不動産投資ローンとは?不動産投資ローンの基本的な考え方や審査通過のコツを解説!

最終更新日:2024年1月17日

2019年に「老後2000万円」問題が話題となり、投資への関心が高まりました。

今年は、政府が「資産所得倍増元年」を打ち出し、「貯蓄から投資へ」のシフトを積極的に推し進めることを表明したことにより、投資への関心はさらに高まっていくと思われます。

さまざまな投資商品がある中で、不動産投資は比較的、安定的に資産形成ができるとして注目を集める投資商品です。また、不動産投資ローンを利用することもでき、始めやすい投資商品と言われています。

本記事では、不動産投資ローンの基本的な考え方や不動産投資ローン審査の基準、通過するためのコツについて解説します。

今から不動産投資を始めたい方や、不動産投資ローンについて知りたいという方は、ご覧ください。

不動産投資ローンの基本概要

ここでは、不動産投資ローンとはどのようなものか、不動産投資ローンと住宅ローンの違いなど、不動産ローンについての基本概要を解説します。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、簡潔にいえば「不動産投資用物件を購入するために組むローン」です。具体的には、投資用不動産を購入するために銀行などの金融機関から融資を受けることです。

不動産投資は、マンションやアパートなどの不動産を購入し、第三者に賃貸することで家賃収入を得ることを目的としています。この目的以外で不動産投資ローンを利用することはできません。

不動産投資ローンを組むことで、自己資金以上の物件を購入することができるというメリットがあります。これは、「レバレッジ効果」と呼ばれ、少ない自己資金で大きな利益を得ることが可能です。

不動産投資ローンと住宅ローンとの違い

不動産購入に利用できるローンとして、真っ先に思い浮かぶのは「住宅ローン」だと思います。不動産投資ローンと住宅ローンにはどのような違いがあるのでしょうか。

2つのローンの大きな違いは、「目的」にあります。簡単にまとめると、以下のとおりです。

  • 住宅ローンは、自分が住むための住宅の購入または、増改築にあてることが目的。
  • 不動産投資ローンは、賃貸物件として不動産を購入し不動産運営を行うことが目的。

また、借りられる金額にも違いがあります。以下にまとめましたので、ご確認ください。

  • 住宅ローン:基本的に、契約者の年収の5〜6倍。最大でも8倍程度。
  • 不動産投資ローン:契約者の年収の7〜10倍程度。20倍になることも。

ここで注意してほしいのが、「住宅ローンで投資用不動産を購入してはいけない」ということです。

「金利が低いなら、住宅ローンを利用して投資用不動産を購入した方が良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、これは利用目的が異なるため、金融機関は契約違反と判断し、金融機関から一括返済を求められることもあります。分割での返済は認められなくなるので注意が必要です。

また、不正利用や虚偽申告にあたる行為であるため、今後、ローンを組んだ金融機関からの融資は厳しくなります。

不動産投資は、必ず不動産投資ローンを組むようにしてください。

不動産投資ローンの金利と返済期間

ここでは、不動産投資ローンには2種類の金利があることや、返済期間が決まる基準について解説します。

不動産投資ローンには2種類ある

金融機関で不動産投資ローンを組む際、変動金利と固定金利の2種類から選ぶことができます。

ただし、金融機関によっては変動金利と固定金利、どちらの借り入れが可能かは異なるため、借り入れ時に確認が必要です。

変動金利

変動金利とは、借入額に対する利息の金利が借り入れ後に変動するものです。

変動金利は基準となる金利(短期または長期プライムレート)が変動することで、不動産投資ローンの金利が変動し、返済額が見直されます。金利の見直しが行われるのは、4月1日と10月1日の年2回です。

変動金利は、固定金利よりも一般的に金利が低く設定されています。そのため、将来金利の上昇がなかった場合、固定金利よりも総返済額が少なくなるのがメリットです。

その一方、金利が急激に上昇すると返済が困難になってしまう可能性があるため注意が必要です。

金融機関では「5年ルール」や「125%ルール」などを定めて、利用者の金利負担の軽減を図っているケースがあります。

この2つのルールの適用の可否は、金融機関によって異なるので契約時に確認しておくようにしましょう。

固定金利

固定金利は、金利変動の影響を受けることがなく、金利が固定されています。固定金利は全期間固定金利の他、3年、5年、10年のように固定金利期間を設定することも可能です。

固定金利を選ぶメリットとしては、金利の変動を気にせずに済むことです。本来、金利は常に変動しているため、1%でも金利が上昇しただけで返済額が大きく変わります。

しかし、固定金利は金利の変動の影響を受けないため、事前に支払額と金利分の支払額を知ることができ、資金計画も立てやすくなります。

固定金利のデメリットは金利の高さです。固定金利は変動金利に比べて高い傾向にあります。また、将来金利が下がった場合でも支払額が変わらないため、金利低下の恩恵を受けることができません。

さらに、固定金利の場合、支払い期間が長くなればなるほど、金利が高くなる傾向にあることもデメリットです。

返済期間について

不動産投資ローンの返済期間は、一般的に20年から30年の間で設定されます。返済期間の詳細については、金融機関が行う審査の際に決定されます。

返済期間が長くなれば返済額も少なく抑えられるため、できることなら長期間に設定してもらいたいと考える方もおられるでしょう。

金融機関が返済期間を決める基準として用いるのが、建物の「法定耐用年数」です。

法定耐用年数は、建物が壊れるまで使える期間という意味ではありません。法定耐用年数は、物理的な寿命から導き出される「税法上の法定耐用年数」のことです。法定耐用年数は建物の構造ごとに定められています。

不動産投資ローンの返済期間が気になるという方は、購入予定の投資用不動産の法定耐用年数を調べてみると、おおよその返済期間が分かるでしょう。

投資用不動産を選ぶ際の注意点

投資用不動産を選ぶ際には、税金と収益性の関係を知ることが重要です。

例えば、投資用不動産から得られる家賃は、収入として扱われるため、家賃が高ければ高いほど所得税がかかります。

また、投資用不動産の価値が上がったタイミングで売却すると、売却益を得られますが、売却益には「譲渡取得税」がかかるため、売却益が大きいほど税金は高くなります。

一方で、減価償却費や管理費、ローンの金利などは経費として計上することが可能です。つまり、税金を減額することができ、収益を上げることができます。

このように、税金は投資利益に大きく関わってきますので、収益性との関係を理解しておくようにしましょう。

不動産投資ローンの審査基準

不動産投資ローンを組むためには、金融機関の審査に通る必要があります。ここでは、不動産投資ローンの審査基準について解説します。

不動産の収益性

金融機関が行う不動産投資ローンの審査で、重要視されるのは購入する不動産の収益性です。

金融機関は、不動産投資を一種の事業とみなします。そのため、事業がうまくいかないと思われる不動産(入居見込みがない、立地が悪いなど)の場合、審査が通らない可能性が高くなります。

一方、収益性が高い物件は返済が滞る可能性も低く、万が一債務不履行となった場合でも売却によって資金回収が可能と判断できるため、審査が通る可能性が高いでしょう。

借主の属性

借主の属性も不動産投資ローンの審査では重要になります。

借主の属性とは、年齢や職業、年収、預貯金、勤務先、勤続年数、借入の有無などです。この属性から、借主に返済能力があるかどうかを判断します。

つまり、金融機関は借主に安定した収入や信用があるかどうかを確認し、不動産投資ローンを組めるかを判断しています。

審査基準について、さらに知りたい方は、以下の記事にも詳細がありますので、参考にしてみてください。

内部リンク:不動産投資ローンの金利相場が知りたい!金融機関ごとの金利相場や審査基準から不動産ローンの選び方まで解説します!

不動産投資ローンの審査に通るコツ

上記のように、不動産投資ローンを組むためには、金融機関が実施するローンを通る必要があります。ここでは、不動産投資ローン審査に通るためのコツを解説します。

資産価値の高い物件を選ぶ

不動産投資ローンの審査に通るためには、資産価値が高く、収益性が高い物件を選ぶようにしましょう。

上述の通り、金融機関は不動産投資を事業としてとらえてえいます。そのため、物件の価値が高く、収益性が高い物件であれば審査を通る可能性は高くなります。

金融機関の不動産投資ローンの審査を通るためには、購入する物件周辺の利便性や実質利回りなどを考慮して、資産価値が高く、収益性の高い物件を選ぶことが重要です。

なるべく多くの自己資金を用意しておく

不動産投資は、少額の自己資金で始められるのがメリットの一つです。しかし、自己資金はなるべく多く用意しておきましょう。

少額の自己資金で始められることと矛盾するように感じられますが、ローンを組もうと考えている金融機関に貯金があると有利になるといわれています。

金融機関としては、滞りなく返済を行なってもらうことが重要なポイントです。そのため、自己資金がない人よりも自己資金がある人の方が返済能力を有していると判断します。

属性を高める

安定した返済ができるかどうかの判断で重視されるのが属性です。属性とは上述のとおり、金融機関が利用者の返済能力を判断するための基準で、年収や勤務先、勤続年数などを指します。不動産投資ローンの審査に通るためには、属性を高めておくと良いでしょう。

特に気をつけてもらいたいのが、ローンを組む直前に仕事を辞めたり、貯金を切り崩したりしないということです。ローンを組む直前で、このような行動を取ると属性の評価を下げてしまう可能性があります。

不動産会社からの紹介を受けた金融機関を利用する

初めて不動産投資ローンを利用するという方は、どの金融機関で融資を受けていいか分からないのではないでしょうか。

その場合、不動産会社から紹介を受けた金融機関を利用すると審査が通る可能性が高くなります。

不動産会社が金融機関を紹介してくれる場合、金融機関との信頼関係が築かれていることが多く、審査を通る可能性が高くなるのです。

審査を通過するための、より詳しい方法が知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

内部リンク:不動産投資ローンの金利相場が知りたい!金融機関ごとの金利相場や審査基準から不動産ローンの選び方まで解説します!

まとめ

不動産投資は、不動産投資ローンが利用できるため、自己資金が少ない方でも始めやすい投資商品です。また、他の投資商品と比べて急激な価値変動がないため、安定して資産を形成できるというメリットもあります。

不動産投資に興味がある方は、不動産投資についてある程度知識をつけ、自身の属性を高めることで不動産投資ローンを利用して始めるようにしましょう。

投資への関心は、これから年々高まることが予測されます。本記事を読んで、その投資先の一つとして不動産投資に興味を持っていただければ幸いです。

関連記事