住宅ローンを使った不動産投資がバレるケースは?禁止されている理由を解説

最終更新日:2024年4月8日
  • 住宅ローンを使った不動産投資が禁止されているのはなぜ?
  • 住宅ローンで不動産投資するとバレる?
  • 住宅ローンを使った不動産投資がバレたらどうなる?

不動産投資を目的とする場合、原則住宅ローン審査は通りません。

万が一不正に審査を通過して投資用の不動産を購入できても、バレてペナルティを受ける可能性が高いです。
この記事では、不動産投資を検討している方向けに、不動産投資で住宅ローンを組めない理由や不正してバレた場合のペナルティを解説します。

この記事でわかること

  • 不動産投資で住宅ローンを組めない理由
  • 住宅ローンを使った不動産投資がバレるタイミング
  • 住宅ローンで不動産投資してバレたときのリスク

不動産投資で住宅ローンが組めない理由

住宅ローンとは、居住目的で不動産を購入したい方に向けて提供される金融商品です。
よく似た不動産に関連するローンで、不動産投資ローンと呼ばれる金融商品がありますが、この2つは借り入れの目的と金利が異なります。

ローンの種類

目的

金利の目安

住宅ローン

住宅の購入・増改築

0.5%~2.0%

不動産投資ローン

賃貸経営のためのアパート・マンションの購入

1.5%~4.5%

比較してわかるとおり、どちらも不動産購入を目的としていますが、居住用と不動産投資用で購入する不動産の用途が異なります。

一般的には給料所得を返済原資とする住宅ローンのほうが、不動産投資ローンよりも低金利で借りられ、ローンを組む際の負担が少ないです。
低金利の部分に目をつけ、不動産投資目的であるにもかかわらず住宅ローンで資金調達するケースが散見されますが、これは違法行為です。

基本的には、審査の時点で目的が異なる場合は借り入れが認められません。
虚偽の申請で不正に住宅ローンを投資利用するのはやめましょう。

不動産投資で住宅ローン利用が認められる特例とは?

不動産投資で住宅ローンが認められる特例は、以下のとおりです。

  • 賃貸併用住宅を購入する場合
  • やむを得ない事情が認められた場合

それぞれの特例を解説します。

賃貸併用住宅を購入する場合

不動産投資を目的とした不動産購入では住宅ローンが認められませんが、賃貸併用住宅に該当する場合は例外です。

賃貸併用住宅とは、居住するためのスペースと第三者に貸出できるスペースが共存しているタイプの物件を意味します。

物件全体のうち居住するためのスペースが50%以上あれば、住宅ローンを組んで購入できます。

住宅ローンで購入した物件の一部を第三者に貸出をし、家賃収入を得られれば、住宅ローンの返済にあてられるでしょう。

やむを得ない事情が認められた場合

賃貸併用住宅でない一般的な物件でも、金融機関が許可を出せば住宅ローンを組んだ状態で賃貸に出せるケースがあります。

基本的には、住宅ローンを組んでいる不動産を投資にあてる行為は、契約違反に当てはまるため認められません。

ただし急な転勤や家庭の事情など、一時的に自宅を空けなければならない事情がある場合、空き家の期間を有効活用したいのであれば金融機関に相談しましょう。

やむを得ない事情と判断してもらえれば、住宅ローンを組んだ状態で賃貸物件として貸し出す特例が認められる可能性があります。

金融機関に相談せずに独断で投資にあてるのはトラブルの原因になるため、おすすめできません。

金融機関に相談して許可をもらえた場合のみ、賃貸物件として貸し出しましょう。

住宅ローンを使った不動産投資がバレるタイミング

不動産投資のために住宅ローンを不正利用すると、遅かれ早かれバレる可能性が高いです。

バレるタイミングの一例は、以下のとおりです。

  • 郵便物の不着
  • 金融機関の営業訪問
  • 不動産会社を対象とした全件調査

それぞれのバレるタイミングを解説します。

郵便物の不着

住宅ローンの不正利用がバレる原因のなかでも特に多いのが、郵便物の不着トラブルです。

住宅ローンを組むと、金融機関は住宅ローンを組んでいる物件に契約者が住民票を移している前提で、郵便物を郵送する場合があります。

しかし、住宅ローンを組んでいる物件に第三者が住んでいると、郵便物は不着扱いで金融機関側に差し戻されます。

差し戻しがあれば金融機関が契約者に連絡したり、通知なしで調査をしたりして、住宅ローンを組んでいる物件に契約者が住んでいない事実が発覚する可能性が高いです。

あらかじめ入居者に事情を説明していれば不着トラブルは防げますが、借り手を見つけるときに不信感を抱かれる可能性が高いでしょう。

金融機関の営業訪問

住宅ローンの返済を滞りなく済ませていると、金融機関側が新たなローン利用を提案してくる場合があります。

住宅ローンは金利が適用されるため、金融機関側は返済能力が高い人にできるだけお金を貸したいと考えるからです。

そのため、住宅ローンを組んでいる物件に金融機関の担当者が訪問してくるケースは珍しくなく、第三者が住んでいるとそこでバレてしまいます。

特に地方銀行・信用金庫・信用組合のように地域密着型の金融機関は、積極的な営業訪問をおこなうため、バレるリスクが高まります。

不動産会社を対象とした全件調査

不正に住宅ローンを契約している場合、全件調査のタイミングでバレる可能性が高いです。

不正とされているにもかかわらず、不動産投資のための不動産に住宅ローンを利用する、悪質な不動産会社は存在します。

全件調査とは、不動産会社が自社の利益のために不正を働かないよう、金融機関が実施している不定期の不正調査です。

個人で住宅ローンを契約した不動産に関しても、調査が入る可能性があります。

不正に住宅ローンを契約していると、このタイミングでバレるリスクがある点を理解しておきましょう。

住宅ローンを利用した不動産投資がバレたらどうなる?

住宅ローンを利用して不動産投資をしているのがバレたら、以下のような問題に発展します。

  • 一括返済が求められる
  • 金融機関からの信用を失う
  • 自己破産

それぞれの問題を解説します。

一括返済が求められる

住宅ローンを使った投資目的の不動産購入がバレた場合、不正利用と判断され、金融機関側から一括返済を求められます。

そもそも住宅ローンは、数千万円単位の不動産を一括払いするのが困難な人が、金利を支払う代わりに分割で支払いできるようにするための仕組みです。

しかし、不正利用と判断された場合、その後の分割払いは基本的に認められません。

資金が足りなくても、期日内に全額返済しなければ法的処置を取られる可能性があります。

借入額が大きければその分一括返済が必要な額が大きくなり、資金集めに苦しむでしょう。

金融機関からの信用を失う

不正利用をすると、金融機関からの信用を失います。

それまで住宅ローンの返済を滞納せずにおこなっていても、不正利用がわかれば、ブラックリスト入りと同じ状態になると覚悟しましょう。

信用情報は金融機関で共有されるため、どの金融機関にも不正利用の事実が伝わります。

金融機関からの信用がなくなると、融資を受けられなくなったりクレジットカードが発行できなくなったりと、さまざまなデメリットがあります。

ブラックリストの期間は5〜10年ほどといわれていますが、不正利用した金融機関との取り引きは二度とできなくなる可能性が高いです。

自己破産

住宅ローンの不正利用がバレると、最悪の場合自己破産に陥るリスクがあります。

一括返済のための資金が手元にない場合、他の金融機関に借り入れすればよい、と考える方もいるでしょう。

しかし、不正利用が発覚した時点で住宅ローンを借りていた金融機関だけでなく、他の金融機関からも信用はなくなります。

虚偽申請をしていた人にお金を貸そうと考える金融機関はなく、借り入れはできない可能性が高いです。

そのため、貯蓄が足りなかったり家族・友人などに協力してもらえなかったりする場合、自己破産を選ぶしかありません。

経営者として不動産投資業をしている方は、将来的なビジネスにも大きな打撃となるでしょう。

不動産投資と住宅ローンに関するよくある質問

不動産投資と住宅ローンに関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 不動産投資は住民税でバレますか?
  • 不動産投資の副業は会社にバレますか?
  • 住宅ローン控除で引越しをしたらバレますか?

それぞれの質問に回答します。

不動産投資は住民税でバレますか?

住宅ローンで不動産投資をしていると、住民税の特別徴収によって、不正がバレる可能性があります。

確定申告で特別徴収をしているのであれば、勤務先の給与所得に不動産投資による黒字・赤字の状況が反映され、勤務先が把握している住民税額から変動します。

金額が異なれば、勤務先以外からの所得があるのではないかとヒアリングや外部調査が入り、不動産投資の事実が発覚する可能性が高いです。

不動産投資の副業は会社にバレますか? 

不動産投資の副業は、住民税の納税方法によって、バレやすさが異なります。

特別徴収を選択した場合、給料と副業の所得の合計金額に対する住民税額が勤務先に通知されるため、副収入がある事実が勤務先に伝わります。

普通徴収を選択した場合、不動産投資の所得金額に対する住民税額の納付書は自宅に郵送されるため、勤務先に副業がバレにくいです。

住宅ローン控除で引越しをしたらバレますか?

住宅ローン控除を受けるために、引越しをしても住民票を移動させなかった場合、バレる可能性が高いです。

移転届を出していなくても、勤務先の書類などでいずれ居住地が異なる事実は発覚するでしょう。

バレると脱税疑惑でペナルティを課せられたり、法的処置を取られたりするリスクがあり、注意が必要です。

まとめ

住宅ローンは不動産投資ローンよりも低金利ですが、利用は投資目的ではなく居住目的の不動産購入に限られます。

「バレなければ大丈夫」と住宅ローンを投資利用するのは違法です。

バレると一括返済が求められるだけでなく、最悪の場合自己破産せざるを得なくなるリスクがあるため、目的に合ったローンを利用しましょう。

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