不動産投資ローンにおける金利相場は?金利の種類や審査基準を解説

最終更新日:2025年11月4日
  • 不動産投資を始めるにあたり、どこの金利が安いか知りたい
  • 金利相場を金融機関ごとに比較検討したい
  • 不動産投資ローンにおける金利変動とは何?

不動産投資ローンを組む際、どこから借りようかと頭を悩ませる人は少なくありません。
しかも、金利相場は金融機関によって違ううえに、ベストな借入先は個人の投資プランや属性によっても異なります。

本記事では不動産投資ローンにおける金利相場について解説し、変動金利と固定金利はどう選ぶべきかについても知識をまとめました。

この記事でわかること

  • 金融機関ごとの金利相場が比較検討できる
  • 不動産投資ローンの金利が人によって変動する理由がわかる
  • より低金利で不動産投資ローンを借りる方法がわかる

各金融機関における不動産投資ローンの金利相場

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不動産投資ローンとは、投資用不動産を担保にして受ける融資を意味します。
「アパートローン」や「マンションローン」と呼ばれ、様々な金融機関が商品を取り揃えているでしょう。
住宅ローンと比較しても金利が高くなる傾向にあるため、まずは不動産投資ローンの金利相場を解説します。

メガバンクや都市銀行:1%台前半〜

メガバンクや都市銀行などと呼ばれる大手銀行の不動産投資ローンの金利はおよそ1%台前半と安く設定されています。
メガバンク・都市銀行が商品としてラインナップする不動産投資ローンはいずれも金利の低さが大きな魅力です。

しかし、審査基準が厳しいため、不動産投資初心者にはハードルが高いといえるでしょう。

地方銀行:1~3%前後

地方銀行の特徴は、地域に根差した経営をしている点です。メガバンク・都市銀行と比較すると金利は高くなりますが、地域の人の利用に積極的な傾向があるため、不動産投資初心者が利用するのに適しているといえます。

地方銀行の不動産投資ローンの金利相場目安は1〜3%前後ですが、中には金利水準を公開していない地方銀行もあるでしょう。
ローンを申し込む際に確認しておくようにしてください。

信用金庫・信用組合:2~3%

地方銀行と似た性質の金融機関に信用金庫・信用組合があります。
信用金庫・信用組合も地域に根差した金融機関のため、その地域に非居住や投資用不動産が地域内にないと不動産投資ローンを受けられません。

その一方で、地域に居住している場合や、投資用不動産が地域内にある場合は親身に相談に乗ってくれます。ローンを組む際の選択肢として考慮しておきましょう。

ノンバンク:3~6%

ノンバンクは、預金を受け付けておらず、主にお金を貸す業務を扱っています。ノンバンクと聞くと、消費者金融などをイメージしてしまい、利用は控えたいと考える方もおられるかもしれません。

しかし、不動産活用をメインとしている企業もあります。
たとえば、三井住友トラスト・ローン&ファイナンスやアサックスなどです。
高金利ではありますが、融資スピードが速いこと、築古物件であっても積極的な姿勢であることがメリットです。
利用を考えている場合は、シミュレーションをしっかりとおこない、戦略を立てるようにしましょう。

日本政策金融公庫:1~2%前後

政府系金融機関として知られている日本政策金融公庫からも融資を受けることが可能です。

ただし、不動産投資を目的とした融資は受けることはできないため注意しましょう。
日本政策金融公庫は、銀行などの金融機関を補完し、国民生活の向上を図るのが目的のため、不動産投資ではなく不動産賃貸業として融資を申し込む必要があります。
日本政策金融公庫は非営利団体であることから、金利も低い傾向にあるでしょう。

金利が低いのが日本政策金融公庫から融資を受けるメリットですが、融資額は購入する不動産の評価額で決まるため、自己資金を多く確保しておく必要があります。

不動産投資ローンの金利相場の比較

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これまでの情報から、不動産投資ローンの借入先となる金融機関ごとの金利相場を比較すると次のようにまとめられるでしょう。

金融機関名

金利相場

比較スコア

メガバンク

都市銀行

1%台前半〜

安い

地方銀行

1~3%前後

やや安い

信用金庫

信用組合

2~3%

中間

ノンバンク

3~6%

高い

日本政策金融公庫

1~2%前後

安い

まず、より低金利の借入先として有力なのは、メガバンクや都市銀行といったいわゆる大手銀行と、事業者向けの貸し付けをおこなっている日本政策金融公庫です。
いずれもローンの金利は1〜2%と低水準ですが、反面、審査基準は厳しくなるため誰でも簡単に借り入れられるものではありません。

次に、金利が安いのは地方銀行や信用金庫・信用組合です。
いずれの金融機関も地域に根差した経営方針を掲げるケースが多いため、地縁がある借主は審査基準において有利になるといわれています。
借入時は、借主本人や保証人にとって縁のある金融機関であるかどうかもチェックしておくのがお勧めです。

最後に、ノンバンクは金利相場比較のなかで最も金利が高い金融機関となりますが、その分、借入に対するハードルも一番低いでしょう。
他の金融機関で融資を断られてしまった場合でも、借り入れのチャンスがあります。

不動産投資ローンは固定金利と変動金利どちらが有利か

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不動産投資ローンの金利は「固定金利」と「変動金利」の2種類から選べます。
もっと厳密にいえば、固定金利は固定期間から当初固定型と全期間固定型の2つに分けられます。
それぞれのメリットとデメリットについて解説するので、参考にしてください。

当初固定金利とは

当初固定金利とは、住宅ローンの借入当初から一定期間、金利が固定される金利です。
一般的によくある期間設定は3年、5年、10年になり、金利が固定されている期間中は返済額が一定に保たれるため資金計画が立てやすくなります。
固定期間終了後は変動金利などに切り替わるのが一般的な流れです。

当初固定金利のメリット

当初固定金利の最大のメリットは、金利が一定期間固定されやすい点と、固定期間が解除された後に金利変動によって金利が下がる可能性がある点です。

金利が固定されている期間は出費がいくらになるか明確なため、将来の返済額を見通しやすくなります。
金利が低いタイミングで契約できれば、固定期間を長くするのも良いでしょう。

当初固定金利のデメリット

当初固定金利の場合、どこかのタイミングで金利が変動する変動金利に切り替わるため、その時に金利が上昇してしまうと、返済コストが高くなってしまうリスクがあります。

また、どの金融機関でも変動金利に比べて金利がやや高めに設定されているでしょう。
長期的な視点で金利が上昇した場合、不利に働く可能性がある点については留意してください。

全期間固定金利とは

全期間固定金利とは、不動産投資ローンの借入時から完済までずっと同じです。
金利が市場金利や世界情勢といった様々な要素の影響を受けず、契約時に決めた返済額がずっと変わらないため、一番安定した返済計画プランが練れるでしょう。
ローン完済までといった、長期的な資金計画を立てやすいのが特徴です。

全期間固定金利のメリット

全期間固定金利型における最大のメリットは、返済額が完済まで一定に保たれる点です。
たとえ大きな金融ショックがあろうとも、金利は一切変動しません。

金利上昇にともなう返済額の増加が絶対にないため、ローン返済に対する不安が軽減されます。
資金計画をかなり綿密に建てたい、ライフプランを安定させたい人にお勧めです。

全期間固定金利のデメリット

全期間固定金利は他の金利タイプに比べると、金利が高めに設定されているのが難点です。
借り入れから返済が終わるまでの間、さほど金利が変動しなければ、一番損してしまう金利ともいえるでしょう。

また、根本的に金利が低下した際の恩恵も受けられません。
政策など何らかの理由でいきなり低金利時代が到来すると、損しているように感じる可能性はあるでしょう。

変動金利とは

変動金利とは、市場金利に応じて定期的に金利が見直される金利です。
多くの金融機関ではおよそ半年ごとに金利が見直されており、返済額は5年ごとに再計算されます。
返済額は将来の金利動向によって大きく変動するため、一定のリスクをはらんだ借り方と言えるでしょう。

変動金利のメリット

変動金利の魅力は、初期金利が固定タイプの金利と比べて低く設定されている点です。
短期間で返済を考えていたり、金利がしばらく上昇しないであろうと予想したりする人には、返済コストのトータル費用が減らせるため一定の魅力があるでしょう。

変動金利のデメリット

変動金利型については、返済額が一定ではなくなってしまうのが一番のデメリットです。
もちろん、ルールで決まっているとはいえ金利が変動するようでは、借主にとっての負担も大きいため、5年ルールや125%ルールが設定されています。

5年ルールは、金利が変動しても向こう5年間は現状の金利を維持するもので、125%ルールは、変動後の金利の上昇幅を1.25倍にまで留めておこうとする考え方です。
いずれのルールも、借主にかかる負担を軽減する効果があります。

不動産投資ローンにおける各金融機関の審査基準について

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不動産投資ローンを組む際の、金融機関で受ける審査について解説します。
不動産投資ローンはどの金融機関でも住宅ローンを締結するより審査が厳しいため、審査を突破するにはクリアすべき様々な要素を把握しておいた方が無難です。
金融機関が、不動産投資ローンにおいてどのような審査基準を設けているか見ていきましょう。

投資用不動産の担保価値

投資用不動産における担保評価とは、金融機関が融資を実行する際に下す評価です。
借主が何らかの理由でローン返済できなくなる場合を想定し、「担保にした不動産を売却すればどのくらい補填ができるか」を判断基準に考えられています。
つまり、担保価値は不動産の市場価値を元に、一定の担保評価割合をかけて算出されるものです。

注意点として、土地を借りて建てた建物は担保価値が低くなる傾向にあります。
なぜなら、建物には耐用年数が存在し、築年数が経過した建物にはさほど資産価値がないからです。
投資用不動産を売ったらいくらになるのか、あくまでも土地をベースにした評価方法である点に留意してください。

投資用不動産の資産価値

投資用不動産における資産価値は、一般的に不動産が持つ価値全般を意味します。
資産価値はメインで、築年数や間取り、デザインといった建物の状態が見られるほかに、物件の周辺環境や金利変動や物価高といった社会情勢、立地などが加味されるでしょう。
近年では関心の高まるトピックの一つである災害リスクも、不動産の資産価値を決める要素の一つです。

つまり、資産価値は不動産そのものの評価だけではなく、包括的な視点で決められます。
資産価値については、金融機関が決めるものではありません。
不動産鑑定士による鑑定や路線価や公示価格を参考にして計算されるため、多少の変動があると考えて良いでしょう。

利用者の属性

利用者の属性とは、不動産投資ローンの審査基準において、支払い能力がきちんとあるかどうかを判断するための審査基準です。
一般的に、安定した職業に就いていてしっかりお給料を稼いでいる人は、支払い能力が高く、利用者の属性が高いと考えられ、ローンの借り入れがしやすいでしょう。

一方、不安定な職種で働き、安定的な稼ぎがない人は支払い能力が低く、利用者の属性が低いとみなされ、返済においてリスクがあると考えられてしまいます。
つまり、利用者の属性が高ければ高いほど、ローンの借入は容易になるでしょう。

また、利用者の属性については金融機関によって、健康状態も加味するケースがあります。
健康体でしっかり働き、ローンを返済してくれる人が理想と考えられているのです。

不動産経営者としての適正

不動産投資は、購入する不動産を運用して利益を出す必要があるため、不動産経営能力も審査基準に影響を及ぼす可能性が高いでしょう。

不動産の資産価値を高めるための判断や、収益を上げるための情報を整理する能力などが不動産経営には欠かせない能力といえます。
つまり、ローン借り入れのハードルを下げるには、こうした経営判断ができると担当者にアピールすると良いでしょう。

また、金融機関の担当者も人です。
借主の不動産投資に対する熱意や、シンプルに人間性も見られている点は忘れてはなりません。

不動産投資ローンにおいて金利が変動する要因とは

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不動産投資ローンにおける金利が変動する要因には、借主の属性(支払い能力)や自己資金がどのくらいあるか、投資物件の収益性などが該当します。
誰でも、できるなら金利の安いローンで契約したいのが本音でしょう。

しかし実際は、金利の安いローンほど審査基準が厳しく、求められる条件もそれなりです。
借主が「借りたい」と思うローンを必ずしも借りられるわけではありません。
つまり、不動産投資ローンにおいて金利が変動する要因は、借主の自由意志ではなく、借主の提示できる条件が金融機関の審査基準をクリアできるかどうかにかかっています。

不動産投資ローンをより低金利で利用する3つのコツ

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前述のとおり、不動産投資ローンの審査は住宅ローンよりも厳しく、金利も高いため、できるだけ低い金利でローンを組めるよう工夫する必要があります。
ヒントは、不動産投資ローンの審査が通りやすくなるポイントにあるでしょう。
不動産投資ローンの審査を通過し、ご自身が希望する低金利で利用するためのコツを解説します。

借主の属性を上げる

不動産投資ローンでは、属性の向上がローンの組みやすさに直結するでしょう。
不動産投資ローンをより低金利で借りるには、希望するローン商品の審査に確実に通る必要があります。
利用者の属性を評価する判断軸には、自己資金の有無や勤続年数、雇用形態に勤めている会社の規模、役職や年収などがあります。

十分な収入があり、それなりの返済能力を備えていると金融機関が判断すれば、借入審査は通過しやすくなるでしょう。
どうしても審査に通りたい場合は、誰が見ても信用に値するだけの属性を獲得する必要があります。

自己資金を増やす

不動産投資ローンの審査時は、自己資金を増やしておくと、不動産投資ローンを組む際に有利に働くでしょう。
そもそも、不動産投資ローンの魅力は、手持ちの資金がなくとも不動産投資が始められる点にあるため、自己資金の有無は大して重要ではないと考えられがちです。

しかし、金融機関は自己資金の多い人であれば自腹を切ってでもローン返済してくれると考えるため、貸し倒れリスクが軽減できると判断します。
つまり、自己資金が多い方がローン審査に通りやすくなるため、理想とする低金利で契約締結が可能です。

また、自己資金を投入して頭金を多く出せば、トータルの借入額を抑えられるため、結果的に金利に払うお金を少なくできます。
不動産投資ローンとは少ない手持ちで投資に取り組める制度ですが、審査に通りやすくするためには自己資金はたくさん用意しておいた方がいいでしょう。

投資用不動産の収益性を見直す

不動産投資ローンを組む際、より低金利の商品を狙うなら投資用不動産の収益性をアップさせましょう。
金融機関にとって、賃貸経営は立派な不動産事業の一つです。
賃貸経営がうまくいくかどうかの判断指標として、投資用不動産にどれだけの収益性があるかどうかはよく見られます。

何らかの理由で投資用不動産の収益性が低いと、価格競争にも巻き込まれやすいでしょう。
とくに立地にまつわる収益性については改善の余地がないため、できれば最初の契約時にじっくりと吟味しておいてください。

事業計画書を用意する

不動産投資の実態は、不動産を利用した事業経営と言っても過言ではありません。
金融機関も事業計画がきちんと立てられているか、収益性について納得のできる根拠があるかどうかは見ているため、事業計画書の作成は有効なアピール手段です。
投資を考えている不動産の情報をもとに不動産事業の計画書を作成してみましょう。

当該不動産を所有することによって得られる利益の見込みや、その利益を得るためにどのような経費がかかってくるのかについて理解が深まります。
事業計画書があるだけで、金融機関は返済の見通しについてより判断しやすくなるため、良い印象を持たれやすいでしょう。

他のローン契約を清算する

不動産投資ローンに限らず、複数のローン契約を結んでいる人は根本的に返済能力に乏しいと判断されやすいため、極力、ローン契約は整理しておきましょう。
自動車ローンや住宅ローン、教育ローンと多岐に渡って契約している場合は、借り換えなどを駆使してまとめられないか検討するのがお勧めです。

生活を正し健康体になる

不動産投資ローン契約時は、団体信用生命保険(団信)への加入がセットで進められるケースが大半です。
これにより、借主に不測の事態が起きた場合に、残された遺族に大きな負の遺産が残る状態は防げます。

しかしながら、団信に入るには「借主が健康である」といった条件が掲げられているため、現在進行形で体に不調を抱える人はローン契約の締結が難しくなってしまうでしょう。
生活リズムが不規則で不摂生に心あたりがあるなら、健康体を目指すべく生活スタイルを改めるのはいかがでしょうか。

既往歴があった場合も、下手に隠すのは得策ではありません。
事前告知できちんと現状を伝えましょう。
金融機関からしても、告知で誠意ある対応に努める借主の心象は良いものです。

まとめ

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金利は1%変動するだけでも、将来的な返済額を数百万円単位で変えてしまうため、不動産投資ローンを利用する際は、少しでも安い金利で契約する必要があります。

低金利で不動産投資ローンを利用するためには、金融機関の選び方や審査条件を理解することが肝心です。
その上で、投資用不動産の収益性の見直しや、利用者自身の属性を高めていくようにしましょう。

不動産投資には多岐にわたる情報収集や費用対効果を見越した対策の継続が成否を大きく左右します。既に経験された大家さんが集う、不動産賃貸経営を学べる塾やセミナーに参加し、継続的に良質な情報やノウハウを学ぶことをお勧めします。

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