今注目のREITとは?そのメリット・デメリットや現物不動産への投資とどちらが良いかを解説します!

最終更新日:2024年4月7日

少額から不動産に投資できることから、投資先として注目を集めているのがREIT(リート)です。少額で始められることから、リスクも小さく、不動産投資初心者でも始めやすいと人気があります。

本記事では、REITの基礎知識からメリット・デメリット、そして現物不動産への投資と比較し、どちらが良いのかを解説します。

REITと現物不動産への投資、どちらを始めようか迷っている方は、ぜひご覧ください。

そもそもREITとは

REITとは「不動産投資信託」と呼ばれており、元々、アメリカで生まれた仕組みです。日本では「J-REIT」と呼ばれています。

REITは、投資者から資金を集め、その資金でオフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入し、そこから発生する収益を投資者に分配する仕組みです。

REITの特徴は、不動産を証券化することで、株式と同じように証券市場で取引ができる点にあります。また、不動産の実際のオーナーになるわけではなく、REITを通じて間接的に複数の不動産のオーナーになり、実際の賃貸経営や運用についてはプロに任せることができます。

REITは投資信託という形式を取っていますが、不動産を運営・運用することで収益を得る投資商品です。現物不動産に投資する場合と考え方は基本的に同じですが、手法などには大きな違いがあるため、それぞれの違いやメリット・デメリットを理解しなくてはいけません。

REITは4つに分類される

REITは、運用する不動産の種類やその特徴ごとに、いくつかの種類に分類されます。主な種類は、次の4つです。

  1. 単一用途特化型
  2. 複数用途特化型
  3. 地域特化型
  4. REIT ETF

以下で、それぞれについて解説します。

1.単一用途特化型

単一用途特化型のREITとは、投資対象となる不動産の用途を単一の種類に絞ったものです。例えば、住宅やオフィスビル、商業施設など、特定の不動産を対象として投資を行います。

情報収集が容易で、値動きの予測がしやすいため、大きな利益を狙えるのが単一用途特化型の特徴です。その一方で、単一の種類の不動産に投資するため、分散投資をしにくいことがネックになります。

2.複数用途特化型

異なる特徴の複数の不動産に対して投資するのが、複数用途特化型のREITです。2種類の不動産に投資するものを「複合型」、3種類以上に投資するものを「総合型」と呼ぶこともあります。

単一用途特化型と異なり、分散投資ができるため、特定の不動産市場の動向に左右されることなくリスクを軽減できるのが特徴です。その一方で、単一用途特化型と比べると利益が小さくなります。

3.地域特化型

不動産の種類や用途ではなく、地域を限定して投資するのが地域特化型のREITです。

地域を絞って投資するため、運用コストが抑えられるのが特徴です。ただし、投資対象エリアで自然災害が発生した場合、損害を被ってしまう「災害リスク」の影響を受ける可能性がある点は注意しておきましょう。

4.REIT ETF

「REIT ETF」という商品が注目を集めています。ETFとは「Exchange Traded Funds」を略したもので、上場投資信託と訳される商品です。取引所に上場している様々なREITに対して分散投資できるという特徴があります。

一方、REIT ETFは、短期間で価格が変動するというリスクや、適正価格で売却できないというリスクがあるので注意が必要です。

REITのメリット4選

REITには、さまざまなメリットがあります。その中でも選りすぐった4つのメリットを、具体的に解説します。

流動性が高く換金が容易

REITのメリットは、流動性の高さから換金しやすいことです。現物不動産の場合、売却するには買い手を見つける必要があり、希望の条件で換金できない可能性があります。

REITは市場ですぐに売却ができるため、数日で現金化することが可能です。まとまった現金が必要となった際には、REITを売却することで資金を得ることができるので安心です。

ただし、REITを売却するタイミングで価格が下がっている場合、元本割れを起こす可能性を考慮しておく必要があります。

少額で不動産投資ができる

不動産投資と聞くと、ある程度まとまった資金が必要と考える方が多いのではないでしょうか。

REITは1口から取引ができるため、自己資金が少ない場合でも投資をスタートすることが可能です。そのため、不動産市場の動向を学びながら資産運用を行うことができます。

REITで自己資金を増やし、現物不動産への投資に移行する際に、その知識は非常に有用です。

分配金の利回りが比較的高く安定している

預貯金やその他の金融商品と比較して、REITは高い利回りが期待できる点が魅力の一つです。

また、株式と比較した場合、REITは安定した利回りが期待できることも魅力と言えます。REITの場合、不動産が生み出す賃料が収益です。不動産は、需要と供給のバランスで価格が決まるため、株式と比べて価格の変動が大きくないことが理由です。

ただし、注意点として、経済情勢などの影響で不動産価格や賃料収入が下落する可能性があることを考慮しておきましょう。

物件の管理が不要

現物不動産を購入した場合、賃貸契約や物件管理などの業務が発生します。このような業務は不動産管理会社などに委託する場合がほとんどです。

一方、REITは資産の運用や管理は運営会社が行うため、投資家は物件管理などの手間が省け、資産運用のみに専念できます。また、不動産に関する知識がなくても投資を始めることが可能です。

REITのデメリット6選

REITにはさまざまなメリットが存在しますが、投資である以上、デメリットも存在します。

ここからは、REITを行う際のデメリットを具体的に解説します。

元本割れリスクがある

REITのデメリットの1つは、取引のタイミングによっては損失が生じ、元本割れを引き起こす可能性があることです。

株式投資と同様、日々、価格が変動するため、購入時の価格より売却時の価格が下がってしまうと元本割れを引き起こします。

REITの価格は、経済情勢や市場の動向など、さまざまな要因によって左右されるため、正確な価格予測は不可能です。損失が出ても生活に影響が出ない範囲で投資を行う必要があります。

分配金の減額リスクがある

投資法人の運営状況が悪化した場合、分配金が減額する可能性があるのも、REITのデメリットです。直近では、新型コロナウイルス感染症の流行により、観光客が減少しホテル特化型のREITの分配金の利回りが低下した事例があります。

利回りが比較的高いことがREITのメリットではありますが、利回りの高さで投資先を決めた場合でも、分配金が減額される可能性があるので注意してください。

投資法人の倒産や上場廃止になるリスクがある

もし、投資法人が倒産や、上場廃止になった場合、REITの価格が大幅に下落する恐れがあります。

投資法人が上場廃止となった場合、管理銘柄や整理銘柄に制定されてしまいます。管理銘柄や整理銘柄に指定されたとしても売買は可能です。しかし、実際は価格が大幅な下落となり、売買が難しくなる可能性があるので、投資法人の運営状況などを確認しておくようにしましょう。

複利効果が得られない

REITは、投資対象の不動産から得られる賃料や売却利益を再投資することなく、分配金として投資家に支払う仕組みです。そのため、複利効果を得ることができません。

複利効果とは、投資で得た利益を元本として組み込むことで、利益をより大きなものにする効果のことです。

REITでは最低投資金額が数万円からとなっているため、分配金も大きくなく、多額の投資をしていない場合には、個別の銘柄に再投資を行うのは難しいと考えられます。

分配金を目的としている場合は問題ありませんが、もし、長期的に資産を増やすことが目的だとすれば効率が悪いかもしれません。

金融機関からの融資が受けられない

現物不動産へ投資を行う場合、金融機関から融資を受けてレバレッジ効果を効かせることができます。これにより、自己資金よりも大きな金額の物件への投資が可能となり、少ない資金で大きな利益が期待できます。

一方、REITは金融機関からの融資を利用することができません。REITは、すべて自己資金で行う必要があります。そのため、自己資金が少ない間は、大きな利益を得て資産を増やすことは難しいかもしれません。

節税効果が少ない

現物不動産に投資する場合、節税効果が見込まれる手段が豊富にあります。例えば、経費計上による節税効果や、損益通算などです。

REITの場合は、節税効果が見込まれる手段がほとんどありません。そのため、REITの分配金には、一律20.315%の税が課されます。

ただし、NISAを利用することで、年120万円まで非課税で資産運用が可能です。

REIT市場の現状と今後の見通し

日本におけるREIT市場は、2001年にスタートしました。時価総額は2023年6月末現在で、約16兆円、銘柄数は60まで伸び、東証プライム市場不動産業と同等となり、日本において一定の市場規模を実現しています。

保有不動産についても、当初3200億円だったのが22兆円となり、物件数は4600を超えるまでに成長しました。不動産の種類もオフィスビル中心だったのが、商業施設や住宅、物流施設、ホテル、ヘルスケア施設へと多様化しているのが現状です。

今後も、日本国内のREITは成長の余地があり、経済的・社会的な役割の拡大が期待されています。

参考:一般財団法人不動産証券化協会 初めてのJリート 第9回 Jリート市場の展望

現物不動産投資とREITとの違い

現物不動産への投資とREITについて、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いについて以下の表にまとめましたので、ご確認ください。

 

現物不動産投資

REIT

所有権

所有権を取得する

所有権は所得しない

運用や管理

オーナー自身が行う

投資法人が行う

所得の種類

不動産所得

配当所得・譲渡所得

利回り

物件により異なる

一定の範囲内で安定

融資

利用できる

利用できない

収益を得る時期

基本的に毎月

年1〜2回、投資法人の決算時

流動性

低い

高い

このように、現物不動産投資とREITは、大きく異なる投資手法です。以下では、さらに現物不動産投資のメリット・デメリットを解説します。

現物不動産投資のメリット・デメリット

現物不動産投資は、オーナー自身で投資用物件を運営・管理する必要があり、手間に感じることがあるかもしれません。しかし、その手法は基本的に自由で、戦略を立てて最適な選択肢を選んでいくことで利益を出していくことが可能です。

一方で、不動産の取得から運営、管理、メンテナンスを自分自身で行わなくてはいけません。これは、手間はもちろんコストもかかります。しかし、これはデメリットというよりは、不動産投資の醍醐味と言えます。手間とコストをかけ、不動産投資についての知識や経験を身に付けることができ、収益を拡大することも可能です。

デメリットとして考えられるのは、リスク面や税金の負担が大きくなることです。しかし、リスクはどのような投資手法についても発生するものですし、税金は経費として計上できるものもあり、大きなデメリットとは言えないかもしれません。

投資用物件の購入から運用、管理までを自分自身で行うことで、不動産投資の醍醐味を味わい、知識や経験を身に付けたいと考えている方には、現物不動産投資がおすすめです。

まとめ

今、不動産投資の手法としてREITが注目を集めています。NISAが新しい制度に移行したことも、追い風になっていると考えられます。

少額から投資を始められ、手間がかからないREITは、多額の自己資金を用意できない方や、運用や管理の手間を省きたい方にとっては非常に便利な投資手法です。

その一方で、現物不動産投資には、現物不動産投資の良さがあります。実際に投資用物件を所有し、自分自身で考えながら運用、管理を行うことで不動産投資の知識や経験を得ることができます。自分自身で戦略的に考えながら投資をしたいという方には、現物不動産投資がおすすめです。

現物不動産投資とREIT、それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分自身に最適な投資手法を選ぶようにしましょう。

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