融資を受ける際には、申込者本人の返済能力や信用能力だけでなく、物件も十分な価値を有している必要があります。いずれかが欠けてしまうと審査に通過できない可能性があるため、注意しましょう。

 

オーバーローンだと売却が困難になる可能性がある

 

オーバーローンとは、物件の価値よりも借入金のほうが大きい状態を指します。何らかの事情で購入した投資物件を売却したいと考えても、オーバーローンの状態だと売却できない点には注意が必要です。

 

例えば、1億円の物件をフルローンで購入し、数年後に「物件の価値が8,000万円・ローンの残債が9,000万円」になったとします。この場合、物件の価値よりもローンの残債が多いオーバーローンに該当します。

 

オーバーローンの状態だと、物件を売却しようとしても売却価格がローン残債を下回るため、売却代金だけでは借入金を完済できません。売却するためには差額分を自己資金で補填する必要がありますが、自己資金がなければ売却は不可能です。

 

オーバーローンの物件が売却できない理由は、一般的に抵当権が設定されている物件は購入されないためです。抵当権はローンを完済すれば抹消できますが、完済できない限り抵当権はいつまでも設定されます。

 

売却したいときに売却できないことで、必要なタイミングでの現金化ができず生活に悪影響が出てしまう恐れがあります。また、物件の価値が今後も下落すると考えられるケースでは、売却できないことで資産価値が下がり続けてしまう事態になりかねません。

ですが、投資家にとって、オーバーローンでの購入は魅力的です。手元資金を使わずに、資産と収益を拡大していける手段であるからです。

では、オーバーローンの売却で失敗しない為に意識するべき事は何でしょうか。

【購入時】相場よりも安い価格(高い利回り)で購入する

【売却時】相場よりも高く売却できる様、売却の工夫をする

 

この購入、売却の工夫が出来れば、オーバーローンを味方にする事も可能となります。

 

不動産投資でフルローンを組める人の特徴

20240727 3

フルローンで不動産投資を行うメリットとデメリットを紹介しましたが、フルローンを組むためにはそもそも金融機関の審査に通過しなければなりません。審査に通過する方の多くに共通して見られるのは、一定の要件をクリアしていることです。

 

以下で、不動産投資でフルローンを組める方の特徴を解説します。

 

高年収で信用力が高い

 

高年収で信用力が高い方は、不動産投資でフルローンを組める可能性があります。フルローンでは借り手の信用力が重要視されるため、返済能力が高く評価されやすい方ほど審査に通過しやすいでしょう。

 

高年収の方は、無理なく返済できる可能性が高いと金融機関は判断します。また、もし空室が発生しても給与収入から返済できる可能性が見込めるため、金融機関からすると資金が回収できなくなるリスクは小さいのです。

 

ローンやクレジットカードの利用状況が良好で信用情報に問題がなければ、金融機関の懸念を軽減できます。金融サービスの利用実績はローンの審査で重視されるため、金融機関に好印象を与える上で大切です。

 

担保にできる不動産を保有している

 

担保にできる不動産を保有している方も、フルローンでの審査に通過しやすいでしょう。購入する物件に加えて、保有している不動産を担保として供すれば、金融機関の資金回収のリスクを軽減できるためです。

 

追加で担保不動産を用意できれば、購入する投資物件の収益性が悪化したり物件の価値が下落したりして返済が滞ってしまう事態になっても、金融機関は安心できます。さらに、担保が多いほど融資限度額が増え、融資の金額を増やせるでしょう。

 

ただし、担保に供する不動産の価値が乏しい場合は、担保として認められないケースがあります。例えば、地方の土地や老朽化している建物などは価値が低いと評価されるでしょう。

 

不動産投資の実績がありすでに不動産投資で安定した利益を得ている

 

すでに不動産投資の実績があり、不動産投資で安定した利益を得ている方もフルローンの審査に通過しやすいでしょう。不動産投資の融資を受ける際には、借り手の不動産投資の実績を確認する金融機関があるためです。

 

すでに不動産投資で安定した利益を上げている方は、今後も不動産投資を通じて安定したリターンを得られる期待を持てるため、金融機関としても安心して融資できます。投資物件の選定や賃料設定などの、不動産投資に関わる知識を有しているため、新しくフルローンで投資を始めても成功する可能性が高いと評価されるでしょう。

 

さらに、すでに不動産投資で安定した利益を上げているということは、安定したキャッシュフローを有していることを意味します。潤沢なキャッシュフローはローンを返済する原資となるため、経済的な安定度も高いと評価される可能性が見込まれます。

 

不動産投資でフルローンを組むべきでない人の特徴

 

フルローンでの不動産投資にはリスクが伴うため、不動産投資に興味を持っている全ての方におすすめできる手法ではありません。

 

以下で、不動産投資でフルローンを組むべきでない方の特徴を解説します。

 

年収が低く保有している金融資産も少ない

 

年収が低く、保有している金融資産も少ない方にとってフルローンはリスクが大きすぎます。そもそも金融機関の審査に通過できない可能性が考えられますが、仮に審査に通過できたとしてもフルローンだと返済不能に陥るリスクが大きいでしょう。

 

年収が低い方は、空室リスクや金利上昇リスクに直面したとき、返済ができなくなる恐れがあります。家賃収入が途絶えたり、返済額が増加したりする状況の変化に脆弱なので、リスク耐性が低いと言わざるを得ません。

 

不動産投資には、空室リスクや金利上昇リスクの他にも、家賃下落リスクなどさまざまなリスクがあります。リスクが顕在化してキャッシュフローが悪化すると、自己資金や普段の収入だけでは返済が困難になる可能性が考えられるでしょう。

 

担保にできる不動産を有していない

 

ローンを組んで不動産投資を行う際には、購入する物件自体が担保となります。しかし、他に担保として供することができる不動産を有していない場合、フルローンを組むのが難しい可能性が考えられる点に注意が必要です。

 

フルローンは購入する物件の購入金額を全てローンで賄うため、借入額が多くなります。購入する物件以外の担保がなく、担保が不足していると金融機関は資金回収リスクが高いと判断し、融資を受けられない可能性が高くなるでしょう。

 

不動産投資の経験がない・乏しい

 

不動産投資の経験がない方や乏しい方は、フルローンでの不動産投資はリスクが大きいと言わざるを得ません。不動産投資には不動産に関する専門知識や物件を見定める判断力が求められるため、未経験者や初心者が安易に利益を出すのは難しいためです。

 

難易度が高い不動産投資を、フルローンというリスクが大きい形で行うのは危険です。思うような収入を得られず、空室リスクをはじめとしたリスクに直面したとき、パニックに陥ってしまうでしょう。

 

不動産投資のリスクを適切に管理するには、不動産市場の動向や物件の特性などに関する知識や不動産投資の経験が求められます。不動産投資の経験がない方や乏しい方は、顕在化したリスクに対応できず損失を被るリスクが大きいでしょう。

 

さらに、未経験者や初心者は優良な投資物件を選べず、物件選びの段階で判断を誤ってしまう可能性があります。物件選びの判断を誤ると、空室が長期化したり家賃が下落したりして収益性が悪化するため、安易にフルローンで不動産投資を始めるべきではありません。

 

不動産投資でフルローンを組む際に意識すべきこと

20240727 4

不動産投資でフルローンを組む際には、長期的に返済をするためにも意識すべきことがあります。

 

安易にフルローンを組んで不動産投資を行うと失敗に終わってしまう可能性があるため、注意しましょう。

 

安定経営が出来る物件を選ぶ

 

フルローンを利用した不動産投資を始める際、新築物件を選ぶ考え方があります。新築物件は物理的な劣化が少なく物件価値が維持されやすいため、担保として高く評価されるためです。

 

また、新築物件であれば長期的に物件価値を維持できる可能性が高く、空室リスクを抑制できます。同じ入居者が長く住んでくれる可能性が高く、退去しても空室期間が長期化する事態を抑えられるため、安定したキャッシュフローが期待できます。

 

設備が新しく快適性が高い新築物件は、入居者の関心を引きやすい強みがあります。不動産投資未経験者や初心者の方は、新築物件を選ぶのが無難といえるでしょう。

 

ただし、新築物件の場合は利回りの確保が重要です。利回りが確保できない場合は収支が苦しくなります。

 

利回りを優先して、中古物件をフルローンで購入する考え方もあります。中古物件の場合は、利回りは良いですが、空室・修繕等、安定した経営を行う為の工夫が必要になります。

 

懇意にしている金融機関で相談する

 

フルローンを利用した不動産投資を検討する際は、懇意にしている金融機関で相談するとよいでしょう。金融機関の中には長期的な取引関係を重視しているところがあり、懇意にしている金融機関であれば、借り手の信用力や資産状況をよく理解しています。

 

金融機関にとって、借り手は顧客です。懇意にしている金融機関でトラブルを起こしていなければ、融資限度額や返済期間などに関して有利な借り入れ条件を提示してくれる可能性があります。

 

金融機関と良好な関係を築けていれば、借り手の事情を理解した上で柔軟に対応してくれるかもしれません。必要に応じて、不動産投資に関するアドバイスや綿密な返済シミュレーションの作成をサポートしてくれるでしょう。

 

将来的には、金融機関が持つ不動産会社とのネットワークを活用して優良な投資物件を紹介してくれる可能性もあります。長期的に不動産投資を行う上で有益な情報を得られる可能性があるため、懇意にしている金融機関で相談してみてください。

 

提携融資を紹介できる不動産会社で相談する

 

懇意にしている金融機関がない場合は、提携融資を紹介できる不動産会社で相談するとよいでしょう。提携融資とは、不動産会社と金融機関が提携して取り扱っているローンです。

 

提携ローンは対象となる物件を購入するに用意されているローンで、不動産業者や物件に対する信用度に基づいている特徴があります。一般的なローンより借りやすく、低金利で借りられるケースもあります。

 

提携融資を紹介できる不動産会社は金融機関と良好な関係を築いているため、融資手続きをサポートしてくれるケースが一般的です。また、不動産会社を通じて融資を受けることで条件が有利になることもあるため、返済負担が重くなりがちなフルローンを利用する際には助かるでしょう。

 

ただし、金利タイプや期間など、提携融資の中には自分が希望する条件が用意されていないケースがあります。必ず不動産会社が提示する条件を把握し、問題がないか確認しましょう。

 

必ず返済シミュレーションを行う

 

フルローンを利用した不動産投資を行う際は、必ず返済シミュレーションを行うべきです。「いつまで返済するのか」「毎月いくら返済するのか」「総返済額はいくらになるのか」を確認しましょう。

 

具体的に期待できる家賃収入と、投資家として毎月(毎年)負担するコストを整理し、どの程度の利益が発生するのか具体的な数字に落とし込んでみてください。併せて、空室リスクや金利変動リスクが顕在化したときに、自分の資産状況で対応できるか知る上でも、返済シミュレーションは欠かせません。

 

特に、フルローンは長期の借り入れになるため、さまざまなリスクを考慮する必要があります。空室の発生や金利上昇をはじめとした悪いシナリオを織り込むことで、ある程度のリスクに備えられます。

 

フルローンの不動産投資では、物件から得られる収益が滞ると返済が滞ります。返済シミュレーションを行い、毎月(毎年)のキャッシュフローがマイナスになる可能性がある場合、当該物件への投資は慎重に判断する必要があるでしょう。

 

さらに、返済シミュレーションを行うことで、さまざまな借り入れ条件を比較検討できます。金利の種類(変動金利か固定金利)や返済期間など、複数のパターンでシミュレーションを行えば、自身の投資計画に最適な借り入れ条件を選択できるでしょう。

 

フルローンの不動産投資を成功させた人の事例

20240727 5

実際に、フルローンを利用して不動産投資を成功させた方の事例を紹介します。

 

Aさん(40歳会社員)は、会社員として安定した収入を得ており、将来に向けた資産形成を進める上で不動産投資を考えていました。Aさんは手元資金をある程度温存したいと考えていたため、日頃から取引のある銀行でフルローンでの融資を受けられるか相談します。

 

会社員として安定した収入があり、メインバンクとして利用していた銀行から信頼を得られたことで、フルローンの審査申し込みは無事に通過する見込みであることを確認します。

 

次に、投資物件を扱っている不動産会社で相談し、経験豊富な担当者から新築の優良物件を紹介してもらいました。Aさん自身が実際に物件まで足を運び、駅から徒歩5分の好立地であること、空室率が低いエリアであることを確認し購入を決意します。

 

物件の購入手続きを進めつつ、金融機関で融資の申し込みを行います。事前に相談していたこともあり、スムーズにフルローンで審査は通過できたようです。また、返済シミュレーションの作成を依頼し、キャッシュフローがマイナスになるリスクは小さいことを確認しました。

 

その後、一時的に空室が発生する期間がありつつも、大きな空室期間はなく安定した賃料収入を得られているようです。返済も着実に進んでおり、物件の価値も大きく下がっていないようです。

 

Aさんの場合、会社員として安定した収入を得ていたのも大きいですが、銀行での相談や物件の調査を入念に行ったことが成功の要因です。特にフルローンはリスクが大きい方法なので、綿密な情報収集とシミュレーションは欠かせません。

 

信頼できる金融機関と不動産会社を選び、適切なリスク管理と慎重な判断を行えば、フルローンの不動産投資を成功させることが可能です。フルローンはリスクが大きいからこそ、さまざまな点を慎重に判断することが重要といえます。

 

フルローンの不動産投資で失敗した人の事例

 

安易にフルローンを組んで不動産投資を行うと、失敗してしまうリスクが高まります。以下で、フルローンを利用して不動産投資を行ったものの、残念ながら失敗してしまった方の事例を紹介します。

 

会社員のBさんは「給与の他に、安定した不労所得を得たい」と考え、不動産投資に興味を持ちます。不動産投資の経験はなく、フルローンで借りれば手元資金を用意せずとも不動産投資を始められることを聞き、フルローンで不動産投資を始めます。

 

手元資金がなくても始められるとはいえ、借入額を抑えたいと考えたBさんは、安く購入できる地方都市の中古アパートを購入します。不動産投資を始めて序盤は順調に家賃収入を得ていましたが、物件の老朽化が進みやがて空室期間が目立つようになりました。

 

また、人口流出が止まらないエリアだったため、物件価値も下落してしまいます。その結果、ローンの返済が苦しくなってしまいました。

 

返済が難しくなったことで最終的に不動産は競売にかけられ、ローンの一部は返済できたものの、数千万円の負債が残る結果となりました。Bさんは自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれ、結果的にフルローンの不動産投資は失敗に終わります。

 

Bさんが不動産投資で失敗してしまった大きな要因は、不動産投資の経営上のリスクをきちんと理解できていなかった点が大きいです。

 

Bさんのように、フルローンを利用した後の、不動産投資の経営上のリスクに対する、対処方法を理解しないと、最終的に自己破産を迫られる事態になりかねません。レバレッジを効かせた投資は大きなリターンをもたらす可能性がある一方で、物件選びをおろそかにしたり、購入後の運営までしっかりと理解しないで購入してしまうと、大きな損失のリスクを伴う点に留意しましょう。

 

まとめ

 

フルローン・オーバーローンで不動産投資を始めると、手元資金を用意せずに不動産投資を行えます。また、レバレッジ効果を生かした投資を行うことで、大きなリターンを得られる可能性があります。

 

しかし、借り入れ金額が大きくなる分、返済負担が重くなる点に注意しましょう。
キャッシュフローが悪化することで、空室リスクや金利上昇リスクに対して脆弱になってしまう点も無視すべきではありません。

 

フルローン・オーバーローンで不動産投資を行うためには、キャッシュフローがしっかりと出る物件(価格が安い物件)を購入し、安定したキャッシュフローが得られるように運営すること(空室対策)が必要になります。また、売却する際には残債以上の価格で売却をすることが欠かせません。

従って、物件の買い方、安定した運営(貸し方、修繕の仕方)、高く売る方法、これらを体系的に理解したうえで、フルローン・オーバーローンで取り組むことを狙うことが投資家によっては重要です。

 

正しい物件の買い方、安定経営(貸し方、修繕の仕方)、高く売る方法、これらを体系的に学び、ノウハウを習得したうえで、不動産投資に取り組むことをおすすめします。

 

8d9d8f71aac3e9b7f5785481cdc0178e 1024x193

関連記事