不動産投資のレバレッジ効果とは?メリットや逆レバレッジのリスクなどを解説

最終更新日:2025年9月5日
  • 不動産投資のレバレッジ効果とはどういうもの?
  • レバレッジ効果のメリットと課題は?
  • レバレッジ効果を最大限に活かすためには?

不動産投資で「最小限のリスクから最大限のリターンを得たい」と考える人は多くいます。
確実に儲けが出る投資は存在しないものの、市場の流れや資産価値を適切に見極めて、レバレッジ効果をうまく活用すれば、安定した収益を見込めます。

ただし、レバレッジが逆効果になるケースもあるため、リスクに対する対策が欠かせません。

この記事でわかること

  • レバレッジ効果の基本概要
  • レバレッジ効果のメリット
  • 逆レバレッジのリスクと対処法
  • 不動産投資を成功させるためのレバレッジ効果を活用方法

不動産投資のレバレッジ効果とは

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そもそもレバレッジとは、小さい力で大きいものを動かす「てこの原理」のようなものを意味します。

不動産投資の業界で使われている「レバレッジ効果」とは、少額の自己資金で大きな利益を生み出す作用をいいます。

たとえば、これから不動産投資を始めようと考えている人が、自己資金の中で物件を購入しようとしても、購入できる物件の選択肢は限られるでしょう。

そこで「レバレッジ」として、金融機関からの借入をして初期投資額を増やせば、優良物件を取得し、効率よく大きな利益を生み出せるようになります。
金融機関から借入をするとなれば、返済義務が生じるためリスクになりますが、大きな利益を出すためには、レバレッジ効果をうまく活用できるかどうかがポイントです。

レバレッジ効果のシミュレーション

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自己資金だけで収益物件を購入する場合、購入できる物件は限られてしまい費用効果を得られずに失敗するケースもあります。
アパートやマンションを投資物件とした場合、自己資金だけでは購入が難しいでしょう。

そのため、金融機関を活用しレバレッジをかければ大きな投資が可能です。

ここからは、具体的なシミュレーションでレバレッジを活用した場合と、そうでない投資にどれだけの差が出るかを見ていきましょう。

自己資金のみで投資(レバレッジ効果なし)

まずは、自己資金のみで不動産投資を始める「レバレッジ効果なし」のケースを考えてみましょう。

頭金500万円で物件を購入し運用した場合500万円×利回り8%(満室)でシミュレーションすると、年間収益は40万円となります。

単純計算で、この物件を運用し自己資金を回収するまで12.5年間かかります。
運用から12.5年経つと物件の老朽化が進むため、修繕費やメンテナンス費がかかるでしょう。
運用に必要な追加資金を踏まえると、自己資金のみで不動産投資しても十分な利益を受けられない可能性が高いです。

融資を受けて不動産に投資(レバレッジ効果あり)

続いて、自己資金に加えて金融機関から融資を受けて不動産投資を始める「レバレッジ効果あり」のケースを考えてみましょう。

頭金500万円と金融機関から1,500万円の融資で物件を購入して運用した場合、2,000万円×8%(満室)でシミュレーションすると、年間利回りは160万円となります。
ここから金融機関に返済する分を差し引いても、レバレッジを活用したほうが年間収益に大きな違いがでます。

不動産投資におけるレバレッジ効果のメリット

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不動産投資を始める上で、レバレッジ効果を活用するために金融機関からの借入をするべきか、自己資金のみで始めるべきか、悩むかもしれません。

ここでは、レバレッジ効果を使うメリットについて解説します。

不動産投資を早く始められる

不動産投資でレバレッジを活用すれば、最初に用意するべき自己資金の金額が低くなるため、早く投資をはじめられます。

不動産投資を始めるために必要な資金が3,000万円の場合、レバレッジなしだと自分で3,000万円を貯めるところから始めなければなりません。

一方でレバレッジありだと、融資を受けた時点で物件を購入して運用開始できます。

とくに、購入したい物件がみつかったら、ほかの人に購入されてしまう前にレバレッジを活用するほうが得策といえます。

団体信用生命保険に加入できる

団体信用生命保険とは、契約者(投資者)が死亡、重度の障害になった際にローン残高の返済義務が免除される制度です。

投資物件の購入では、団体信用生命保険への加入を条件の一つに含めている金融機関が多いため、万が一、自分の身に何かがあっても家族に財産を残せるため安心です。

金融機関からの融資を返済しているうちは、借金がある状態と変わりません。
いつ病気や怪我をするかわからないからこそ、団体信用生命保険に加入すると、家族に迷惑をかけるリスクなく、不動産投資の運用が可能です。

投資効率の高さ

気に入った物件があっても、自己投資額が低いと物件は購入ができません。

自己資金利回りが高い物件を購入しても、補修工事などが発生するため収支は計画通りにはいかないでしょう。

それでもある程度の自己資金利回りを計算し、物件を探せば理想の不動産が手に入ります。
自己資金利回りを高めるためにも、金融機関でローンを組み、レバレッジを効かせたほうが収益率が高くなる可能性が上がります。

修繕費を貯蓄できる

不動産投資のレバレッジを活用すれば、将来的な修繕や定期メンテナンスのために自己資金を手元に残せます。

賃貸運営をする上で、経年劣化による設備不良や物件の老朽化に対しては、所有者が修繕やメンテナンスをしなければなりません。

もしも、自己資金を物件購入のために使ってしまった場合、運用開始から数年以内にまとまった修繕費が必要になっても、資金不足で対処できなくなってしまいます。
物件の状態が悪ければ、空室率の増加につながるため、投資家としては致命的です。

不動産投資を始めるのであれば、長期的な視点で修繕費やメンテナンス費を踏まえた資金計画を立てましょう。

不動産投資で危険な逆レバレッジのリスクと対処法

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レバレッジ効果をうまく活用すれば多くのメリットがある一方で、金融機関からの借入をする際には「逆レバレッジ」のリスクが潜んでいるため、注意が必要です。

ここでは、逆レバレッジが発生する2つの原因について解説します。

金利の上昇

融資金利は、金利が一定の固定金利と、市場の影響を受け変動する変動金利があります。

不動産ローンの場合変動金利でローンを組むことが多く、金利上昇のリスクがあることを頭に入れておきましょう。

近年の金融市場ではマイナス金利が続いているため、融資を受けている投資家にとってはメリットが大きいですが、経済情勢の変化を完璧には予測できません。

数百万円から数千万円の借入がある場合、少しの金利上昇で総支払額が数百万円ほど増える可能性もあるため、リスクになり得ます。

そのため、金利が上昇して、収益率の低下や赤字になると、逆レバレッジになっているといえます。
金利の上昇リスクを回避するためには、自己資金を増やしたり、金融機関への返済期間を短くしたりする方法が有効です。

利回りの低迷

投資を始める時点では、満室を目指せる物件選びをする投資家が多いですが、必ずしも理想的な入居率を維持できるとは限りません。

運用開始すぐは入居率が高くても、経年劣化による老朽化、周辺地域の治安の悪化、大型修繕後の需要低下など将来的に入居者探しに苦労するケースは多いです。

金融機関への返済や修繕費などの支出が家賃収入を上回ると、逆レバレッジの状態になってしまいます。

利回りの低迷を回避するためには、市場調査をして、長期的に人が住みたいと思える地域で物件探しをするのがポイントです。

また、定期的にメンテナンスをして建物の状態を良好に保てれば、入居者が集まりやすくなります。

レバレッジ効果で不動産投資を成功させるポイント

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実際にレバレッジを活用して不動産投資を成功させるためには、メリットを最大化できるようにポイントを抑えるのが重要です。

ここでは、レバレッジ活用のポイントについて解説します。

イールドギャップを高くする

イードルドギャップとは、投資の利回りと金利のギャップを意味しており、不動産投資では「実質利回り(%)−ローン金利(%)」で計算できます。

収益物件として価値があると判断できるイールドギャップの数値は、以下のとおりです。

  • 新築物件:5%以上
  • 中古物件:6%以上

イールドギャップの数値を高くするためには、不動産ローンは、できるだけ低い金利の金融機関を探し利用しましょう。

都市銀行は審査基準は厳しいですが比較的金利が低く、地方銀行や信用金庫は審査基準はゆるいものの金利は高く設定されるケースが多いです。

物件の利回りを高くする

レバレッジ効果を得るためには、利回りが高い投資物件を購入しましょう。

ファミリー層向けの物件を運用するなら、学校や公園の充実度、治安の良さなど、単身者向けの物件を運用するなら、セキュリティの充実度や駅からの近さなどがポイントです。

どんな人に入居してもらいたいかをイメージすると、優先するべき条件が決まります。
条件の優れた物件は取得費が高くなる可能性がありますが、家賃が高くても入居したいと思う人がいれば利回りを高く維持できます。

返済期間を長くする

逆レバレッジの対処法として「返済期間を短くする」とお伝えしましたが、必ずしも短期返済が収益化に向いているとは限りません。

返済期間が短くなると、毎月の返済額が増えるので、返済額が家賃収入を上回ってしまっては逆レバレッジに陥るからです。

そのため、家賃収入が十分に得られる程度の返済額に設定すれば、長期的に安定した収益化が実現します。

金利が上昇するリスクは残りますが、近年の金融市場ではマイナス金利が続いているため、しばらくは返済期間を伸ばしても問題ないでしょう。

金利上昇のリスクを回避するか、毎月の返済負担を軽減して利回りを高くするか、どちらを優先するかは投資家の判断に委ねられます。

そのため、運用開始とともに家賃収入の一部を手元に残したいのかどうかで、どのリスクやメリットを優先するか決めましょう。

キャッシュフローを確認する

年間収支が安定しなければ、不動産投資は失敗に終わります。

投資したい物件が決まったら、即断せずにキャッシュフローが得られるかをシミュレーションしましょう。

キャッシュフローとは、現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を把握する作業で、毎月の収入と支出を可視化できるので、収益を安定させられます。

たとえば、ローンを返済しながら収益アップするには、投資物件が健全に機能しなければなりません。

また、不動産投資をする際には金融機関への返済のほか、保険への加入や賃貸管理会社への手数料の支払い、修繕費用などの諸経費がかかります。
常に満室の可能性はありませんから、空室による損失も想定して、運用がうまくいかないときは立て直しが必要です。

このように、不動産投資では同時に複数の現金が動いているので、キャッシュフローで統括すると、効果的なレバレッジの活用が実現します。

まとめ

Small wooden houses with a heart on the big one symbolizing family love and security at home

不動産投資のレバレッジ効果を活用すると、自己資金だけでは手の届かない優良物件を購入したり、自己資金を将来的な運用コストに回せたりします。

ただし、安易に金融機関から高額の融資を受けてしまうと、収益率の低い「逆レバレッジ」になる恐れもあるので注意が必要です。

うまく収益化するためにも、物件選びのほかにも金利の低さやキャッシュフローが得られるかどうかに注目しながら、不動産投資をはじめましょう。

不動産投資には多岐にわたる情報収集や費用対効果を見越した対策の継続が成否を大きく左右します。既に経験された大家さんが集う、不動産賃貸経営を学べる塾やセミナーに参加し、継続的に良質な情報やノウハウを学ぶことをお勧めします。

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