不動産はいつ売却すべき?投資を始める前に決める3つの判断基準と注意点を解説!
不動産は築年数が経過すると家賃下落や値崩れが生じるため、投資する前に売却タイミングを検討しておかなければいけません。収益が出ているからといっていつまでも保有していると、修繕費が嵩み、築古によって売却したくても買い手が見つからない可能性も高まります。とはいえ不動産投資初心者の方にとってはいつ売却すればよいかわからないでしょう。そこで、本記事では不動産を売却する判断基準を3つ紹介します。重ねて売却時の注意点も解説するため、これから不動産投資を始める方は、物件の購入前に理解しておきましょう。
目次
不動産投資、売却タイミング
不動産投資を始める際に、投資物件の売却タイミングを考慮しておく必要があります。売却タイミングを逃すと老朽化したままの不動産を所有することになり、以下のようなリスクが伴います。
- 売却したくても買い手が見つからない売れ残り物件となる
- 築古によって新たな入居者が確保できないままとなる
- 莫大なリフォーム費用が発生する
築古になるにつれて、買い手側からの魅力が低くなることから売れ残り物件になる可能性が高くなります。さらに築浅や新築物件を好む方が多い日本では、老朽化した物件の人気が低く、入居者を確保できず家賃収入も減少してしまうことでしょう。では具体的にどのタイミングで売却すればよいのでしょうか。次の項では売却タイミングについて紹介します。
判断基準
不動産を売却するかの判断基準はさまざまな要素から検討しますが、一般的には以下の4つの基準があります。
5年以上所有した場合
不動産を5年以上所有した場合は一つの売却タイミングです。不動産は売却した際に利益が発生した場合は譲渡所得税の課税対象となり、所有期間5年を境に税率が異なります。
短期譲渡所得税率(所有期間5年未満) |
39.63% |
長期譲渡所得税率(所有期間5年以上) |
20.315% |
譲渡所得税は以下の計算式で算出し、最後に税率を掛けた値を納税します。
課税長期譲渡所得金額 = 売却金額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額 税額=課税長期譲渡所得金額×税率 |
所有期間が長期譲渡であれば、税率が約半分になるため、納税額を抑えることができます。ただし、5年未満であるからといって100%納税するということではありません。取得費と譲渡費用の合算値が売却金額を超えていれば非課税となります。そのため5年は一つの目安とし、税理士などの専門家に計算してから売却しましょう。
残債から逆算する
金融機関から借入して投資した場合、残債から逆算して売却するのも一つの方法です。例えば投資した不動産が築15年になったタイミングで残債が3,000万円となるシミュレーションが出来た場合、税金などの加味して売却利益も3,000万円と見込まれるのであれば、完済することができ、所有期間の家賃収入分がプラスの利益であったと判断することができます。残債から逆算する方法は、事前に見込まれる利益を考慮するため、損失が出にくいというメリットがあります。
築年数から決める
投資物件の築年数から逆算する方法です。物件にもよりますが、築20年や30年となると、所得の経費に計上できる減価償却期間が短くなるため、投資家にとっては魅力が低い物件となります。減価償却は建物の構造によって償却できる期間が以下の表の通り定められており、期間が切れたものは経費計上できないため、節税効果がなくなります。
木造 |
軽量鉄骨造 |
重量鉄骨造 |
鉄筋コンクリート造 |
|
法定耐用年数 |
22年 |
19年 |
34年 |
47年 |
ただし、中古物件の場合は以下の計算式で耐用年数が計算され、減価償却することが可能となります。
取得時の耐用年数=(新築時の耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2 |
例えば築20年の木造アパートを購入した場合、「取得時の耐用年数=(22年-20年)+ 20年×0.2=6年(6.4)」と計算できます。新築時から保有し、築20年が経った場合は残りの減価償却期間は2年となりますが、中古の木造アパートの購入であればさらに4年分減価償却期間が延長できます。とはいえ2年余りの償却期間の延長では大きな魅力がなく、10年や15年を目途に投資物件を探している方も多いため、ある程度の築年数になったら売却するという判断をしている方もいらっしゃいます。
施設の撤退
近隣施設の撤退があると分かった時点で売却するのも一つの方法です。例えば学生をターゲットとしている不動産であれば、大学が移転すると分かった段階で手放した方が良いでしょう。また大手企業の工場の撤退や大型商業施設の閉鎖なども同様です。不動産投資は需要がなければ入居者を確保できず、収入が低下してしまいます。そのため確かな撤退や移設の情報を入手した段階で売却するのも一つの判断基準です。
売却時の注意点
最後に売却タイミングを決断するための注意点を3つ紹介します。
手残り金額を計算する
売却時には以下の項目の費用が発生するため、事前に手残り金額を計算したうえで売却価格を決めましょう。
必要な費用 |
費用の内容 |
費用の計算方法 |
仲介手数料 |
不動産会社に支払う手数料 |
(売却価格+3%+6万円)×消費税 |
契約印紙代金 |
売買契約書に添付する印紙 |
数千円~数万円 |
譲渡所得税 |
売却利益が発生した時にかかる税金 |
売却利益×税率 |
さらにケースバイケースでは以下の費用も発生します。
必要な費用 |
費用の内容 |
費用の計算方法 |
測量費 |
境界杭がない場合は境界画定費用・狭隘協議費用・確定測量費用などが必要 |
10万円~100万円前後 |
解体費用 |
更地で売却する場合 |
数十万円~数百万円 |
立ち退き費用 |
入居者を退去させる際の費用 |
入居者一人当たり家賃の6か月分~7か月分 |
残債の返済 |
売却時に残債がある場合は完済しなければ売却できない |
残債額+事務手数料 |
抵当権抹消登記費用 |
抵当権が設定されている場合は抹消登記が必要 |
数万円程度 |
上記の通り、売却時にはさまざまな費用が発生します。そのため不動産会社などの専門家に相談し、計算してもらってから売却価格を決めましょう。
築古になる前に売却
高い入居率を維持した物件であっても、築古になると買い手が見つからないため、老朽化する前に売却することをおすすめします。もちろんリフォームやリノベーションを行って新たな入居者を見つけるのも一つの方法です。ただし手を加えないまま30年や40年となると、新たな購入者を見つけるのが困難となります。そのため古すぎる前に売却するのか、リフォームするのかを検討しておくことをおすすめします。
指値を加味した価格にする
不動産の売却はほとんどのケースで売却価格を下げる指値で交渉されます。例えば売買価格が3,800万円の場合、「キリよく3,500万円なら購入します」「10%安くしてください」などの値切りを購入者から言われます。そのため事前に指値を予測した価格に設定しておきましょう。指値を考慮しないと、「手残り金額がほとんどない」「税金などを差し引くとマイナスになった」という事態にもつながりかねないためです。どれくらいの指値交渉が来るかは物件や地域性などによって異なるため、経験豊富な不動産会社に相談して対策しておきましょう。
まとめ
不動産の売却タイミングは大きく分けて4つ挙げられます。タイミングを逃すと売れ残り物件となり、収益が安定しない可能性も高まります。そのため築年数や残債、近隣需要から売却時期を判断することが大切です。とはいえ売却時にはさまざまな諸費用や税金が発生します。必ず専門家に相談し、売却しても手元にお金が残るか計算してもらいましょう。当社では不動産の売却サポートを行っております。「今売ったらどれくらいになるのか知りたい」「売却時にかかる費用を知りたい」という方はぜひ一度ご相談くださいませ。