不動産投資ローンの繰り上げ返済とは?メリット・デメリットや注意点を解説

最終更新日:2024年5月8日
  • 不動産投資ローンは繰り上げ返済したほうが良い?
  • 不動産投資ローンを繰り上げ返済するメリット・デメリットは?
  • 不動産投資ローンを繰り上げ返済する際は何に注意すべき?

この記事では、不動産投資ローンの繰り上げ返済に関して知りたい方に向けて、不動産投資ローンの繰り上げ返済とは何かについて解説します。

また、繰り上げ返済するメリットとデメリット、繰り上げ返済する際の注意点やポイントについてもご説明しますので、参考にしてください。

この記事でわかること

  • 不動産投資ローンの繰り上げ返済とは何か
  • 不動産投資ローンで繰り上げ返済するメリット・デメリット
  • 不動産投資ローンを繰り上げ返済する際の注意点とポイント

不動産投資ローンの繰り上げ返済とは?

不動産投資ローンも、繰り上げ返済が可能です。

毎月の支払いとは別にローンの一部を返済するため、計画よりも早く元金を減らせます。

繰り上げ返済にはメリットだけでなく、デメリットも存在するため注意が必要です。

繰り上げ返済の特徴を把握したうえで、投資状況や目的などに応じて適切に判断しましょう。

繰り上げ返済には大きく分けて、以下の2通りの方法があります。

  • 返済期間短縮型
  • 返済額軽減型

返済期間短縮型

返済期間短縮型とは、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する繰り上げ返済方法です。

繰り上げ返済によって元金が減った分だけ返済期間が短くなるため、当初の予定よりも早くローンの完済が可能となります。

毎月の返済負担は変化しませんが、返済期間が短くなった分だけ利息の支払総額を減らせる点や、金利変動リスクを軽減できる点が魅力です。

返済額軽減型

返済額軽減型とは、返済期間を変えず月々の返済額を軽減する繰り上げ返済方法です。

繰り上げ返済によって元金が減った分だけ毎月の返済負担が減るため、手元の資金を増やしキャッシュフローを改善する効果が見込めます。

一方で返済期間は変わらないため、返済期間短縮型と比べると利息の総額を減らす効果が薄くなる点がデメリットです。

追加で物件を購入したい場合など、手元の資金の余裕を作りたい場合に効果が見込めます。

不動産投資ローンで繰り上げ返済するメリット

不動産投資ローンで繰り上げ返済をうまく活用できれば、以下のようなメリットが見込めます。

  • 支払い利息の総額を減らせる
  • 頭金よりも自己資金の調整がしやすい
  • 金利変動のリスクを軽減できる
  • 返済による精神的な負担を軽減できる

繰り上げ返済を上手に活用するためにも、どのようなメリットがあるのか把握しておきましょう。

支払い利息の総額を減らせる

毎月の返済額の内訳は、元本の返済と、元本にかかる利息の返済に分けられます。

毎月の返済に加えて繰り上げ返済をおこなうと、元本のみを効率的に減らせるため、元本にかかる利息が減り、ローンの返済総額が少なくなります。

返済額軽減型でも利息は軽減されますが、返済期間短縮型のほうが効果が大きいです。

ローンの返済総額を減らしたい場合は、返済期間短縮型を選択したほうが良いでしょう。

頭金よりも自己資金の調整がしやすい

ローンの返済額を減らす方法としては、繰り上げ返済以外にも、頭金を多めに用意する方法があります。

頭金は物件購入時に現金を収める必要があるため、購入後に残る自己資金が少なくなってしまいます。

その点、繰り上げ返済は任意のタイミングでおこなえるため、自己資金の余裕を見ながら無理のない支払いが可能です。

頭金と比べて自己資金も手元に多く残るので、物件の修繕などの突発的なリスクに対応しやすくなるほか、将来の追加投資のための資金としても活用しやすくなるでしょう。

金利変動のリスクを軽減できる

変動金利のローンを利用していた場合、返済期間中に金利が上昇する可能性があります。

金利が上昇した時点のローン残高が多いほど利息額が多くなりますが、繰り上げ返済を活用して元金を減らしておけば、利息額の増加が抑えられ、リスクの軽減が可能です。

繰り上げ返済によって返済期間を短くすれば、金利が上がる前に返済を終えられる可能性も高まります。

金利変動のリスクを抑え、安定した不動産投資を目指す場合に効果的です。

返済による精神的な負担を軽減できる

ローン返済は長期間に渡り、その期間中にはさまざまなリスクが存在し、不測の事態が発生するおそれもあります。

繰り上げ返済を上手に活用すれば通常よりも元金を早く減らせるため、返済期間の短縮や月々の支払い金額の軽減などが可能となり、返済に関する負担を軽くできます。

返済負担が減れば手元に残る自己資金もその分だけ増え、返済期間が短くなれば返済そのものの心理的負担も和らぐでしょう。

これにより、安心して不動産投資に取り組みやすくなります。

不動産投資ローンで繰り上げ返済するデメリット

不動産投資ローンの繰り上げ返済には、以下のようなデメリットも存在します。

  • 自己資金が減る
  • 手数料が必要になる場合がある
  • レバレッジ効果が小さくなる

メリットばかりに目を向けるのではなく、これらのデメリットも含めて繰り上げ返済の実施を検討、判断すれば、より適切に活用しやすくなるでしょう。

自己資金が減る

繰り上げ返済に充てるのは、物件の修繕や新たな投資用の資金として備えておくべき自己資金です。

不動産投資では急な物件の修繕など、不測の事態が発生するおそれがありますが、自己資金を繰り上げ返済に使用してしまう場合、そういった突発的な問題に対応するのが難しくなるかもしれません。

また新たな投資の機会が訪れても、十分な自己資金が手元にないために、せっかくのチャンスを逃してしまうおそれもあります。

不動産投資ではさまざまな可能性に備え、ある程度の自己資金を残しておくのが大切です。

十分な自己資金が確保できている場合に、繰り上げ返済を検討するのが良いでしょう。

手数料が必要になる場合がある

金融機関によっては、繰り上げ返済をおこなう際に手数料が発生する場合があります。

具体的な手数料は金融機関や商品によって異なり、1回につき数千円の場合もあれば、返済金額の数%、あるいは元金の数%など、さまざまです。

特に元金によって手数料が求められる場合、たとえ1%だったとしても、元金が1,000万円であれば1回の手数料は10万円と、元金次第で高額になりかねません。

仮に1回1回は小さな金額だったとしても、繰り上げ返済を繰り返せば小さくない負担になる可能性があるため、注意が必要です。

繰り上げ返済を検討する際は、手数料の有無や金額についても確認しておきましょう。

レバレッジ効果が小さくなる

レバレッジ効果とは、少ない自己資金によって大きな利益がもたらされる効果を意味する言葉です。

たとえば不動産投資ローンを利用した自己資金以上の投資は、レバレッジ効果を高めます。

レバレッジ効果は特に、高い利回りを期待できる物件に投資する場合に効果を発揮します。

たとえば5%の利回りが期待できる物件に1,000万円の自己資金を投資する場合、得られる利益は50万円です。

そこで1,000万円を頭金として2,000万円を借り入れ、合計3,000万円を投資すれば、1,000万円の自己資金に対して得られる利益が、3倍の150万円に増加します。

これがレバレッジ効果です。

しかしこの状態で100万円の繰り上げ返済をおこった場合、3,000万円の投資に占める自己資金が、1,100万円に増加してしまいます。

投資金額が100万円増えても利益は増えず、繰り上げ返済をした分だけ損になってしまうのです。

このように繰り上げ返済をする際には、レバレッジ効果についても検討する必要があります。

特に金利が低い場合は、繰り上げ返済自体の利息軽減効果も低くなるため、注意が必要です。

不動産投資ローンで繰り上げ返済をおこなう際のポイントと注意点

デメリットを十分に考慮せず、メリットだけに注目して不用意に繰り上げ返済をおこなってしまうと、かえって損をしてしまいかねません。

ここからは、不動産投資ローンで繰り上げ返済をおこなう際のポイントや注意点について解説します。

余剰資金を使い切らない

繰り上げ返済には、利息の軽減や返済期間の短縮など、さまざまなメリットがあります。

とはいえ手元の自己資金に余裕がない場合、無理に繰り上げ返済をする必要はありません。

将来の新たな投資機会への対応や、不測の事態への備えとして、一定の資金を確保しておくのが大切です。

具体的には、以下のような資金が必要になる可能性があります。

  • 建物自体や設備に問題が生じた場合の修繕費
  • 空室の発生による原状回復費
  • リフォーム費用
  • 新たな入居者を見るけるための費用

繰り上げ返済については、一定の資金を確保したうえで余剰が発生した場合に検討する程度でも十分ですし、繰り上げ返済よりも新たな投資を優先したほうが効果的な場合もあるでしょう。

不動産投資の目的も念頭に置いたうえで、繰り上げ返済の優先度を検討するのがポイントです。

金利が低いと繰り上げ返済の効果が薄くなる

金利が低い場合、支払う利息の総額は少なくなります。

その状態で繰り上げ返済をしても、金利が高い場合に比べて軽減できる利息は少なく、効果が薄くなります。

たとえば金利1%で1,000万円を10年で返済する場合、100万円の繰り上げ返済での利息軽減額は、元金均等返済方式で約5万円です。

しかし同条件で金利5%とした場合、繰り上げ返済での利息軽減額は、約25万円となります。

このように、繰り上げ返済による利息軽減効果は、金利が高いほど高まります。

そのため基本的には、金利が高い場合に繰り上げ返済を検討するのが効果的です。

追加で物件を購入したほうが利益が見込める場合もある

繰り上げ返済がおこなえるだけの資金が手元にある場合、追加で物件を購入したほうが、利益を見込めるケースがあります。

たとえば金利が低い場合の繰り上げ返済は効果が薄いため、その分の資金を頭金として物件を追加して家賃収入を増やしたほうが、トータルとして利益が大きくなるかもしれません。

複数の物件に対する分散投資になるため、もしもの際のリスク軽減にもつながります。

繰り上げ返済の効果的な活用法

繰り上げ返済にはメリットとデメリットが存在しますが、具体的にどのように活用するのが効果的なのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、繰り上げ返済の効果的な活用法について解説します。

繰り上げ返済は早いほうが効果が大きい

繰り上げ返済による利息軽減効果を意識する場合、元金の残高が多い段階で繰り上げ返済を始めたほうが、効果が大きくなります。

これ以上物件を増やす予定がなく、長期的に運用する前提の場合、早い段階で繰り上げ返済を始めて、返済総額を減らすのも効果的です。

不動産投資の目的やライフプランが合致する場合は、積極的な繰り上げ返済によって、不動産投資の収益性を高められるでしょう。

金利の高いローンを優先的に返済する

複数の不動産投資ローンを抱えている場合、より金利の高いローンで繰り上げ返済したほうが、節約できる利息の額が大きくなります。

余剰資金に注意しつつ、少額からでも無理のない範囲で繰り上げ返済を続けて、不動産投資全体の利益率を高めていきましょう。

まとめ

不動産投資ローンの繰り上げ返済には、返済期間を短くする返済期間短縮型と、毎月の返済額を減らす返済額軽減型の2種類があります。

支払い利息の総額を軽減するメリットがある一方、レバレッジ効果が少なくなる点などがデメリットです。

繰り上げ返済をする際は、余剰資金やローンの金利なども含めて検討しましょう。

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