不動産投資にかかる初期費用の目安は?初期費用の一覧から資金計画のポイントや費用を抑える節約術を解説

最終更新日:2024年4月9日

不動産投資を始めてみたいと考えている方にとって、問題となるのは初期費用ではないでしょうか。不動産投資を成功に近づけるためには、必要な初期費用を用意した上で、投資物件の収益性やリスクを比較することが必要です。

そこで本記事では、不動産投資にどのような初期費用がかかり、目安はどれくらいなのかについて解説します。あわせて、資金計画のポイントや初期費用を抑える方法も解説しますので、不動産投資を始めるかどうか迷っている方は、ぜひご覧ください。

不動産投資にかかる初期費用一覧

不動産投資を始める際にかかる初期費用には、いくつかの種類があります。ここでは、初期費用の内訳を紹介し、それぞれについて解説します。

不動産投資にかかる初期費用の内訳は以下の通りです。

  • 頭金
  • ローン事務手数料・保証料
  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 司法書士への報酬
  • 火災保険料・地震保険料
  • 固定資産税・都市計画税の精算

頭金

不動産投資ローンを利用して物件を購入する際に必要な自己資金です。個人の属性によって異なりますが、一般的に物件価格の10%〜20%とされています。

個人の属性が高い場合や、不動産投資の実績によっては頭金なしで、物件価格の全額を借りられる「フルローン」を利用できる可能性もあります。フルローンの場合、自己資金を抑えることは可能ですが、月々の返済額が大きくなることは考慮しなくてはいけません。

また、その他諸経費を事業費として全体含めて考えて、そこまで含めたオーバーローンが出る事もあります。

ローン事務手数料・保証料

不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合、ローンを組む金融機関に手数料の支払いが生じます。手数料には、借入額にかかわらず一定額を支払う「定額制」と、借入額に応じて支払い額が変動する「定率制」があります。

金融機関によっては、ローン保証料が発生することもあり、ローン金利に上乗せすることが一般的です。

ローン保証は、契約者が返済できなくなった場合に、保証会社が返済を肩代わりするシステムのことで、保証料は保証会社に支払います。

仲介手数料

物件を不動産業者からの仲介を受けて購入する際、不動産業者に支払う手数料が仲介手数料です。仲介手数料は法律によって上限が決められています。

仲介手数料は、売買契約が成立した場合のみ発生します。物件を紹介してもらっただけでは発生しません。また、不動産業者自身が売主となる場合も同様に、仲介手数料は発生しません。

不動産取得税

物件を購入すると、不動産取得税がかかります。税金額については、地方自治体から送付された納付通知書を参照して支払います。

不動産取得税の税率は原則として4%です。しかし、現在、住宅および土地については軽減税率が適用され、3%となっています。また、宅地や宅地と同じ扱いを受ける土地については課税標準額が2分の1になります。

本制度は本来、令和6年3月31日までの特例措置でしたが、「令和9年3月31日」まで延長が決定しました。

参照:国土交通省 令和6年度 国土交通省税制改正概要

印紙税

物件の購入や金融機関とのローン契約など、契約書等を交わす際に必要となるのが印紙税です。印紙税は契約書に記載された金額によって変化します。不動産投資では主に以下の金額を支払うことが多いようです。

  • 1千万円超〜5000万円以下・・・2万円(軽減税率適用で1万円)
  • 5000万円超 〜 1億円以下・・・6万円(軽減税率適用で3万円)
  • 1億円以上 〜 5億円以下・・・10万円(軽減税率適用で6万円)

※令和6年3月31日までは軽減税率が適用されます

詳しくは、国税庁の「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」を確認ください。

登録免許税

不動産投資で購入した物件の所有権や、金融機関が設定する抵当権(土地・建物に対する担保権)の登記をする際に必要なのが登録免許税です。

登録免許税は「課税標準額×税率」で算出されます。課税標準額とは、物件の購入額ではなく、行政によって定められた「固定資産税評価額」のことです。固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書等で確認できます。税率については以下のとおりです。

  • 土地を購入する際の所有権移転登記    …0%(令和8年3月31日まで1.5%)
  • 新築建物を購入する際の所有権保存登記  …4%
  • 中古建物を購入する際の所有権移転登記  …0%
  • 融資を受ける際の抵当権設定登記     …4%

司法書士への報酬

上述のとおり、物件を購入した際には登記手続きを行う必要があります。登記手続きは自分でもできますが、さまざまな書類の用意や専門的な知識も必要となります。そのため、登記の専門家である司法書士に依頼することが確実で安心です。

報酬額は司法書士事務所によって異なりますが、登記費用などの実費を合わせて10万円〜20万円が相場とされています。

火災保険料・地震保険料

投資物件を運用していく中で、懸念されるリスクのひとつとして挙げられるのが、火災や地震などの自然災害による建物の破損です。最悪の場合は、資産を失ってしまうことも考えられますので、そのような事態を防ぐためにも火災保険や地震保険に加入しましょう。

保険への加入は任意とされていますが、金融機関によっては担保である物件を守るために、火災保険への加入を条件としている場合もあるようです。ローンを組む際には、金融機関に確認するようにしましょう。

固定資産税・都市計画税の精算

物件を購入した時期によっては、売主が既に支払った固定資産税・都市計画税などを精算することがあります。

固定資産税や都市計画税などは、一般的に料金の発生日や起算日を基準として日割り計算で金額を算出します。

これらの料金は購入した物件によって変動するため、明確に金額を出すことはできませんので、どのタイミングで契約するとどれくらいの金額がかかるのかをシミュレーションしておくと良いでしょう。

初心者が不動産投資を始めるための初期費用の目安

不動産投資を始める際に必要な初期費用は、購入する物件によって異なります。また、融資を受ける際、頭金を多めに用意しておくか、フルローンで始めるのかによっても差が生じます。

このように、初期費用の内訳がはっきりと分からないため、不動産投資をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。

ここで、結論を述べさせていただくと、不動産投資を始めるにあたり用意しておくと良い初期費用の目安は、「購入額の20%〜30%」程度です。

具体的には、1000万円の投資用物件を購入しようと考えている場合には、200万〜300万円を用意しておきましょう。もし、フルローンが出た場合はここまで資金が減る事は無いのですが、必ずフルローンが出る前提で計画を練っても、必ずしもフルローンが出る訳ではない為です。

ただし、あくまでも目安ですので、実際に不動産投資を始める際には、しっかりとしたシミュレーションをしておくことをおすすめします。

不動産投資で押さえておくべき資金計画のポイント

不動産投資を始める際には、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。余裕を持って資金計画を立てることで、運用中に発生し得るリスクや突発的な出費にも対応することが可能です。

では、資金計画を立てる際のポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。まず、真っ先にしておくと良いのが、家計の収支の把握です。これから発生すると考えられるライフイベントを洗い出し、将来を見据えながら計画を立てる必要があります。

そして、最も重要なポイントが自己資金と借入額のバランスです。不動産投資は、ほとんどの方が不動産投資ローンを組んで始めることになります。当然のことながら、借入額が大きければ大きいほど、毎月の返済額は大きくなり、収益が低くなります。不動産投資では、返済負担を抑えながら自己資金の投入しすぎないようにすることで、成功に近づけるとされています。

その他にも、借入期間を短くすることや、繰上げ返済を見据えることで返済負担を減らし、収益性を向上させることも重要です。

不動産投資では、家計の収支を把握し、自己資金と借入額のバランスを考えて資金計画を立てるようにしましょう。

不動産投資の初期費用を抑える3つの方法

不動産投資を始めるなら、できる限り初期費用を抑えたいと考える方もおられるでしょう。そこで、ここからは不動産投資にかかる初期費用を抑える方法を解説します。

頭金を抑える

初期費用の中でも、大きな割合を占めるのが頭金です。物件購入額の10%〜20%が目安となりますので、初期費用の半分近くを占めると考えられます。

上述のとおり、不動産投資ローンは頭金を入れずに購入額の全額を融資してもらう「フルローン」を利用することも可能です。融資条件は厳しくなりますが、フルローンで融資してもらえれば、初期費用として頭金を考える必要がなくなります。

ただし、フルローンで投資用物件を購入した場合、毎月の返済額が大きくなるので注意が必要です。

不動産会社が売主の物件を探す

投資用物件を購入するには、不動産仲介業者を通じて購入する方法と不動産会社から直接購入する方法があります。

不動産会社から直接購入すると、不動産仲介業者に支払う仲介手数料がかからないため、初期費用を抑えることが可能です。

また、不動産会社の場合、ポータルサイトには掲載していないような非公開物件を紹介してもらえることもあります。非公開物件は優良物件も多いため、掘り出し物件を購入できる可能性もあります。

ただし、不動産会社が売主の物件は、不動産会社が売買価格を決めるため、仲介よりも高額になるかもしれません。初期費用を抑えたいからといって、仲介手数料だけに注目して物件を選ぶのはやめておくようにしましょう。

不動産投資を開始した後にかかる費用

不動産投資においては、初期費用だけ用意しておけば良いというわけではありません。不動産投資を始めて、運用を開始した後にも費用が発生する点に注意しておきましょう。

例えば、物件の修繕費や入居者が退去したときの原状回復費、入居付けのための宣伝広告費などが挙げられます。また、固定資産税や都市計画税も発生します。

初期費用を何とかまかなえたとしても、そこで自己資金が尽きてしまうと、上述のような費用が発生した際に対応ができません。資金計画のポイントでもお伝えしましたが、不動産投資を始めようと考えた場合、自己資金に余裕を持たせることが重要です。

まとめ

不動産投資を始める際には初期費用が必要です。その内訳はさまざまなものがあるため、高額になると考えている方も多いと思われます。

実際に必要となる初期費用は、物件価格の20%〜30%であり、頭金を含めない場合には8%〜10%が相場です。「意外と始められるかも」と思い直された方もおられるのではないでしょうか。

また、ここでポイントとしては、頭金を含めない、つまりフルローンを狙っていけるかどうかです。これによって、買い進めのスピードが大きく左右されます。

この様な資金計画をしっかりと立て、初期費用を抑える方法を理解しておくことで、さらに不動産投資を始めやすくなる環境が整うはずです。この機会に、不動産投資を真剣に考えてみるのはいかがでしょうか。

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