戸建ての売却は難しい?成功させるコツや売れないときの対策を解説

最終更新日:2024年11月8日

戸建ての売却を検討している方は、できるだけ高く売却したいと考えるのが自然です。しかし、昨今はマンションの需要が高まっていることもあり、一戸建ての売却で苦労する可能性があります。

また、売却できたとしてもさまざまな費用が発生するため、事前に資金計画を立てておきましょう。

今回は、一戸建てを売却するときに進めておくべき準備や、成功させるためのコツなどを解説します。

一戸建ての売却を進める前の準備

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希望に近い条件で一戸建ての売却を実現するためには、事前に綿密な準備を行う必要があります。

売主として事前に行うべき準備について解説するので、参考にしてみてください。

住宅ローンの残債を確認する

売却を検討している段階で、住宅ローンの残債を確認しておきましょう。住宅ローンの残債がいくらかによって、今後の売却方針に影響を与えるためです。

売却した代金で住宅ローンを完済したいと考える場合、残債から最低限必要な売却価格を逆算できます。売却価格がローン残債を下回ると、差額を自己資金で補填する必要が生じるため、手元の資金次第では売却が滞る事態になりかねません。

また、住宅ローンを一括返済する際には金融機関への事前相談が必要となります。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に金融機関へどの程度の売却金額が見込めるか伝えておくとよいでしょう。

名義人を確認する

不動産売却を検討する際、名義人が誰になっているのか確認することも大切です。名義人は自分以外になっていないか、共有になっていないか確認しましょう。

不動産の売却は、原則として名義人のみが行えます。実際には自分が管理していたとしても、登記上の所有権がない場合、勝手に売却することはできません。

例えば、相続や贈与で取得した一戸建ての場合、名義人の情報が古いままになっているケースがあるため注意が必要です。

共有名義の場合、一戸建てを売却するためには全員の同意が必要となります。共有者間で売却条件の合意形成が必要となり、時間がかかる可能性が考えられるでしょう。

名義人の確認を怠ると、売却手続き中や売却後にトラブルが発生する可能性があります。スムーズに一戸建ての売却を進めるためにも、不動産登記簿を取得し、名義人を事前に確認しましょう。

境界線を確認する

隣地との境界が不明確な一戸建ては、後々になってトラブルが発生するリスクがあるため、敬遠されることがあります。そのため、売り出す前に境界線を確認し、もし不明確な場合は境界を確定させておきましょう。

境界を明確にすることで、買主へ正確な土地の範囲を伝えることができます。これにより売主・買主ともに安心して取引を進められます。

また、境界線が明確であれば売買契約や登記手続きがスムーズに進み、手続きに関する負担を軽減できます。

不動産の売却ではさまざまな事務的負担が生じますが、売主の負担を軽減するためにも、専門家(土地家屋調査士など)の協力を得て、正確な境界線の確認を行うことをおすすめします。

必要書類を確認する

一戸建ての売却を進める前には、さまざまな必要書類が必要となります。書類不備による手続きの停滞を防ぎ、スムーズに売却するためにも、事前に必要書類を確認しておきましょう。

なお、具体的な必要書類は以下のとおりです。

  • 登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 公図
  • 建築確認通知書・検査済証

売却を依頼する不動産会社に確認すれば必要書類と入手方法を教えてくれるため、不安があるときは確認しておくとよいでしょう。

売却にかかる費用を確認する

不動産の売却には、仲介手数料や印紙税などのさまざまな費用が発生します。事前にどの程度の費用を用意する必要があるのか確認しましょう。

実際に手元に残るお金は、売却価格から諸費用を差し引いた後の金額です。次の住居を購入したり、新生活を始めたりする際の資金計画を立てるためにも、諸費用の把握は欠かせません。

予想外の出費で悩まずに済むだけでなく、諸費用を考慮することで、適正な売却価格を設定できるでしょう。

売却益が発生する場合、翌年に譲渡所得税や住民税などの納税が発生します。納税資金を計画的に用意するためにも、事前に売却にかかる費用を確認することは有意義です。

信頼できる不動産会社を探す

多くの場合、実際に一戸建ての売却活動を行うのは媒介契約を締結した不動産会社です。不動産会社に依頼せず、売主が売却活動を進めることも可能ですが、個人では情報発信力や販売力に限界があります。

希望に近い価格・希望に近い時期に一戸建てを売却するためにも、信頼できる不動産会社に依頼をしましょう。具体的には、販売実績が豊富で不動産関連の法律・税金に詳しく、市場動向などの最新情報に精通している不動産会社が該当します。

また、実際の対応を通じて担当者の丁寧さや説明の分かりやすさを判断すると同時に、地域での知名度・評判なども確認してみてください。

一戸建ての販売実績が豊富な会社は、地域の相場や市場の動向を熟知しており、売却可能性の高い適正価格を提案してくれます。また、多様な販売チャネルと広告手法を活用して効果的なマーケティングを行い、潜在的な買主へ効果的にアプローチしてくれるでしょう。

状況に応じて買主との交渉を効果的に行いつつ、売主の利益を最大化するために動いてくれます。あわせて、複雑な契約書類や登記手続きのサポートも行ってくれるため、売主の負担を軽減できるでしょう。

一戸建てを売却するときにかかる費用

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一戸建てを売却する際には、さまざまな税金や費用がかかります。どのようなコストが発生するのか、確認しておきましょう。

以下で、具体的にどのような費用が発生するのか解説します。

仲介手数料

仲介手数料とは、買主を見つけて売買契約を成約させた不動産会社へ支払う手数料です。成功報酬のような意味合いがあり、宅地建物取引業法において、不動産会社が請求できる仲介手数料は以下のように上限が定められています。

不動産の売買価格

受け取れる仲介手数料の上限

200万円以下

売買価格×5%+消費税

200万円超~400万円以下

(売買価格×4%+2万円)+消費税

400万円超

(売買価格×3%+6万円)+消費税

取引金額によっては支払う手数料が数百万円にもなるため、事前にいくらの仲介手数料が発生するか確認しておきましょう。

譲渡所得税・復興特別所得税・住民税

一戸建てを売却して譲渡益が発生したときは、所得税・特別復興所得税・住民税が発生します。「売却金額-(売却に要した費用+取得金額+取得時に要した費用)」で計算し、保有期間に応じて下表の税率を乗じれば税額を計算できます。

 

長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える)

短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えない)

所得税・特別復興所得税

15.315%

30.63%

住民税

5%

9%

合計

20.315%

39.63%

所得税・特別復興所得税・住民税は、譲渡損が出たときには発生しません。つまり、取得したときの金額よりも売却した金額が低い場合は納税する必要はありません。

印紙税

不動産を売買する際には、取引金額に応じて以下の印紙税が発生します(令和9年3月31日までの間に作成される契約書)。

契約金額

印紙税額

10万円を超え50万円以下

200円

50万円を超え100万円以下

500円

100万円を超え500万円以下

1,000円

500万円を超え1,000万円以下

5,000円

1,000万円を超え5,000万円以下

1万円

5,000万円を超え1億円以下

3万円

1億円を超え5億円以下

6万円

5億円を超え10億円以下

16万円

10億円を超え50億円以下

32万円

50億円を超えるもの

48万円

例えば、土地が3,000万円で成約して売買契約書を作成した場合は、1万円の印紙税がかかります。なお、電子契約書で締結する場合は印紙税の納付が不要です。

抵当権抹消費用

抵当権抹消費用とは、一戸建てに設定されている抵当権を抹消するための費用です。住宅ローンの残債がある一戸建てを売却し、抵当権抹消登記を行うときに登録免許税が発生します。

なお、登録免許税は不動産一個あたり1,000円です。通常であれば、抵当権の抹消登記は司法書士に依頼するため、司法書士への報酬と登録免許税をまとめて支払うケースが一般的です。

ローンの一括返済手数料

住宅ローンを一括完済する場合は、金融機関へ一括返済手数料を支払います。金融機関によって手数料は異なりますが、3万円~5万円程度が相場です。

窓口で支払う場合よりも、インターネットバンキングを利用すると手数料を抑えられるケースもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

一括返済する際には事前に相談が必要となるケースが一般的なので、一戸建ての売却を検討する際には早い段階で相談しておきましょう。

その他の費用

一戸建てを売却する際に、状況に応じて以下の費用が発生します。

  • 引っ越し費用
  • 測量費用
  • ハウスクリーニング費用
  • ごみの廃棄費用

一戸建ての土地に関して、境界が不明確な場合は、紛争を防止するために測量を行う必要があります。事前の測量は、地積を確定して売買金額を決めるためにも大切です。

一戸建てを高い価格で売却するために、ハウスクリーニングを依頼したりごみを廃棄したりすることもあります。不動産会社と相談しながら、必要な対策を進めるとよいでしょう。

一戸建ての売却を成功させるためのコツ

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一戸建ての売却を成功させるためには、事前の綿密なリサーチや情報収集、保有している一戸建てのアピールポイントの整理などが欠かせません。

以下で、一戸建ての売主が知っておくべき、売却を成功させるためのコツを解説します。

競合物件の相場を調査する

一戸建ての売却を成功させるために、競合物件の相場を調査することが欠かせません。相場を把握しなければ、売り出す際の適正価格を設定できないためです。

「できるだけ高い金額で売りたい」と考えるのは当然ですが、過大評価をして相場よりも高い価格を付けると、買主の興味を引けません。その結果、売却期間が長引いてしまいます。

自分が売却しようとしている一戸建てと同じようなエリアにあり、同じような間取り・床面積の物件をリサーチして適正価格を探りましょう。

また、競合物件と比較することで自身の物件の強みや特徴を整理できます。効果的なマーケティングをする上で、差別化できる点は強みとなるため、不動産会社に伝えておくとよいでしょう。

なお、競合物件の相場を調査する際には、不動産ポータルサイトを活用したり、不動産会社へ相談したりする方法が挙げられます。自分でもリサーチしつつ、不動産会社のアドバイスを仰ぎながら、適切な価格を付けましょう。

信頼できる不動産会社に媒介を依頼する

一戸建ての売却を成功させるために、信頼できる不動産会社に媒介を依頼することが大切です。不動産取引は一般的に高額になりやすく、法律や税制で複雑な知識も要求されるため、信頼できる不動産会社に媒介を依頼しましょう。

丁寧に考えてくれる不動産会社であれば、プロの目線から市場価値を正確に評価し、適正な売出価格を提案してくれます。また、具体的な売却活動やスケジュール間を説明し、より多くの潜在的買主に物件を紹介してくれるでしょう。

販売力や交渉力に優れている不動産会社であれば、物件の魅力を最大限に引き出し、ターゲットとなる買主に対して効果的にアプローチしてくれる期待が持てます。

一戸建てを売り出してから成約するまで1年以上かかることもあるため、不安や疑問に丁寧に対応してくれる不動産会社に頼むとストレスを軽減できるでしょう。特に初めて不動産を売却する方ほど、不動産会社選びは慎重に進めるべきです。

物件のアピールポイントを整理しておく

不動産は「一物多価」とも呼ばれており、買主によって成約価格は異なります。できるだけ高い価格で一戸建てを売却するためにも、物件のアピールポイントを整理し、効果的にアピールすることが効果的です。

アピールポイントを明確にすることで、広告や販促資料で物件の魅力を効果的に伝えられます。例えば、ファミリー向けの一戸建てであれば、ファミリー層に響きやすいキャッチコピーや宣伝文句を用いて、売却活動を進める方法が考えられるでしょう。

例えば、具体的なアピールポイントの例として以下の要素が考えられます。

  • 立地(駅や学校、商業施設への近さ)
  • 日当たりや眺望
  • 建物の構造や耐震性
  • 設備の新しさや性能
  • 庭や駐車場のスペース
  • リフォーム履歴
  • 地域の特性や治安のよさ
  • 将来性(再開発計画など)

競合物件との違いを明確にし、ターゲットの響くアピールポイントを効果的に訴求できれば、買主の興味を引けます。また、特徴的な魅力がある場合、売却価格に反映させることもできるでしょう。

アピールポイントを整理する際には、実際に自分が住んで感じたことだけでなく、不動産のプロに評価してもらい客観的な意見を聞くことをおすすめします。

内覧の準備を綿密に行う

一戸建ての売却を成功させるために、内覧の準備を綿密に行いましょう。買主の多くは、最初の印象で購入するかしないかを決める傾向にあるため、内覧でよい印象を与えることは大切です。

内覧時にきれいに整えられた空間をアピールできれば、買主が自分の生活をイメージしやすくなります。また、手入れが行き届いていれば全体的なメンテナンスのよさをアピールでき、買主の不安を軽減できるでしょう。

一戸建ての保存状態が良好であれば、価格交渉で有利に働きます。結果的に、自分が希望している価格で売却できる可能性が高まるでしょう。

具体的に、内覧準備を進める際には家全体の清掃を行い、特に水回りやキッチンは念入りに行いましょう。余分な家具を片付ければ空間を広く見せられるため、家具のレイアウトにも意識を向けるとよいでしょう。

また、明るく開放的な雰囲気をつくるため、内覧時にはカーテンを開けて自然光を取り入れつつ、すべての照明を点灯しましょう。

物件の魅力を伝えることも大切ですが、売主として丁寧な対応を行うことも大切です。買主に不快感を与えてしまうと購買意欲を削いでしまうため、注意しましょう。

必要な修繕を行う

家の中に修繕が必要な箇所があれば、修繕を済ませておきましょう。買主が「安心して住めない」と感じてしまうと、成約に至る可能性が低くなってしまうため、注意が必要です。

適切な修繕を行い、住みやすい住環境を維持することで、物件の価値を維持・向上させることができます。つまり、より高い金額で売却するためにも、必要な修繕は効果的です。

なお、具体的に修繕が必要になりやすい箇所は以下のとおりです。

箇所

内容

外装

外壁の塗装や補修

屋根の点検と必要に応じた修理

雨どいの清掃と修理

内装

壁紙の張り替えや塗装

床材の補修や交換

ドアや窓の調整

設備

給排水設備の点検と修理

電気設備の点検と更新

エアコンなどの空調設備のメンテナンス

構造

基礎や柱の点検

雨漏りの修繕

シロアリ対策

外構

フェンスや門扉の修理

駐車場の舗装補修

庭木の手入れやせん定

内覧時に修繕が必要な場所が顕在化していると買主が不安になってしまいますが、事前に修繕を済ませておけば内覧時に好印象を与えられます。小さな不具合でも、気になる箇所があれば直しておき、買主に「安心してすぐに住める」という安心感を与えましょう。

ただし、修繕を行う際には費用対効果を考慮しましょう。修繕費用を300万円かけても、売却価格に上乗せできるのが200万円であれば、実質的に100万円損しています。

必要な修繕を行うためにも、信頼できる不動産会社に相談しながら、効果的な対策を探ることが大切です。

一戸建てを売却するときの流れ

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一戸建てを売却する際の具体的な流れを解説します。

不動産会社に査定を依頼する

まずは、不動産会社に一戸建ての査定を依頼します。査定は無料なので、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの会社から査定の根拠を聞きましょう。

多くの不動産会社は、電話やウェブサイトのフォームで査定を依頼できます。物件の基本情報(住所、広さ、築年数など)を伝え、必要に応じて登記簿謄本(全部事項証明書)や固定資産税評価証明書などの必要書類を提出しましょう。

不動産会社と媒介契約を締結する

信頼できる不動産会社を見つけて、媒介契約を締結します。査定結果や提案内容、これまでの実績などを比較検討した上で総合的に判断しましょう。

なお、不動産の媒介契約には以下の種類がありますが、一般媒介契約であれば複数の不動産会社と契約できます。

 

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

複数社への依頼

×

×

自己発見取引

×

不動産仲介会社から売主への報告義務

報告義務なし

2週間に1回以上

1週間に1回以上

レインズ(指定流通機構)への登録義務

なし

あり(媒介契約の締結から7日以内)

あり(媒介契約の締結から5日以内)

契約期間

規定なし

3カ月

3カ月

メリット

・不動産会社同士で競争が働く。

・多くの不動産会社に物件情報が流れるため、買主が見つかりやすい。

・売主自身が買主を見つけることができる。

・不動産会社との対応が少なく済む。

・不動産会社の売却活動を把握しやすい。

・売主自身で買主を見つけることができる。

・不動産会社との対応が少なく済む。

・1週間に1回以上の業務報告を受けられるため現況を把握しやすい。

契約を締結する際にはマーケティング戦略を確認し、契約期間や仲介手数料などの契約内容などに納得した上で手続きを進めましょう。

不動産会社が売却活動を行う

実際に媒介契約を締結したら、不動産会社が売却活動を行います。具体的な方法は不動産会社によって異なりますが、チラシを作成したり不動産のポータルサイトに掲載したりすることが一般的です。

近隣住民や潜在的な買主へのポスティング、ダイレクトメールやSNS運用なども売却活動に含まれます。運営実績が長い不動産会社であれば、過去の顧客データベースから潜在的な買主にアプローチしてくれる可能性もあります。

実際に売り出されたら、不動産会社とこまめにコミュニケーションを取り、活動状況や市場の反応を確認しましょう。状況に応じて、価格調整や戦略変更を行う必要があります。

売買契約を行う

買主が見つかったら、売買契約を締結します。売買契約の締結は、不動産会社の事務所で行われるのが一般的です。

売買契約の場では、売却価格や決済日、引き渡し日などの条件を確認します。宅地建物取引主任者資格を持つ社員が重要事項説明を行い、売主と買主の双方に不明点や疑問点がないか確認します。

契約の締結にあたって、以下の書類が必要となるため事前に用意しておきましょう。

  • 印鑑証明書(3カ月以内に取得したもの)
  • 実印
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 銀行の振込先情報

契約書の全項目を再度確認し、売主と買主の双方が契約書に署名・捺印すれば契約締結は完了です。不動産会社から契約書の控えを受け取り、大切に保管しましょう。

また、契約締結のタイミングで買主から売主へ手付金が支払われ、売主は不動産会社へ仲介手数料の半額を渡すのが一般的です。

契約締結後は契約内容のとおりにスケジュールを進める必要があるため、所有権移転登記の日程や物件の引き渡し日などを確認しておきましょう。

決済と引き渡しを行う

契約を締結した後は、契約内容に基づいて決済と一戸建ての引き渡しを行います。

契約時に買主・売主・不動産会社・金融機関で決済予定日の日程を調整しますが、金融機関の営業時間や法務局の開局時間の関係で、平日の午前中に行われるケースが一般的です。

決済の直前に買主と売主で物件の状態を最終確認し、買主立ち会いのもと水道・電気・ガスなどの動作確認を行います。問題がなければ、以下のような流れで決済が進みます。

  1. 関係者が集合する
  2. 買主が残金を売主の銀行口座に振り込む
  3. 抵当権抹消・所有権移転登記の書類を用意する
  4. 一戸建ての鍵を引き渡す

また、不動産会社へ仲介手数料のもう半額を支払い、一連の売買契約に関する流れは完了となります。契約書や重要事項説明書、決済証明書などの書類は大切に保管しておきましょう。

必要に応じて確定申告を行う

一戸建てを取得したときの金額よりも高く売却できた場合、譲渡所得税・復興特別所得税・住民税が発生します。売却した翌年の2月16日から3月15日までに、確定申告を行わなければなりません。

確定申告を行う際には、売買契約書のコピーや固定資産税評価証明書などを用意する必要があります。また、譲渡費用(仲介手数料や印紙税)の内訳が分かる書類も用意しておきましょう。

不動産を売却したときの確定申告は複雑で、税負担を軽減できる特例も考慮しなければなりません。確定申告は郵送やe-Tax(電子申請)でも行えますが、不安がある場合は税務署の窓口で確認しながら作成するとよいでしょう。

もし自分で確定申告を行える自信がない場合、税理士に依頼することも一つの選択肢です。費用はかかりますが、税理士に依頼すれば事務を任せられるため、負担を軽減できます。

一戸建てが売れないときの代替案

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一戸建てを売りに出してもなかなか売れないときは、代替案を用意しておくとよいでしょう。

以下で、どのような代替案が考えられるかを解説します。

不動産会社を変更する

一戸建てが売れない理由として、不動産会社の販売力や提案力が弱い可能性が考えられます。競合物件が売れているにもかかわらず自分の物件だけ売れない場合、不動産会社の変更を検討しましょう。

例えば、反響や内覧希望が少ない場合、営業が不十分である可能性が考えられます。また、相談しても適切な提案やアドバイスがなく、コミュニケーション不足が発生している場合も変更を検討すべきかもしれません。

また、頻繁に値下げの要求をしてくる場合は信頼性に疑問が生じます。安心して不動産の売却を任せられないときは、豊富な専門知識や経験を持ち、丁寧に対応してくれる不動産会社に変更するとよいでしょう。

建物を解体して土地を売却する

一戸建ての老朽化が進んでいる場合、建物を解体して土地のみ売却を検討するという選択肢があります。築年数が経過しており、リフォームでも対応できない劣化がある場合、買主から敬遠されやすいでしょう。

一方で、土地の利便性が高く人気がある場合、土地のみ売却する方針に転換すると、買主が見つかりやすくなります。例えば、駅近や利便性の高い土地であるものの、建物の状態が購入の障害となっている場合が該当します。

周辺の開発状況次第では、更地にしてから販売することで価値が上がる可能性も考えられるでしょう。土地のみ売却すれば、建物の状態や築年数に左右されないため、より広い範囲の購入者にアプローチできます。

更地だと購入者が自由に土地を活用できるため、より多くの買主の興味を引けるでしょう。また、売却までの期間が短縮できるメリットも期待できます。

ただし、一戸建てを解体する際には解体費用が必要となるため、売却価格から解体費用を差し引いた実質的な手取り額を考慮する必要があります。解体費用や市場動向などを総合的に考慮し、慎重に判断しましょう。

賃貸物件として貸し出す

賃貸物件としてのニーズが見込まれる場合、一戸建てを賃貸物件として貸し出すという選択肢があります。不動産価格が高騰している昨今において、購入よりも賃貸のほうが、よい反応を得られるかもしれません。

一戸建ての築年数が経過している場合は、解体した上でマンションやアパートなどの収益物件を建て、賃貸に出すことも可能です。賃貸物件として貸し出すことで、定期的な収入を得られるメリットが期待できます。

また、相続対策として物件の保有を続けたい場合や、転勤や長期海外滞在などで一定期間住む予定がない場合も、そのまま保有し続けて賃貸に出す方法が有効です。

まとめ

一戸建ての売却を進める際には、事前に綿密な準備を行う必要があります。住宅ローンの残債や名義人の確認だけでなく、信頼できる不動産会社のリサーチを進めておきましょう。

希望の条件で売却を実現するためには、競合物件のリサーチや、売り出そうとしている物件のアピールポイントを整理しておくことも欠かせません。興味を持っている人に対して物件の魅力を伝えられるように、準備しておきましょう。

一戸建てを売り出した後になかなか売却に至らない場合は、不動産会社を変更したり、更地にして売却したりする方法が考えられます。また、賃貸物件を建設して賃貸経営をする方法もあるため、さまざまな選択肢の中からベストな選択をしましょう。

 

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