不動産投資の利回りの最低ラインはどれくらい?利回りを安定させるためのポイントや計算方法までを徹底解説!

最終更新日:2024年1月17日

不動産投資では、いかに早く投資金額を回収できるかによって収益も変わってくるため、利回りは重要な指標です。

利回りが高ければ高いほど、投資効率がよくなりますが、不動産投資を始めたばかりの方は「最低どれくらいの利回りが必要なのだろう?」と悩んでいるのではないでしょうか。

本記事では、不動産投資における利回りの最低ラインや、最低ラインを維持するためのポイントを詳しく解説します。

不動産投資初心者はもちろん、利回りの最低ラインを維持するにはどうしたら良いのか迷っている方は、ぜひ、ご覧ください。

不動産投資の利回りの最低ライン

不動産投資において利回りの最低ラインは、条件によって変わります。例えば、立地条件や建物の構造の違いなどが要因です。また、物件の築年数が違えば、購入価格にも影響するため、利回りは変動します。

ここでは、条件の違いによる利回り変動について解説します。

都心と地方の違い

都心と地方の投資用物件を比べた場合、利回りは地方の物件の方が高くなる傾向が強いです。

不動産物件のチラシ広告に載っている利回りは「想定利回り」が多いといわれています。想定利回りとは、満室の状態を想定した年間の不動産収入を計算したものです。

家賃相場に関して都心と地方を比べた場合、何倍も異なることはありません。それでは、なぜ都心の方が利回りは低くなるのでしょうか。

それは、投資用物件の購入価格が原因です。家賃相場では何倍も異なることはありませんが、物件の購入価格の場合、都心と地方では何倍にもなることがあります。

つまり、都心と地方における利回りに違いは、利回り計算の際に分母となる物件価格の差によって生じると言っても良いでしょう。

新築と中古の違い

新築物件と中古物件では、新築物件の方が利回りは低く、中古物件の方が利回りは高くなります。これは上述したように、物件価格の差によって違いが生じた結果です。

新築物件は、ある程度高額な家賃設定が期待できますが、周辺物件との比較や価格相場があるため、中古物件との価格差を補うほど高く設定することはできないと考えられます。

これが、中古物件の利回りは新築物件の利回りよりも高い原因です。

木造・鉄骨造・RC造の違い

投資用物件の構造によっても利回りは異なり、その構造は「木造」「鉄骨造」「RC造(鉄筋コンクリート造)」の3つに大別されます。

この中で最も利回りが高いのは木造で、次いで鉄骨造、RC造の順に利回りの水準や最低ラインが低くなります。これは、それぞれの物件における販売価格の差が生じるためです。

なぜ、物件の構造によって販売価格に差が生じるのでしょうか。その理由は、物件の構造によって規模が変わってくるからです。

一般論ではありますが、戸建てやアパートなどの集合住宅は木造で建てられ、鉄骨造やRC造などは大型マンションが建てられます。規模が大きくなればなるほど、物件価格が高くなり、利回りに影響します。

また、物件の規模が大きいと、修繕費用も大きくなると考えられます。特にRC造の物件は規模が大きくなる傾向にあるため、修繕費用も膨大になることが予想され、利回り水準や最低ラインが低くなるでしょう。

不動産投資の利回り「最低ラインは10%」は本当か

以上にように、さまざまな要因が利回りに影響を与えることが、ご理解いただけたと思います。それでは、不動産投資の利回りにおける最低ラインは何%なのでしょうか。

ネット上でよく掲載されている情報として、不動産投資の利回り最低ラインは「10%」というものではないでしょうか。

確かに、地方では利回りが10%〜15%以上の物件はあるかもしれません。しかし、都心で利回り10%以上の物件の場合、何らかの瑕疵が隠れている可能性があるので注意が必要です。

さらに、地方の物件は稼働率が思ったように上がらず、実際の利回りが想定利回りを大きく下回ってしまい、利益を得られないことも考えられます。

このように、最低ラインと言われている「利回り10%」にこだわってしまうと、思うような利益を得られなかったり、逆に損益が発生したりする可能性もあります。

最低ライン10%という考えにこだわりすぎず、低い利回りであっても賃貸需要があり、稼働率が安定している物件を選ぶようにしましょう。

最後に、都心の駅近の中古物件の最低利回りを紹介しておきますので、参考にしてみてください。表面利回りで、築20年程度までなら約5%、築20年以上、35年程度までなら約7%が最低利回りとされています。

不動産投資で利回りを安定させる方法

不動産投資において、利回りは利益を出すための重要な基準です。しかし、さまざまな条件によって利回りは変動するため、安定させることが不動産投資には大切になります。

それでは、不動産投資で利回りを安定させるためにはどうすれば良いのでしょうか?

利回りを安定させるためには、物件の選定やキャッシュフローの管理、リスク管理、そして投資の多様化といった要素が重要です。

質の高い物件を選ぶことで、長期的に安定した賃貸需要を見込めます。質の高い物件を選ぶためには、立地や建物の状態、周辺環境の評価が欠かせません。

また、地域によって異なる賃貸市場の需要と供給のバランスを把握し、適切な家賃設定を行うことが重要です。

キャッシュフローを適切に管理するためには、賃料収入と経費のバランスを見極め、収益性の高い投資計画を立てる必要があります。

リスク管理については、空室リスクや入居者の滞納リスクなどを考え、信頼できる管理会社との提携を検討することが効果的です。

最後に、異なる地域や種類の不動産への投資することで、リスクを分散することができます。一方で利回りが下がったとしても、他方で利回りが上がれば差分をカバーすることになります。

これらの要素に注意を払うことで、市場動向を把握しながら柔軟に対応することで、不動産投資の利回りを安定させることが可能となります。

不動産投資の利回り最低ラインを維持する際の注意点

不動産投資に重要な指標である利回りの最低ラインを維持するためには、押さえておくべきポイントがあります。

ここでは、不動産投資の利回り最低ラインを維持していく際に注意しておきたい点について解説します。

こまめな点検・チェックで物件の価値を向上させる

物件は年数が経過するごとに価値が下がっていきます。物件が劣化すれば、家賃も低下していくことになるため利回りが低下する原因です。

そこで、物件をこまめに点検し、チェックを行い、入居者が住みやすい環境を整えるようにしましょう。

例えば、見落としがちになる共有部の電球切れの交換や、リフォームによる最新設備の導入など、入居者に配慮した住環境を整えることで、入居者との関係を良好なものにすることができます。

入居者との関係を築き、「なぜ家賃が高くなるのか」その理由を明確にしておくことで、家賃の賃上げの交渉に応じてくれる可能性が高くなると考えられます。

家賃を維持、または上げることができれば、利回りの維持・向上ができるため、最低ラインを維持することが可能です。

高利回り=収益が高いという考えに固執しない

不動産投資は早めにローンを返済できれば、大きな収益を得ることができます。そのため、なるべく高い利回りの物件を購入することで、早期にローンの返済を完了させようと考える方もおられます。

しかし、高利回りの物件が必ずしも収益が高いわけではありません。物件情報に記載されている利回りが、満室状態で得られる利益を表す「想定利回り」の場合、実際の利回りには差が生じることが考えられます。

また、高利回りの物件であっても、入居者が少ない物件や修繕コストが大きい物件を購入してしまった場合、実際の利回りは低くなるため、思ったような利益が得られません。

不動産投資を行う際には、利回りだけにこだわるのではなく、利回りが最低ラインであっても、入居率や稼働率の高い物件を選ぶことをおすすめします。そのような物件であれば、利回り最低ラインを維持しながら不動産運営を行なっていくことが可能です。

入居づけが得意な不動産管理会社に依頼する

投資用物件は、入居者の入れ替わりは避けられない問題です。物件から退去した後、新しい入居者が現れなければ、空室リスクが発生してしまいます。空室状態が長く続けば、家賃収入が得られなくなるため利回りは下がります。

そこで、空室リスクによる利回り低下を短い期間で解消することが、最低ラインを維持していくためには重要です。

空室リスクを解消するためには、入居者づけに強い不動産管理会社に管理を依頼すると良いでしょう。

入居づけに強い不動産管理会社は、普段から共用部分をキレイに保つなど、住環境の整備を徹底しています。そのため、新しい入居者だけでなく、既存の入居者の満足度も高まることが考えられ、長期間入居してくれる可能性も高く、利回りの維持が期待されます。

不動産投資における利回りの計算方法を確認する

最後に、不動産投資における利回りの計算方法を確認しておきましょう。不動産投資の利回りには、さまざまなものがあるため、計算方法によって変化します。

計算方法によっては、期待していた利益を得られない場合もあるため、利回りの計算方法はしっかりと理解しておきましょう。

詳しい内容については、「不動産投資の理想的な利回りは?利回りの基礎知識から最適化のための活用方法などをやさしく解説!」で記載していますので、ご一読ください。

表面(グロス)利回り:年間の家賃収入を不動産購入価格で割ったもの

計算方法:年間の家賃収入÷不動産購入価格×100=表面利回り(%)

表面利回りは、大まかな収益性を表しているため、実際の利回りと異なることがあります。

実質利回り:年間の家賃収入から運営にかかる諸経費(税金など)を加味した利回り

計算方法:(年間の家賃収入−年間の諸経費)÷不動産購入価格×100=実質利回り(%)

実質利回りは諸費用を加味して算出するため、実際の利回りに近い数字になります。

想定利回り:満室状態での年間家賃収入を不動産購入価格で割ったもの

計算方法:満室状態における年間の家賃収入÷不動産購入価格×100=想定利回り(%)

収益物件が満室状態を想定して算出される利回りです。しかし、満室状態で家賃収入を得るのは難しいため、実際の利回りとは異なる可能性が高いと言えます。

現行利回り:現状で得られる年間の家賃収入を不動産購入価格で割ったもの

計算方法:現在の年間家賃収入÷不動産購入価格×100=現行利回り(%)

空室を除いたリアルタイムの家賃収入をもとに計算される利回りです。そのため、実際の利回りに非常に近い数字が算出されると考えられます。

まとめ

不動産投資で利益を得るためには、早い時期にローンを返し終わる必要があるため、利回りは重要な指標となります。そのため、最低限どれだけの利回りがあれば良いのかを知ることは重要です。

一般的には、5%〜10%の間とされていますが、さまざまな条件によって利回りは変動するため、絶対的な数値を出すことは難しいでしょう。

利回りだけにとらわれず、自分自身で目標を立て、その目標を達成できるだけの利回りを維持していくことで、不動産投資は成功に近づけることが可能です。

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