不動産投資ローンを借り換えるメリットは?手続きや注意すべき点を解説

最終更新日:2024年4月4日
  • 不動産投資ローンを借り換えるタイミングがわからない
  • 不動産投資ローンを借り換えるメリットとデメリットが知りたい
  • 不動産投資ローンを借り換える際の手続きがわからない

ローンの借り換えとは、これまでの不動産投資ローンを解約して、別の金融機関で新しくローンを契約し直す方法です。

借り換えると元のローンには戻せないため、タイミングを見極める必要があるでしょう。

今回は不動産投資ローンを借り換えるタイミングやメリット・デメリット、手続きの仕方と注意点を解説します。

この記事でわかること

  • 不動産投資ローンを借り換え
  • 不動産投資ローンを借り換えるメリットとデメリット
  • 借り換える際の手続きや注意すべきポイント

不動産投資ローン借り換えの基本とメリット

ローンを借り換える前後を比較して、どのくらいの利益が得られるのかどうかは、計算して求められます。

借り換えによる効果は、返済額の軽減額から借り換えする際の諸経費を差し引くと算出可能です。

返済額の軽減額とは、現在借入しているローンのすべての返済額から借り換え後のローンの総返済額を引くとわかるでしょう。

もし、借り換えするタイミングを数字で見極めようと試みてもタイミングがいつなのかがわからない方は4つの状況で判断します。

借入して日が浅くローンの残高が一定以上ある

借り換えで得られた利益は、借入期間やローンの残高に影響します。

返済期間が短いと、借り換えしても利息が少ないです。

10年以内に不動産投資ローンを借り換えれば、利息額が多くなる傾向にあり、さまざまな恩恵が得られるでしょう。

ローンの残高が少ない状況で借り換えした場合も利息が少なくなります。

残高が1,000万円未満になると、残りの返済期間で支払う利息が小さくなり、借り換えにかかる費用が大きくなります。

ローンの残高が1,000万円を切る前に借り換えるのが望ましいです。

金利の固定期間が終わる

金利には固定金利と変動金利があり、固定金利タイプは約3〜10年を固定金利の期間と定めているケースが多いです。

固定金利の期間とは、経済状況に関係せず一定の金利を支払う期間であり、不景気でも金利が変動しないため、安定してローンの返済ができます。

固定金利の期間を過ぎると変動金利へと切り替わります。

変動金利になると経済状況によって金利が変動するため、これまでよりも金利が大きく上昇し、金銭的負担がかかりやすいです。

金利が上がる前、別の固定金利タイプへ借り換えすると、金利が一定になり返済への負担が軽減するでしょう。

このように、金利が変動するタイミングは、ローンの借り換えを検討する時期でもあります。

キャッシュフローの悪化

不動産投資ローンの契約時に無理のない返済計画を立てていたけれども、空室が増えて家賃収入が減ってしまい、返済の支払いが負担になっているケースがよくあります。

このような状態は収入と支出とのバランスが崩れており、キャッシュフローが悪化している状態です。

空室が埋まれば家賃収入が増えてキャッシュフローが改善していきますが、空室が埋まるタイミングは自由に調節できないです。

金利の低い不動産投資ローンへ借り換えると、返済額が減り、金銭的負担が軽減されます。

また、返済期間が長くなるため、月ごとの返済への負担が減り、キャッシュフローが改善します。

与信の変化

与信とは、金融機関がいくらまで融資や融資枠を与えるかの指標です。

たとえば収入が増えた場合や遅延なく支払えていた場合、事業が大きい会社へ転職した場合は与信が良くなる傾向です。

与信が良くなれば、より良い条件で融資が受けられる可能性が高くなります。

ローンの支払総額が減り、返済への負担が減るため、借り換えるタイミングとして適しています。

一方で、退職した場合やフリーランスへ転向した場合は与信が悪くなりやすいです。

与信が悪くなればローンの借り換えが困難になるため、与信が悪くなる前に借り換えを済ませる選択肢もあるでしょう。

不動産投資ローン借り換えのメリット・デメリット

不動産投資ローンの借り換えで失敗しないためには、メリットとデメリットを理解している必要があります。

上手に借り換えできると、不動産運用が成功する可能性があります。

返済への負担が軽減して収支の改善が見込める

建物や土地の投資は、ほかのローンよりも借入期間が長いです。

金融機関によって金利が異なるため、今融資を受けているローンよりも低金利のローンへ借り換えした場合、出費が抑えられるでしょう。

固定金利は変動金利より金利が高く設定されているケースが多いため、固定金利から変動金利へ借り換えた場合、金利が低くなります。

支出が減れば月々のキャッシュフローの改善につながり、支払総額が減らせます。

ローン借り換えの特典を受けられることがある

近年、借り換えをすすめる金融機関が増えており、借り換えすると特典がもらえる場合があるでしょう。

特典の詳細として、特定の場所で買い物すると値引きできたり、ポイントがお得に貯められたりする内容です。

そのほかに、年会費無料でゴールドカードが作成可能、ATM手数料や振込する際の手数料が無料の特典もあります。

借り換えしなくても、不動産投資ローンの契約をすれば特典が受けられるのもあります。

特典はあくまでもオプションとして考え、もしライフスタイルに合ったサービスがあれば検討してみてください。

リフォームやリノベーションを検討できる

好条件の融資へ借り換えた場合、資金に余裕ができるため、リフォームやリノベーションへの費用にあてられるでしょう。

リフォームやリノベーションすると建物の資産価値が上がり、入居者が増えて収益が見込めます。

特に、中古物件は築年数が経てばたつほど、建物の老朽化が進み、入居者が集まりにくい傾向にあります。

また、浴室やキッチンなどの水回りの設備の老朽化は敬遠されやすく、入居率に大きく左右されるため、資金に余裕があればリフォームしたほうが良いです。

借り換えできない可能性がある

すでにほかの金融機関から融資を受けていた実績があっても、必ず借り換えできるとは限らないです。

借り換えする際は新規のローン契約と同様、審査を受ける必要があります。

審査に通りにくい項目に当てはまると借り換えできない可能性があるため注意しましょう。

たとえば、ローンの返済が滞っていた履歴があったり、家庭や仕事の変化で収入が減っていたりする場合は注意が必要です。

手数料がかかる

融資を受けている金融機関には違約金と一括繰上返済手数料などの費用がかかるため、資金の用意が必要です。

一括繰上返済手数料は、残高の約1〜2%かかります。

借り換え先の金融機関に対しては、ローンの新規契約にくわえて保証料、団体信用生命保険料、抵当権の抹消・登記費用の手数料がかかります。

諸経費の総額が借り換えで利息額の削減額を上回れば、借り換えがデメリットです。

事前に見積りを作ると、どのくらいの出費が必要になるのかが可視化できるでしょう。

借り換えの手続きと選択肢

借り換えする際は、これまでのローンの解約と新規のローンの契約を同時に進めなければならないため、一連の流れを理解しているのがポイントになります。

それぞれの段階ごとのポイントを押さえておけば、スムーズに手続きが進められます。

これまでの契約条件をチェックしつつ借り換え先の金融機関を探す

これまでのローンの契約内容を再度確認しておくと、ほかの金融機関の融資条件と比較しやすいです。

金利や返済期間以外に、今後の返済金額がいくらかになるかも細かく確認したほうが良いです。

もし、収入合算でローンを契約した場合で、別の金融機関では収入合算が認められずローンの契約ができないケースがあります。

借り換えるにあたって何か問題点がある場合は、あらかじめ対処する必要があります。

ほかの金融機関の融資内容を見て、借り換えする候補をどこにするかを選ぶ流れです。

審査の条件も確認できると、審査落ちして時間を無駄にするリスクが防げるでしょう。

借り換え先の金融機関の審査を受ける

借り換え候補の金融機関が決まったら、審査を受けます。

不動産投資ローンは事前審査と本審査の2つの審査に通過する必要があります。

審査を受ける際は、不動産に関する書類と職務経歴書、申請者の収入が確認できる資料、収益性が判断できる書類などのさまざまな書類が必要です。

金融機関ごとに提出する種類が決まっているため、あらかじめ確認しておくとスムーズな手続きが可能です。

なかには無料で事前審査が受けられる金融機関もあるため、審査に問題なく通過できるか不安の際は試しに受けてみるのをおすすめします。

これまでの金融機関の解約手続きと借り換え先の融資の実行

本審査を通過して、借り入れ先が決まったら、これまでの金融機関の解約手続きをします。

借り換える旨を伝え、いつまでに一括返済する必要があるのか、解約料はどのくらいかかるのかを確認してください。

ローンの解約手続きと同時に、抵当権抹消の手続きと新しく借り入れするための抵当権の設定が必要です。

これまでの金融機関と借り入れ先の金融機関の手続きを同時に対応しなければならないため、混同しないように情報整理をしましょう。

借り換えで注意すべきポイント

借り換える際に注意すべきポイントは4つあります。

注意すべきポイントを意識すると、いざ借り換えするときに冷静に対処可能です。

これまでの金融機関の信用を失う

金融機関はローンで得られた金利が収益であり、ローンの解約は大きな損失です。

これまでの金融機関からすれば、長年事業を応援していた相手をほかの金融機関に取られてしまった状態のため、これまでどおりの付き合いを続けるのは難しくなります。

借り換えを頻繁にしていると、ほかの融資へ依頼したくても、金融機関から断られる可能性があります。

将来を見越したうえで、借り換えが必要かどうかをしっかり検討すべきです。

借り換えに関する情報が少ない

不動産投資ローンを借りる際の情報はインターネットで確認できますが、借り換えに関する情報はインターネットで調べても情報がない場合が多いです。

金融機関からすると、ローンの借り換えは審査の手続きが大変なのに対して、大きな利益にならない傾向のため、情報開示に積極的ではありません。

借り換えした経験のある人の話を聞いて情報収集しましょう。

不動産投資向けのセミナーや塾などのコミュニティには、借り換えの知識に詳しい方や経験者が多いためそちらへ相談するのがおすすめです。

借り換えの手続きは時間がかかる

いざ借り換えしようと思い立っても、実際に手続きするとなると想定していたよりも手間や時間がかかりやすいです。

副業で不動産投資している方で、借り換えの手続きをする時間がなかなか取れないとの声もあります。

なかでも、借り換え先の金融機関を調べて従来の契約内容と見比べたり、審査を受けるにあたって必要書類をまとめたりするのに時間がかかります。

審査の申し込みから借り換えが完了するまでに約1〜3か月かかると想定して動くのがポイントです。

まとめ

借入してから10年以内であり、不動産投資ローンの残高が1,000万円以上のときは借り換えするのに良いタイミングです。

借り換えするメリットとして、返済への負担が軽減してキャッシュフローの改善が見込める、特典が受けられるなどがあります。

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