不動産買取の仕組みやメリットとは?デメリットと注意点もあわせて解説
不動産買取とは、不動産会社に保有している不動産を買い取ってもらうことです。買主を探す手間を省けるため、スムーズに売却できるメリットがあります。
不動産を売り急いでいる方や、忙しくて売却活動の手間を省きたい方は、不動産買取の仕組みを利用するのも一つの手です。
こちらの記事では、不動産買取の仕組みやメリット、デメリットなどを解説します。
目次
不動産買取とは
不動産会社による不動産買取とは、不動産会社が所有者から直接物件を購入することを指します。
一般的に不動産を売却する際には、不動産会社の仲介を経て買主を探します。買主がなかなか現れないときやスムーズに不動産を売却したいとき、迅速に取引を進められる不動産買取は有用な手段です。
不動産買取は、離婚や相続、転勤などの理由で急いで不動産を売却したい事情に迫られている方に向いています。他にも、「○月までに確実に不動産の売却を完了させたい」など、具体的なスケジュールを考えている方も検討するとよいでしょう。
不動産買取の種類
不動産買取には、即時買取と買取保証の2種類があります。
以下で、それぞれどのような仕組みなのか解説します。
即時買取
即時買取とは、不動産会社との買取額の交渉が完了したら、すぐに買い取ってもらえる制度です。早ければ1週間程度、長くても1カ月程度で不動産を売却できるメリットがあります。
不動産会社が物件の現地調査を行い、提示した金額に合意すれば、すぐに売買契約を締結できます。買主が現れるのを待つ必要がないため、不動産売却に関する手続きを大幅に簡略化できるでしょう。
緊急の資金需要がある場合やライフプランの急変で急いで不動産を売却したいときに、有用な手段といえます。ただし、市場価格よりも1割~3割程度安い価格での売却を強いられる点に注意が必要です。
買取保証
買取保証とは、一定期間買主が現れるのを待ち、期間内に売却できなかったときに不動産会社が買い取るサービスです。売却できなかったとき、不動産会社が事前に決めた価格で買い取ることを「保証」するため、売主にとっては確実に売却できるメリットがあります。
当初は一般的な不動産仲介による売却活動を行うため、通常の市場価格で不動産を売却できる可能性を残せる点がメリットです。なお、買取保証の仲介期間は3カ月~6カ月程度で設定されるのが一般的です。
不動産会社に買い取ってもらう売却価格を確保しつつ、より高い価格での売却チャンスを狙いたい方に向いている方法といえるでしょう。
不動産買取を利用するメリット
不動産買取のメリットは、スムーズに不動産の売却を完了できる点です。
他にも多くのメリットがあるため、以下で詳しく解説します。
買主を待つ必要がないため早く売却できる
不動産買取を利用すれば不動産会社が直接買い取るため、買主が現れるのを待つ必要がありません。「待ち」の期間を短縮して、早く売却できるメリットがあります。
一般的な不動産仲介だと、買主が現れるとは限りません。また、物件に興味を示す人が現れたとしても、金額で合意できるとも限りません。
緊急の資金需要がある方や、転勤や移住が決まり急いで不動産を売却したいと考えている方にとって、なかなか買主が現れないのはストレスでしょう。
売却に関する時間的な制約や特殊な事情を抱える方は、スムーズに売却できる不動産買取が適しているでしょう。
瑕疵担保責任・契約不適合責任を免除できる可能性がある
不動産買取で不動産を売却すれば、瑕疵担保責任・契約不適合責任を免除できる可能性があります。瑕疵担保責任・契約不適合責任とは、買主が物件の瑕疵(シロアリ被害や雨漏りなど)に気付いた後、1年以内に請求すれば売主が修繕対応をしたり、そもそもの売買契約を解除できたりするルールです。
買主が不利益を被る事態を未然に防ぎ、不動産取引の秩序を守る役割を果たしています。しかし、買主にとっては、「いつ契約を解除されるか分からない」というストレスを感じることになりかねません。
しかし、不動産買取では不動産のプロである不動産会社が買い取るため、瑕疵担保責任・契約不適合責任が免除されるのが一般的です。
これにより、築年数が経過している建物や遠方にあり状況を把握しきれていない建物を売却するときでも安心できるでしょう。
周囲に知られずに売却を進められる
不動産買取を利用すれば、周囲に知られずに売却を進められます。不動産の売出情報がオープンにならず、当事者である売主と買主しか知り得ないためです。
不動産を通常の取引市場で売却する際には、当然のことながら一般の買主を探す必要があります。インターネットやチラシによる広告が出されるのが一般的なので、当該情報を見た人は「あの家、売る予定なんだ」という事実を知ることができます。
しかし、不動産買取なら物件を一般公開して広告を出す必要がありません。何らかの理由で売却を周囲に知られたくない方にとって、合っているサービスといえるでしょう。
不動産会社には守秘義務があるため、売却後も事情が外部に漏れることもありません。
内覧の案内を行う必要がない
不動産買取では、物件の内覧案内が不要です。一般の買主を募らず、不動産会社の現地調査を経て売買金額が決まるため、そもそも案内する必要がないためです(買取保証での仲介期間中を除く)。
物件の内覧案内をするときは、日程調整をしたり当日に向けて清掃を行ったりと、何かと手間と労力が発生します。当日は購入希望者の質問に答える必要があるため、負担を感じることもあるでしょう。
しかし、不動産買取であれば一連の内覧の案内が不要なので、売主の負担を軽減できます。仕事が忙しい方や物件から離れた場所に住んでおり内覧の時間を確保するのが難しい方にとって、不動産買取は有用な選択肢といえるでしょう。
仲介手数料がかからない
不動産買取では、仲介手数料がかかりません。仲介手数料とは、不動産会社が買主を見つけたときの成功報酬のようなものです。
不動産買取は仲介ではなく不動産会社が買い取るため、そもそも仲介していません。そのため、仲介手数料が発生しないのです(買取保証による仲介期間中を除く)。
仲介手数料は、売買金額によっては数百万円にもなります。買取価格は通常の市場で取引する場合より安くなりやすいものの、仲介手数料が不要なので経済的な損失を補うことが可能です。
仲介手数料を巡る交渉も不要なので、事務的な負担を軽減できる点もメリットといえるでしょう。
部屋を修繕する必要がない
不動産買取で売却する際には、部屋を修繕する必要がありません。多くの場合、不動産会社が買い取った上でリフォームやリノベーションを施して再販売するため、売主が修繕を行う手間を省略できます。
一般的な不動産市場で売却する際には、買主の興味を引くために修繕を行う必要性が出てくるかもしれません。しかし、不動産会社は修繕費用を考慮した上で、現状のまま買い取ってくれます。
修繕作業を省略できれば、時間を節約し売却をスムーズに進められます。仕事や家庭の事情で修繕に時間を割けない方や、大規模な修繕が必要な物件の売却を検討している方にとって、ありがたいサービスといえるでしょう。
破談となるリスクが低い
不動産買取では、売買取引成立後に破談となるリスクが低いメリットがあります。一般的な買主の場合は瑕疵担保責任・契約不適合責任による契約解除のリスクがありますが、不動産買取の場合は不動産会社が慎重に査定と買取判断を行うためです。
また、買取を行う不動産会社は個人よりも十分な資金力を持っているケースが多いため、融資審査が通過できず破談となるリスクも低いでしょう。
このように、一般的な不動産取引と比較して、破談となるリスクが低いことで売主は安心して売却できます。売買契約が成立したと思ったら、後になってリセットされるのは心身共に大きな負担となるでしょう。
売却の確実性を重視している方や必ず期限内に売却を完了させたい事情を抱えている方にとって、不動産買取は合っている方法といえるでしょう。
不動産買取を利用するデメリット
不動産買取にはメリットがある一方で、気を付けるべきデメリットもあります。
メリットとデメリットのバランスを考えた上で、本当に合っている売却方法なのか考えてみてください。
仲介で売却するよりも売却価格が低くなる
不動産買取で売却すると、仲介で売却するよりも売却価格が低くなるデメリットがあります。買い取った不動産会社は、将来的な再販売を通じて利益を得ることを見越しているためです。
再販売で利益を出すには、安く買い取って高く売却する必要があります。そのため、不動産買取では一般的な相場よりも低い価格にならざるを得ないのです。
つまり、不動産買取では買取後の価格変動リスクを不動産会社が負っているともいえます。リスク分を価格に反映させる必要がある点も、市場価格より安くなってしまう要因といえるでしょう。
他にも、早期に売却できる利便性と引き換えに価格が抑えられている事情もあります。修繕やリフォーム費用が高額になりそうな不動産であれば、それらの費用を加味しなければなりません。
価格よりも売却の確実性を優先したい方には向いていますが、できるだけ高く売却したいと考えている方には向かない可能性がある点に注意しましょう。
すべての不動産を買い取ってもらえるとは限らない
不動産買取では、すべての物件を買い取ってもらえるとは限りません。不動産会社は買い取った後の再販売を通じて利益を得ることを前提としているため、売却できる見込みが薄い不動産は買い取ってもらえない可能性が高いでしょう。
例えば、権利関係が複雑で法的な問題がある不動産や、アクセスが極端に悪く立地に問題がある不動産が挙げられます。また、極度に老朽化しており廃墟同然の不動産も、買い取ってもらえない可能性が高いでしょう。
また、不動産会社によっては買取のエリアを限定しているケースがあります。不動産会社の対応エリアを確認した上で、買取を依頼しましょう。
売却に際して諸費用や税金はかかる
不動産買取の契約を進める過程で、諸費用や税金が発生します。例えば、所有権を移転する際に司法書士へ支払う手数料が代表的です。住宅ローンがある場合は、一括返済手数料も必要になるでしょう。
他にも、取得した金額よりも売却した金額のほうが高い場合は、譲渡所得税と住民税が発生します。売買契約書を作成する際には、取引金額に応じて印紙税を納付しなければなりません(収入印紙を購入して契約書に貼付する)。
仲介手数料は発生しないとはいえ、コストがまったくかからないわけではありません。不動産売却を進める際には、一連のコストも踏まえて手続きを進めましょう。
住宅ローンがある場合は完済する必要がある
住宅ローンがある場合は、完済した上で不動産買取を進める必要があります。住宅ローンがる不動産には抵当権が設定されており、抵当権を抹消しなければ一般的に不動産は売却できないためです。
住宅ローンが残っていると、金融機関が抵当権を有しています。抵当権があると、買い取った不動産会社は「いつ競売されるか分からない」というリスクを抱えます。
そのため、不動産を売却するためには抵当権を抹消しなければなりません。抵当権抹消はローンの完済が前提条件となるため、必要に応じて自己資金を投入して完済する必要があります。
売却したお金と自己資金を合わせても住宅ローンを完済できない場合は、そもそも不動産買取を依頼できないため、注意しましょう。
不動産買取が向いている人の特徴
不動産の売却を検討している方の中には、不動産買取が向いているケースがあります。
以下で、どのような方が向いているのか解説します。
売却したいスケジュールが決まっている人
売却したいスケジュールが具体的に決まっている人は、不動産買取が向いています。不動産買取は通常の売却よりも短期間で完了する上に、売却の確実性が高いためです。
不動産会社と直接取引を行うため、一般個人である買主との調整が不要です。売主のスケジュールに合わせて柔軟に売却を進められるため、スケジュールに合わせて売却を進められるでしょう。
また、通常であれば1〜2回の交渉で取引価格が決定するため、長期にわたる交渉を避けられます。また、不動産会社が買い取ることで手続きが簡略化されるため、売主の事務的負担を抑えられるでしょう。
転勤で相続などの事情から売却を急いでいる人
転勤や相続などの事情から売却を急いでいる人も、不動産買取が向いています。転勤によって現在の住居を売却したいときや、相続税の納付期限が迫っているときなどは、時間的な余裕がないケースが考えられるでしょう。
さまざまな事情で売却を急いでいる人にとって、ほぼ確実に不動産を売却できる不動産買取は合っているサービスです、転勤や相続の手続きに合わせて手続きを進められるため、計画が立てやすいでしょう。
また、売却代金を素早く受け取れれば、転居費用や相続税の納付資金を用意できます。住まない不動産を処分し、その後の維持管理負担から解放される点もメリットです。
近隣に知られずに不動産を売りたい人
近隣に知られずに不動産を売りたい人も、不動産買取が向いています。一般的な売却活動の過程で行われる看板設置や広告掲載が不要で、当事者同士で契約を進められるためです。
例えば、離婚をはじめとした個人的な事情で売却する必要がある人や、近隣住民との関係悪化に伴う嫌がらせを避けたい人が挙げられます。
不動産買取であれば、情報がオープンにならないため不動産の売却を進めている事実を隠せます。他人の目に触れる機会がなく、取引そのものも迅速に完了するため、他人に気付かれにくいメリットがあります。
現金を急いで用意する必要がある人
現金を急いで用意する必要がある人は、不動産買取を検討するとよいでしょう。不動産買取であれば、1カ月程度で不動産を売却し資金化できるメリットがあります。
例えば、相続税の納付期限が迫っている人や債務を返済するために緊急で資金を調達する必要がある人が考えられます。
不動産買取では、一般的な不動産売買のように買主が現れるのを待ったり、買主の融資結果を待ったりする必要がないため、資金計画を立てやすい点がメリットです。
何らかの事情で現金を用意する必要性に迫られている方は、実際に手元に残る金額をシミュレーションした上で、不動産買取の利用を検討するとよいでしょう。
売却に関する事務的な負担をかけたくない人
売却に関する事務的な負担をかけたくない人も、不動産買取を検討しましょう。不動産買取では内覧の案内や複雑な書類作成など、手続きの負担を軽減できる特徴があります。
仕事が忙しく売却手続きに時間を割けない方や、複雑な手続きや交渉を負担に感じる方は不動産買取の利用を検討するとよいでしょう。
不動産会社が直接買主になるため、売却に際してのコミュニケーションや各方面との調整などの事務的負担を軽減できます。また、売却のための修繕やリフォームが不要なので、事前準備の負担も一般的な売却と比較して軽いでしょう。
売却に関する質問や相談を不動産会社の担当者一人に集約できるため、何事もスムーズに進められるメリットがあります。
不動産買取が向いていない人の特徴
不動産の売却を検討している方の中には、不動産買取が向いていないケースもあります。
以下で、不動産買取が向いていない人の特徴を解説します。
売却するまで時間的余裕がある人
売却するまでに期限を設けておらず、時間的余裕がある人は不動産買取が向かない可能性が高いでしょう。時間的余裕がある場合、市場価格で購入してくれる買主が現れるのを待てるため、無理に急いで買い取ってもらう必要性が薄いためです。
不動産買取ではなく、通常の売却方法であれば適切な価格で買主に売却できます。買取で売却すると結果的に逸失利益が発生してしまい、もったいない取引を行ってしまうリスクがあるのです。
さらに、時間的余裕があれば不動産市場が好転する可能性を待てます。逆に不動産市場が悪化するリスクもありますが、「より高く売却できるチャンスを逃さない」という意味でも、買取はもったいないといえるでしょう。
また、急いで売却すると次の住居探しや引っ越しの準備も慌ただしくなります。家を売却した後は、その家に自分たちが住めないため、次に住む家を吟味する時間的な余裕がなくなってしまう恐れがあります。
自分たちが快適な新生活を始める上でも、不動産買取はおすすめできません。本当に買取依頼をするべきか、慎重に判断しましょう。
高値での売却を望む人
不動産をできるだけ高値で売却したいと望んでいる人は、不動産買取が向きません。不動産買取では市場価格の7割~8割程度の売却額になってしまうケースが一般的なので、もったいない取引になってしまいます。
例えば、市場価格が3,000万円と評価される不動産を2,500万円で売却すると、500万円分損していることになります。不動産買取のビジネスモデルを考えると買取金額が低くなってしまうのは仕方ないとはいえ、本来の価値よりも安い金額で売却するのは非合理的です。
さらに、不動産買取は不動産会社主導で話が進むケースが多いため、売主が積極的に交渉して価格を上げるのが難しいデメリットがあります。売却するほうは不利な立場に置かれやすく、経済的に損してしまう可能性が高いといえます。
買取は迅速に売却できるメリットがある反面、最適な売却タイミングを待つことができません。そのときにおける査定額での買取となるため、時期が悪いとさらに安い金額で売却を余儀なくされるリスクもあります。
例えば、不動産市況が芳しくないときや不動産需要が低い時期では、買取金額が低くなってしまう可能性があるため注意しましょう。
競争原理を働かせたい人
競争原理を働かせたい人も、不動産買取に向きません。買取は一般的な買主を待たずに不動産会社が買い取るため、一般消費者による競争原理が働かないためです。
複数の不動産会社に買取金額の査定を依頼できるとはいえ、すべての不動産会社が買取を行っているわけではありません。また、買取が主力事業でなければ、高値での売却は見込めないでしょう。
一般的な不動産市場で売り出し、複数の買主が関心を持てば競争原理が働き、高い価格で売却できる可能性が生まれます。特に、資産価値が高く人気のエリアに属する不動産であれば、多くの買主が関心を示すでしょう。
買取の場合は不動産をアピールする機会が限られてしまいますが、一般市場で取引すれば不動産の特徴や魅力を複数の買主にアピールできます。売主としてアピールできる機会があり、魅力的に訴えかければ、より高い売却価格・有利な条件を引き出せる可能性が高まるでしょう。
不動産買取を依頼するときの流れ
不動産会社に不動産買取を依頼する際の流れを、順を追って解説します。
流れ |
内容 |
買取を行っている不動産会社の選定と問い合わせ |
複数の不動産買取会社を調査し、問い合わせを行う |
相談する |
不動産会社の担当者と初回の相談を行い、物件の概要や売却の希望条件などを伝える |
必要書類を準備する |
登記簿謄本や公図、固定資産税評価証明書などの書類を提出する |
現地調査の日程調整を行う |
担当者が物件を実際に不動産の現況を見る日程を調整する |
現地調査 |
担当者が物件を訪問して状態を確認する |
査定評価を確認する |
現地調査の結果をもとに不動産会社による物件の査定結果を確認する |
価格交渉(必要な場合) |
提示された価格と自分の認識に齟齬がある場合、交渉を行う |
不動産買取の手続きを進める |
条件に納得できれば、買取の取引を進める |
契約書の作成と確認 |
不動産会社が正式な売買契約書を作成し、内容を確認する |
売買契約を締結する |
重要事項説明を経て内容を確認し、双方が合意したら売買契約を締結する |
決済日と不動産の引き渡し日を調整する |
不動産の引き渡しと代金の支払いを行う決済日を調整する |
物件の明け渡し準備を進める |
引っ越しや不用品の処分など、物件を明け渡すための準備を進める |
決済・引き渡し |
契約の内容通りに、決済と物件の引き渡しを行う |
上表は、あくまでも一般的な流れです。具体的な手順や必要書類は不動産会社や物件の状況によって異なる場合があるため、不動産会社とコミュニケーションを取りながら手続きを進めましょう。
不動産買取のメリットを享受できた事例
不動産買取を利用し、結果的にメリットを得られた成功事例を紹介します。
Aさんは東京都内のマンションに妻と2人で住んでいましたが、ある日勤務先から3年間の海外転勤を命じられました。赴任する日は3カ月後で、じっくりと不動産を売却する時間的余裕はありません。
海外赴任中も今の家を保有し続けることもできますが、住まない家のために住宅ローンを返済し続けることは心理的に負担があると感じたそうです。また、管理するのも難しいことから、スムーズに売却できる不動産買取を検討します。
複数の不動産会社に相談し、もっとも良い条件を提示した不動産会社へ買取を依頼しました。市場価格は4,000万円程度でしたが、不動産買取を主力事業としている会社を探したこともあり、3,200万円で買い取ってもらえたそうです。
手元の資金と合わせて住宅ローンも完済でき、海外赴任中における持ち家を管理するストレスや悩みから解放されました。買取に関する一連の手続きは3週間程度で完了したため、海外赴任の用意も問題なく進められたそうです。
このように、不動産買取は急いで不動産を売却したい事情を抱えている方に向いている方法です。通常の売却方法では、売却が完了するまで半年以上かかることも珍しくありませんが、今回のケースでは3週間で完了しました。
また、不動産取引のプロである不動産会社が買主となることで、やり取りがスムーズに進んだ背景もあります。
市場価格よりも安い金額での売却にはなってしまいましたが、Aさんは海外赴任中も不動産を所有し続けるリスクや管理の手間を回避できた点をメリットと感じているとのことです。
不動産買取でデメリットを被ってしまった事例
不動産買取を利用したことにより、結果的に損をしてしまった事例もあります。
Bさんは、東京都内の駅から徒歩10分の場所に築30年の一戸建てを所有していました。子どもが独立したため、コストを抑えるために住む家をダウンサイジングしつつ、退職後の生活資金を確保するために売却を検討します。
好立地ではあるものの、築年数が経過して老朽化が進んでいることもあり、Bさんは「そのままでは売りにくい」と考えます。また、「面倒だからできるだけ早く売却手続きを済ませたい」と考えていたこともあり、地元の不動産会社に相談します。
買取価格の査定を依頼したところ4,500万円という金額を提示され、他社での査定や市場調査をせずに受け入れます。その後3週間程度で売却手続きが完了し、家のダウンサイジングも実現します。
家の住み替えが完了して安心していたBさんですが、3カ月後に近隣の同じような物件が7,000万円で取引されたことを知ります。自身でも実際に売り出されている物件の価格を調べたところ、自分の保有していた家も6,500万円〜7,500万円程度で売却できる見込みがあったことが判明します。
結果的に、Bさんは2,000万円以上の機会損失を被ってしまいました。急いで不動産を売却する必要性がないにもかかわらず、安易に不動産買取を依頼してしまったことが原因です。
また、複数の不動産会社に査定を依頼せず、不動産買取のビジネスモデルを理解していなかったことも問題です。「早く売却したい」という思いから、慎重な検討を怠ったことで多額の逸失利益につながってしまいました。
このように、不動産買取を依頼する際には、複数の不動産会社から査定を受け、自分自身でも市場価格を調べることが大切です。
そもそも不動産買取を依頼すべきかどうかも、慎重に判断すべきでしょう。急いで不動産を売却する必要性がなければ、安易に買取を依頼すべきではありません。
まとめ
不動産を売り急いでいる方や早く現金化したい方などは、買取を利用するとよいでしょう。
しかしながら、「より高く売りたい」「利益を得たい」という方は、高く売るためのノウハウを学習することをおすすめします。
将来的に家族の不動産を相続する可能性がある方も、来るべきタイミングに備え、今から勉強することをおすすめします。
本や無料動画を活用して独学で学ぶことも可能ですが、誤った解釈で理解してしまうと、失敗をしてしまうリスクが伴います。スクールや大家の会などで、実経験を持つ講師や経験者から学ぶのがよいでしょう。