空き家買取のメリットとデメリットは?有効活用する方法も解説

最終更新日:2024年9月1日

空き家を相続して、どのように管理・処分すべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。

 

自分が空き家に住まない場合、管理するのにも手間と労力がかかります。固定資産税や都市計画税もかかるため、保有しているだけで経済的な負担が発生する点も見逃せません。

 

そこで選択肢の一つとして生まれるのが、不動産会社が行っている空き家の買取です。今回は空き家買取のメリットとデメリットを解説します。

 

空き家を業者に買い取ってもらうメリット

1 2

なかなか買主が見つからない空き家を保有している場合、買取業者(不動産会社)に買い取ってもらう方法があります。スムーズに空き家を売却するうえで、買取は有用な手段の一つです。

 

まずは、空き家を業者に買い取ってもらうメリットから見ていきましょう。

 

手間と時間をかけずに売却できる

業者に買い取ってもらえば、手間と時間をかけずに空き家を売却できます。業者が直接買い取るため、買主が現れるのを待つ必要がないからです。

 

一般的な方法で売却する場合は、買主を見つけて契約に至るまでに数ヶ月から1年以上かかることがあります。しかし、業者に買い取ってもらう場合は、数週間程度で取引を完了させることが可能です。

 

さらに、不動産の売買契約に関する事務を業者がほとんど代行するため、売主の事務的な負担を抑えられます。一般的な売却のように、広告の作成や内見対応を行う必要もありません。

 

特に空き家を相続した場合は、物件が遠方にあるというケースが考えられます。管理するだけでも手間がかかるため、「手間をかけずに早く売却したい(手放したい)」と考える方もいるでしょう。

 

業者への買取依頼は、迅速かつ確実に売却したい場合や手間をかけたくない場合に適している方法といえます。

 

素早く資金化できるため、資金計画を立てやすい

 

買取を依頼すると売却までスムーズに進むため、空き家を素早く資金化できます。資金化の目処が立つことで、売却後の資金計画が立てやすくなるでしょう。

 

一般的な売却であれば、買主が住宅ローンの審査を受ける必要がある関係上、時間がかかるうえに不確実性があります。一方で、買取を依頼する場合は、業者は自社の資金で購入するため、資金調達の問題がほとんどありません。

業者の査定や交渉を経てスムーズに売却価格が決定するため、受け取る金額も事前にイメージしやすいメリットがあります。実際に買取が完了すると、数日以内に売却金額の全額を受け取ることが可能です。

 

お金が入る時期がイメージしやすければ、借入の返済や不動産投資など、具体的な資金計画を立てられるでしょう。

 

このように、買取は資金化の早さと確実性が高いメリットがあります。一般的な方法で売却するよりも資金計画を立てやすい点を魅力に感じる場合は、有用な選択肢といえるでしょう。

 

売却活動に伴う負担が発生しない

 

業者に空き家を買い取ってもらえば、売却活動の手間が発生しません。不動産ポータルサイトへの掲載や空き家の現地案内などを行う必要がないため、一般的な売却方法よりも売主の負担が軽いというメリットがあります。

 

また、業者の買取では現状のままで買い取られることが多く、大規模な修繕やリフォームが不要です。価格交渉も一般的な売却ほど煩雑ではないため、面倒な交渉も発生しないメリットがあります。

 

内見対応に関しても、買取を行う業者の担当者のみが内見するだけで良く、内見の回数も1~2回程度で済むため、買主候補が現れる度に内見の日程調整や立ち会いを行うというような必要がありません。

 

買取価格がまとまり、実際に売買契約を締結する際にも、業者が主導して書類作成や手続きの多くを代行してくれます。複雑な契約書の確認や各種書類の準備の手間を省略できるため、不動産取引の経験がない売主でも安心です。

 

仲介手数料がかからない

 

業者に空き家を買い取ってもらう場合、仲介手数料がかかりません。一般的な売却方法の場合、不動産会社が買主を見つけて仲介を行うことから仲介手数料が発生しますが、買取の場合は不動産会社が買主となるため、そもそも仲介という概念がありません。

 

なお、仲介手数料は不動産の成約金額に応じて、以下のように上限額が定められています。

 

不動産の売買価格

受け取れる仲介手数料の上限

200万円以下

売買価格×5%+消費税

200万円超~400万円以下

(売買価格×4%+2万円)+消費税

400万円超

(売買価格×3%+6万円)+消費税

 

例えば、2,000万円で売却した場合は「(2,000万円×3%+6万円)×1.1=72万6,000円」の仲介手数料を支払わなければなりません(不動産会社によっては安く済むことがある)。

 

成約金額が高いほど支払う仲介手数料も高額になりますが、買取であれば仲介手数料を節約できます。数十万円ほど(場合によっては100万円以上)の仲介手数料を節約できるため、売主のコスト負担の軽減につながります。

 

ただし、業者によっては通常の仲介手数料に相当する金額を、買取価格の設定に反映させることがあります。そもそも買取では市場価格よりも安く取引されますが、さらに割り引いた価格で売却せざるを得ない可能性がある点に注意が必要です。

 

仲介で売れない物件も買い取ってもらえる

 

売却を検討している空き家の築年数が経過しており、老朽化が進んでいる場合は買主が見つからない可能性があります。しかし、買取を依頼すれば、仲介で売れない物件も買い取ってもらえるメリットがあります。

 

買取を主力事業にしている不動産会社であれば、老朽化した物件や立地条件が悪い物件も買い取ってくれる可能性があるので、「売却できるかわからない」という不安を抱えている売主も安心です。

 

一般的な方法で売却する場合、「買主が欲しいと感じる物件」でなければ、なかなか成約に至りません。物件の状態が良好であることが求められるため、老朽化が進んでいたり、立地条件が悪かったりする物件は、苦労するケースが想定されるでしょう。

 

買取では、物件の問題点を考慮した価格設定が行われるため、買主が見つかりづらい(市場性が低い)物件でも買い取ってもらえる可能性があります。

 

特に買取を主力事業としている不動産会社は、問題のある物件を扱う専門知識と経験を持っています。そのため、一般的な仲介では売れない物件でも、買取を依頼することでスムーズに売却できる可能性があります。

 

契約不適合責任を負わずに済む

 

契約不適合責任とは、契約に沿って引き渡された目的物が契約の内容に合っていないとき、売主が買主に対して負う責任です。もし引き渡した不動産に問題があり、買主から契約不適合責任を追及されると、代金減額請求や損害賠償請求を受ける恐れがあります。

 

一般的な不動産売買では売主が契約不適合責任を負いますが、買取の場合はその責任を負わずに済みます。不動産の専門家である不動産会社が、物件の状態を十分に把握したうえで買い取るためです。

 

買主である不動産会社が「問題があることについて知らなかった」という事態が起こりにくいため、売主が負う責任が軽減されます。

 

売主は契約不適合責任を負わずに済むことで、契約解除や損害賠償を求められるリスクを回避できるため、売却後も安心です。多くの場合、買取では契約書に「現状有姿」での売買であることが明記されるため、法的なトラブルが起きにくいのです。

 

解体費用を負担せずに済む

 

空き家を業者に買い取ってもらえば、売主が解体費用を負担せずに済みます。買取では現状のまま買い取られるため、解体費用は買い取った業者が負担するのが一般的です。

 

これにより、売主の金銭的負担が軽減されるだけでなく、解体業者の手配や解体が行われるまでの物件管理の手間を省けるメリットがあります。

 

買取を行う業者は、物件の将来的な価値や活用方法を見据えて買取を行っており、解体費用も含めて事業計画を立てています。

 

そのため、解体費用を考慮した買取価格を設定したり、土地の価値から解体費用を差し引いた買取価格を設定したりしていると考えられるでしょう。

 

つまり、表面的な解体費用は発生しなくても、実質的には売主が解体費用の一部を負担している可能性がある点に注意が必要です。

 

空き家を業者に買い取ってもらうデメリット

1 3

空き家を業者に買い取ってもらうメリットがある一方で、いくつか気をつけるべきデメリットがあります。メリットだけでなく、デメリットも把握して自分に合っている方法かどうか検討をおすすめします。

 

仲介よりも売却金額が低くなる

 

買取を依頼すると、仲介で売却するよりも金額が低くなります。業者は買い取った不動産を転売して利益を得るため、物件を安く仕入れる必要があるのです。

 

また、業者が物件の将来的なリスク(価格変動リスク等)を引き受けるため、その分価格が抑えられてしまいます。他にも、修繕やリフォームにかかる費用や仲介手数料に相当する金額が買取価格に反映されることも、買取価格が低くなる要因です。

 

あくまでも目安ですが、買取の場合は市場価格よりも10〜30%程度低い金額で買い取られるイメージを持っておくとよいでしょう。

 

このように、買取では迅速な売却と確実な資金化を実現できる反面、経済的な不利益を被る可能性があります。

 

例えば、本来であれば2,000万円で売却できる不動産を、1,400万円ほどで売却するのはもったいないことです。一般的な方法で売却できる見込みがある空き家を保有しており、特段資金化を急いでいない場合は、安易に買取を依頼すると後悔するかもしれません。

 

「売却を急いでいるのか、いないのか」「できるだけ高く売りたいのか、ある程度妥協しても問題ないのか」など、さまざまな状況を整理したうえで選択する事をおすすめします。

 

必ず買い取ってもらえるとは限らない

 

買取では一般的な仲介で売却が難しい不動産でも買い取ってもらえる可能性がありますが、必ずしもすべての不動産が当てはまるとは限りません。業者が「転売しても利益を得られる見込みがない」と判断したら、買い取ってもらえないでしょう。

 

つまり、空き家を買い取ってもらえるかどうかは、空き家の状況や不動産会社の事業方針によって左右されます。例えば、老朽化が進み、著しく修繕費用が高額になりそうな空き家や、特殊な構造で汎用性が乏しい空き家は、買い取ってもらうことが難しいでしょう。

 

ほかにも、権利関係が複雑な空き家や訴訟リスクがある空き家も、敬遠されるのが一般的です。転売や賃貸が困難と判断される場合だけでなく、業者が対応していないエリアに属する物件も、買取が難しいケースが考えられます。

 

なお、買い取ってもらえる場合でも、売主の希望価格と買取価格に乖離がある場合も売却に至らない可能性があります。買取でも売却金額の交渉は可能ですが、折り合いが付かなければ成約には至りません。

 

買取に対応している不動産会社が見つからない可能性がある

 

巷には多くの不動産会社がありますが、すべての会社が買取を行っているとは限りません。近隣に買取に対応している不動産会社が見つからない可能性も十分に考えられます。

 

不動産の買取は、自社で物件を購入して再販売や賃貸運用を行うビジネスモデルです。買取には大きな資金力が必要となるため、比較的大手や専門的なノウハウを持っている不動産会社が行っている傾向にあります。

 

地方や郊外では、買取を行っている不動産会社が見つからない、というケースが考えられるでしょう。特に、売却を検討している空き家が地方や郊外にある場合、買取に対応してくれない可能性が高まります。

 

買取を行っている業者が見つかったとしても、「戸建て専門」「土地専門」のように、特定の物件タイプに特化しているケースもあります。

 

そのため、空き家が存在するエリアや現況によっては、買い取ってくれる業者が見つからない可能性が考えられるのです。

 

空き家をできるだけ高く買い取ってもらう方法

1 4

一般的に、不動産買取では市場価格よりも安く売却することになります。少しでも手元に残せるお金を増やすためにも、できるだけ高く買い取ってもらう方法を知っておくことをおすすめします。

 

以下で、空き家をできるだけ高く買い取ってもらう方法を解説します。

 

残置物がある場合は撤去する

 

空き家に残置物がある場合は、撤去したうえで買取を依頼しましょう。残置物とは、家に残された家具や家電、不要物を指します。

 

不動産を売るときは、残置物を売主が処分しておくのが一般的です。残置物があると、処分の手間や費用負担を買主が負うことになるため、売却金額が低くなりやすいのです。

 

残置物を撤去しておけば、買主の負担を軽減できるだけでなく、空間が広く見えたり、清潔感が増したりするため、物件の価値が向上します。

 

物件の状態がよく見えることで査定価格が上がり、結果的により高い価格で売却できる可能性があります。

 

可能な限りすべての残置物を撤去するのが基本ですが、エアコンや照明器具など、物件価値を高めるための設備は残します。まだ利用できる家具や家電に関しては、リサイクルショップなどに買い取ってもらい撤去費用の一部に充てることを検討しましょう。

 

ただし、買取業者によっては残置物を放置しても問題ない可能性があります。元々業者がフルリフォームや建て替えを検討している場合、まとめて残置物を処分することがあるためです。事前に買取業者へ確認する事をおすすめします。

 

可能な限り修繕を済ませておく

 

可能な限り修繕を済ませておくことも、空き家をできるだけ高く買い取ってもらううえで有効です。生活に必要不可欠な設備が故障している場合、事前に修繕しておけば物件の価値が高まります。

 

物件の全体的な状態が向上すれば査定価格が上がり、より高く売却できるでしょう。業者が買い取った後の修繕コストと手間を抑えられるため、査定結果の向上が期待できます。

 

例えば、第一印象に大きく影響する外壁や屋根に修繕の必要性があれば、事前に対応しておくことをおすすめします。清潔感に直結するキッチンや浴室、トイレなどの水回りに不具合があれば、やはり必要な修繕を施すとよいでしょう。

 

ただし、修繕費用が買取価格の上昇分を上回るとトータルで損をしてしまうため、注意が必要です。過剰な修繕費用がかかりそうな場合は一旦修繕を見送り、買取業者と相談することをおすすめします。

 

空き家の買取に強い不動産会社を選ぶ

 

不動産会社によって、主力事業が異なります。空き家の買取に強い不動産会社を選ぶことで、より高く買い取ってもらえる可能性が高まります。

 

買取を専門的に行っている不動産会社であれば、ある程度老朽化している空き家であっても、問題を解決するための方法に精通していると考えられます。また、空き家市場の動向を熟知していることで、空き家が持つ潜在的な価値を評価してくれる可能性が高まるでしょう。

 

買取と再販売の実績が豊富にあれば、不動産会社同士で強力なネットワークを持っている期待も持てます。スムーズに買主を見つけられる算段が付いていれば、スムーズかつ相応の金額で空き家を買い取ってくれるでしょう。

 

実績が豊富な不動産会社であれば、提案力も優れていると考えられます。物件の状態や所有者の事情に応じた提案を行い、通常の不動産会社では難しい条件にも対応できる業者に依頼すれば、より高い買取価格を提示してくれる可能性があります。

 

空き家の買取業者を選ぶときのポイント

1 5

空き家の買取を依頼する際には、信頼できる業者に相談しましょう。信頼できる業者に買取を依頼することで、自分の希望に近い条件での売却を実現できます。

 

以下で、具体的に買取業者を選ぶ際のポイントを解説します。

 

空き家の買取実績が豊富にあるか確認する

 

空き家の買取業者を選ぶ際には、買取実績が豊富にあるかを確認しましょう。買取実績が豊富な業者は、空き家の買取や再販売、市場のニーズの把握など専門知識を有している可能性が高いと考えられるためです。

 

空き家には、建物の老朽化や設備の劣化など特有の問題がありますが、実績が豊富であればこれらの問題に対処する方法を把握していると考えられます。また、過去の事例から効果的な解決策を有していれば、難しい条件を抱えている空き家でも買い取ってもらえる可能性があります。

 

さらに、空き家の価値を適切に評価できる経験やノウハウがあれば、市場動向や地域特性を考慮した的確な査定が可能です。売主の事情に合わせて買取条件を柔軟に提案してくれるケースもあります。

 

このように、実績が豊富な業者に依頼すれば安心して取引を任せられるでしょう。多数の取引実績はこれまで蓄積された信頼の証でもあるため、適正かつ公正な取引が期待できます。

 

なお、実績豊富な業者を見つけるためには、業者のウェブサイトで実績や成約事例を確認したり、口コミやレビューを参考にしたりすると良いでしょう。可能であれば、実際に利用した人から評判を聞くのも有効です。

 

空き家が属する地域の売却に強い

 

業者によっては、買取を行っている地域を限定しているケースがあります。地域を限定していれば、その地域の事情に精通していると考えられ、空き家の価値を的確に評価してくれる可能性があります。

 

地域ごとの価格傾向や需要の変化、地域特有の強み(再開発予定や交通アクセスなど)に精通していれば、空き家の効果的な活用法を考えてくれるかもしれません。また、地域の不動産会社やその他の事業者とのつながりを有していれば、迅速に再販売できるでしょう。

 

業者が買い取った空き家をスムーズに再販売できる見通しが立っていれば、空き家の買取も問題なく進めてくれる可能性があります。結果的に、スムーズかつ納得できる金額で売却できるでしょう。

 

担当者の対応が良い

 

空き家の買取業者を選ぶ際に、担当者の対応が良いかを確認することは重要です。不動産の売買は一般的に高額なお金が動くため、安心して取引するためにも信頼できる担当者に依頼することをおすすめします。査定結果の根拠を丁寧に説明してくれたり、売主の希望を丁寧にヒアリングしたうえで、最大限実現できるように配慮してくれたりすれば安心して取引できます。

 

円滑にコミュニケーションが取れて、隠し立てのない情報提供を行ってくれる担当者であれば、売主が不利益を被るリスクを軽減できるでしょう。

 

不動産取引は複雑さを伴いますが、丁寧かつ親切に説明してくれれば、売主の不安を軽減できます。また、質問や要望を伝えたときに素早く返答が得られれば、高い倫理感を持っていると考えられるでしょう。

 

買取に関する相談をして、実際に話す中で「自分の状況や要望をしっかりと聞き取ってくれるか」「状況に合わせて適切な提案を行ってくれるか」「質問に対して的確かつわかりやすく回答してくれるか」を確認することをおすすめします。

 

併せて、実際に利用した人から寄せられている評判や口コミを参考にするのも有効です。

 

空き家がある土地を有効活用する方法

1 6

戸建ての空き家と土地を有している場合、空き家を処分して土地を有効活用する方法があります。買取業者に買い取ってもらうだけでなく、さまざまな方法を模索して土地を活用しましょう。

 

以下で、具体的な土地の活用方法を解説します。

 

更地にして売却する

 

空き家を解体して、土地を更地にしたうえで売却する方法があります。更地にすれば、買主の選択肢が広がるため買主候補が現れやすく、結果的にスムーズな売却につながる可能性があります。

 

買主としては、空き家がある状態よりも更地のほうが自由に土地を活用できるため、魅力的に感じやすいのです。空き家がない分、土地の価値が明確になり高値での売却につながる可能性も生まれます。

 

立地条件がよければ、土地そのもののアクセスや周辺環境が高く評価されるでしょう。その結果、「使い勝手がよく、すぐに建築できる土地が欲しい」という買主の希望を満たし、高値での売却につながる可能性があります。

 

ただし、空き家を解体する際には解体費用がかかる点には注意が必要です。解体費用分を土地の売却金額に上乗せできず、結果的に損をしてしまう恐れがある点には留意すべきです。

 

収益物件を建てる

 

空き家を解体して、新しく収益物件を建てることも一つの選択肢です。立地条件がよく、安定した賃貸需要が見込まれる場合は収益物件の建築を検討しましょう。

 

収益物件を建てて安定的に入居者を確保できれば、安定して不動産収入を得られます。マンションやアパート、テナントなど収益物件の種類はさまざまですが、土地の特性に合わせて賃貸経営を行いましょう。

 

空き家がある状態だと土地を有効活用できませんが、収益物件を建てることで収益を生む資産に転換できます。さらに、安定的に収益が出れば土地としての価値が高まり、将来的に高い価格で売却できる可能性も生まれます。

 

ただし、空き家の解体費用と収益物件の新築費用が発生するため、資金計画は慎重に考えなければなりません。土地の需要を考えたうえで、将来的に空室が生じるリスクや不動産市況の変動により資産価値が下落するリスクを折り込み、どのような物件を建てるか総合的に判断する必要があります。

 

空き家の買取を依頼するときの流れ

1 7

実際に空き家を業者に買い取ってもらう際の流れについて、順を追って解説します。

 

事前準備

物件情報の整理(所在地、築年数など基本情報の確認)

登記簿謄本、固定資産税評価証明書などの書類準備

買取業者の選定と調査(複数の業者をリストアップし、インターネットや口コミで信頼できそうか調査する)

相談

電話やインターネットで問い合わせたうえで、初期相談を行う

空き家の概要を伝えて、買取可能性を確認する

基本情報をもとに簡易的な査定を依頼し、おおよその買取価格範囲を把握する

担当者が信頼できそうか確認する

現地調査

現地調査の日程を決め、立ち会ったうえで現況を確認する

建物の状態や設備、周辺環境などを確認する

残置物の有無や処分の必要性を確認

正式な査定と買取提案

現地調査を経て、買取価格の提案を受ける

市場価値や将来の活用可能性などを踏まえて評価されるため、算定の根拠を確認する

疑問点や要望があれば、価格や条件について交渉して希望をすりあわせる

正式な買取価格が提示され、納得できたら 買取条件(決済日、残置物の扱いなど)を確認したうえで契約を進める

契約

契約内容(買取価格、決済日、特約事項など)を確認する

売買契約書への署名や捺印などの契約手続きを行う

決済と引き渡し

物件の最終確認(残置物の処理状況など)や引き渡しに必要な書類の準備を進める

成約した金額の決済と所有権移転登記の手続きを行う

物件の鍵を業者に引き渡す

アフターフォロー

 

譲渡所得が発生する場合は、税金の処理を行う(確定申告を行うのは翌年2月~3月)

必要に応じて、今後の不動産取引に関する相談を行う

 

業者に空き家の買取を依頼する準備として、物件情報を整理しましょう。登記簿謄本や固定資産税評価証明書などの必要書類を取り寄せておくと、実際に査定を依頼する際にスムーズです。

 

そして、インターネットで買取業者をリサーチし、評判や口コミを収集して相談する業者を選定しましょう。なお、選定の際には複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

 

相談する業者を選定したら、電話や問い合わせフォームなどで連絡します。空き家の概要を伝えたうえで買取の可能性を確認し査定を依頼しましょう。

 

正確な価値を算定するために、買取業者と日程を調整したうえで現地調査を行うのが一般的です。建物の状態や設備の状況、周辺環境などを確認します。

 

現地調査結果を経て詳細な査定が行われ、具体的な買取金額が提示されます。どのようなプロセスで査定結果を出したのか、具体的な根拠を求めると良いでしょう。また、買取価格だけでなく業者の信頼性や対応の丁寧さも確認することをおすすめします。

 

必要に応じて価格や条件について交渉を行い、金額に納得できたら売買契約を締結します。買取価格や決済日などの契約内容を確認したうえで、書面を取り交わします。

 

契約書を取り交わしたら決済を行い、所有権移転登記の手続きを行います。必要に応じて、譲渡所得税の申告手続きなど必要な税務処理を行えば、一連の手続きは完了です。

 

まとめ

 

保有している空き家をスムーズに売却したいとき、不動産会社に買取を依頼するのは一つの手段です。スムーズに売却を進められ、管理の手間から早く解放されたい場合は検討することは選択肢の一つです。

また、不動産買取では市場価格よりも安い金額での売却になってしまう傾向にあり、立地や空き家の状況次第では難航することも想定されます。

空き家を売却する以外にも、解体して更地にして売却したり、収益物件を建てて土地を活用したりする方法もあります。戸建ての空き家に限らず売却を検討している方は、安易に買取を依頼するのではなく、より経済的な利益が大きい活用方法を考えてみてください。実は、より高く売買する方法はあります。不動産の売買は、異なる立場の人たちと利益相反関係の中で話を進めてゆきます。より良い関係の構築や、高く売却する方法を知ったうえで行動するか否かで結果が大きく変わってきます。そのためには知識の習得やノウハウを学ぶことをおすすめします。プロに教わったり、または大家の会やスクールで勉強すると良いでしょう。

 

 

8d9d8f71aac3e9b7f5785481cdc0178e 1024x193

関連記事