不動産投資の返済比率とは?目安や安全性を確保する方法

最終更新日:2024年4月4日
  • 返済比率はどれくらいが安全なのかわからない
  • 不動産投資を安全におこなうにはどうすればいいのか
  • 返済比率は低い方がいいのか?メリットはあるのか?

不動産投資は銀行から融資を受けて始める人が多いですが、家賃収入と返済額によって不動産投資の安全性が変化します。

この割合が返済比率ですが、これを理解しないまま動産投資をしてしまうと赤字にない大損する可能性があります。

本記事では、不動産投資の返済比率がなにかわからない、目安を知って安全に運用するにはどうすればいいかを解説します。

この記事でわかること

  • 返済比率とは
  • 返済比率の目安について
  • 返済比率見直しのタイミング

不動産投資に欠かせない返済比率とは

不動産投資をする際に、忘れてはいけないのが返済比率です。

家賃収入に対して、受けた融資の返済額がどれだけかを示すもので、これを理解しておかないと不動産投資を成功させられません。

この返済比率が高ければ高いほど、投資における安全性が低くなります。

家賃収入に占める融資返済の割合が多いのは、家賃が入ったとしてもそのほとんどがローンの支払いに消え、空室や修繕が少し発生するだけでキャッシュフローが赤字になることを意味するからです。

返済比率が低ければ低いほど、投資における安全性は高いといえます。

返済比率の計算方法

返済比率は、以下の計算式で算出できます。

「不動産投資用ローンの毎月の計算額」÷「満室時の家賃収入」=返済比率(%)

賃貸を満室で経営していると仮定し計算されますから、誤差がでることも頭にいれておかなければなりません。

物件を購入するまでは、金利や返済期間も決定していないため、予測していた賃料よりも下がる可能性もあります。

返済金額は、融資を受ける金融機関の返済シミュレーターでおおよその金額がわかります。

空き部屋が出る可能性や賃料が下がることを想定し、計算しておきましょう。

返済比率の目安と適切な割合

不動産投資で失敗しないためには、返済比率の目安と適切な割合を知っておく必要があります。

家賃収入から支払うものは、ローンの返済だけではなく、経費なども差し引かれていきます。

その他にローンがある場合、すべてを合わせて返済比率が60%程度になるようにしておきましょう。

理想的な返済比率は50%

手元に残るお金が少ないと、安定した経営をしにくくなります。

あまりに低くし過ぎてしまうと、返済期間が長期化し負担も大きくなります。

投資用の融資のみであれば、50%程度が理想な割合です。

実際に運用を始めると、空き部屋が出てしまい満室にならないケースもあるでしょう。

経費の割合は20%、空室による収入の減少は、10%〜15%程度を想定します。

返済比率が低ければ、資産を増やしながら安定した不動産経営ができるため、資金を残せるのがポイントです。

資金が残れば、修繕やリフォームで居住者を増やすこともできますし、万が一家賃収入が減っても負担を最小限に抑えられます。

返済比率を低くすることで得られるメリット

返済比率は低いほうが、不動産投資を安全に行えますが、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

ここでは、返済比率を低くすることで得られるメリットを説明します。

キャッシュフローに余裕が出る

返済比率が低ければ、家賃収入から返済する金額が少なくなるため、将来的な修繕費用などのために貯蓄ができます。

想定外のトラブルは、何が原因で起こるかわからないため、余裕があるときにコツコツと貯蓄しておく必要があります。

返済比率をできるだけ低くし、安全な運用を継続しましょう。

空室が出ても安心

空き部屋が長いと、家賃を下げて入居者を募集するケースがあります。

たしかに家賃を下げれば、一時的に部屋は埋まりますが、下げた家賃を上げられなくなります。

また、すでに入居している人たちについても家賃を引き下げることになりますから、キャッシュフローに余裕がなくなる悪循環です。

不動産投資を継続するためには、無理に入居者を募集するよりも、入居者が増える春や秋まで待つことも大切です。

返済比率を低くしキャッシュフローに余裕が出れば、経営的だけでなく投資する気持ちに余裕ができます。

返済比率が高いと受けるデメリット

返済比率が低いと安定した不動産投資ができますが、高いとリスクも同時に受けてしまいます。

ここからは、返済比率が高いと、受けてしまうデメリットについて詳しく説明します。

急な出費に対応できない

不安定な不動産は、空き室対策や修繕などによる急な出費に対応ができません。

物件が新しくても、経年劣化や震災によって修繕や細かい補修が必要になるケースもあります。

現状維持や回復だけでなく、入居者の出入りに合わせたクリーニングも必要です。

いつ、なにがあって急な経費が必要になるかはわかりませんし、キャッシュフローが悪化すれば急な出費に対応できなくなります。

天災での被害内容によっては、火災保険などが適用されるケースもありますが、すべてとは限りません。

また、保険金の受け取りは後日になるため、前もって費用が必要です。

長期間の空室に対応できなくなる

どんな物件でも時期によっては、一時的に空室が続いたり入居者が決まらなかったりします。

できるだけ早く対策して、満室になるまで期間が空いてしまえば家賃収入は減少しキャッシュフローも悪化するでしょう。

空き部屋対策のためにリフォームを検討する場合には、自己資金を使う費用も出てきます。

返済比率が低ければ問題はありませんが、高い状態で家賃収入も減ってしまうと、不動産投資の継続も困難になります。

金利上昇に備えられない

不動産投資ローンには金利上昇リスクがありますが、近年は低金利が続き変動金利による恩恵が受けています。

しかしながら、景気の変動で急上昇しないとは言えません。

全期間固定金利よりも、変動金利ローンは低く設定されていますが、返済比率を高く設定すると、金利が上昇した時に備えられません。

返済比率を下げるための有効な方法

返済比率を下げるには、融資金額に対してできるだけ金利を低くする、返済額のバランスを考えることです。

ここからは、返済比率を下げるための有効な方法を説明します。

自己資金を使う

融資額を少なくすれば、返済比率を下げられます。

そのためには、自己資金を貯めて頭金として使うのがおすすめです。

最初から融資だけで不動産投資を始めるのではなく、自己資金をある程度貯えてから始めます。

投資は、いつなにが起こるかわかりません。

リスクを回避するためには、自己資金を投資するだけでなく、運用後の備えとしておきましょう。

融資金額を少なくすれば、必然的に返済比率を下げられます。

繰り上げ返済をする

どのようなローンも繰り上げ返済すれば、残債を早く減らせます。

返済額軽減型を選択すれば、返済期間はそのままで月々の返済額が少なくなるため返済比率を下げることが可能です。

返済期間を長めに設定しても返済比率を下げられますが、投資物件によっては返済期間を長く設定できません。

金利の引き下げ交渉

返済期間を見直す場合には、金融機関に相談し金利交渉するか、借り換えを検討するなども方法です。

金利が下がれば、返済額も少なくなるため返済比率を下げられます。

金融機関に交渉し金利を引き下げてもらうためには、条件があるため確認しなければなりません。

融資は信頼関係によって結ばれるため、金利交渉も経営者で金融資産額が多かったり、地元の金融機関と取引があったりしたほうが有利です。

不動産投資のために購入する物件を紹介した、不動産会社が提携している金融機関で融資を

受けると低い金利になるケースもあります。

諸費用を抑える

物件購入時に必要な諸経費も融資で支払いはできますが、その分

返済比率が高くなります。

仲介手数料を削れば、融資金額を減らせますから、できるだけ諸経費が必要ない物件を選んでください。

返済比率の見直しのタイミングとは

返済比率の見直しはいつでもできますが、条件があるため事前にチェックしてください。

ここからは、見直しのタイミングについて説明します。

条件の良い金融機関見つけた

金利が低いローンを組めば、返済比率は低くなります。

借り換えをおこなうと特典が得られたり、低金利のキャンペーンがおこなわれたりしている金融機関があります。

借り換えするなら、このようなタイミングを逃さないことです。

支払いの負担を減らせば、現在の金融機関と比較し検討できますし、うまく借り換えできれば負担を減らせます。

時期によっては、複数の金融機関でキャンペーンがおこなわれるため、好条件であればシミュレーションをおこなって見直しをしましょう。

金利が高くなってしまった

融資を申し込んだ当時は優遇期間で金利が安かったのに、数年後には上昇し気がつかないまま支払いを続けているケースがあります。

定期的に返済額をチェックしないと、金利が高くなることで支払い総額が増加するため要注意です。

金利の見直しは、金融機関との話し合いの他に、他行への借り換えをおこなうと、経済的負担を軽減できます。

借り換え前後の金利差が1%以上であれば、返済比率を低下させられる可能性もあるでしょう。

まとめ

返済比率が低くなれば、毎月のキャッシュフローが安定し資産の運用も良くなります。

余裕があれば貯蓄もできますし、新しい投資に利用する場合もできるでしょう。

健全な不動産投資を継続するためには、適切な返済比率を決めて運用する点です。

自分では適切な返済比率を決められない、上手く引き下げができない場合は、信頼できる不動産のプロに相談してください。

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