不動産投資における返済比率とは?目安となる数字や下げるための対策も解説
- 返済比率とは?
- 安全に不動産投資ができる返済比率はどのくらい?
- 返済比率を下げるにはどうすればいい?
基本的に不動産投資は、ローンを利用しておこないます。
そのため家賃収入に対する毎月のローン返済額の大きさの割合次第で、投資の安全性は大きく変化します。
この割合が返済比率です。
本記事では返済比率について、数字の意味や計算方法などの概要、目安となる比率、比率を下げるための対策などを解説します。
返済比率について知りたい不動産投資初心者の方や、できるだけ安全に不動産投資をおこないたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 返済比率とは
- 不動産投資での返済比率の目安
- 返済比率を下げるための対策
目次
不動産投資に欠かせない返済比率とは
返済比率とは、家賃収入に対する、受けた融資の返済額が占める割合です。
一般的には返済比率が低くなるほど手元に残る金額が多くなるため、投資の安全性が高くなるとされています。
一方で返済比率が高くなるほど、得られる家賃収入の多くがローンの支払いで失われてしまいます。
できるだけ安全に不動産投資をおこないたい場合は、この返済比率が高くなり過ぎないように注意するのが大切です。
返済比率の計算方法
返済比率は、以下の式で求められます。
返済比率(%)=(月々のローン返済額 ÷ 月々の満室時家賃収入)× 100
たとえば、満室時の家賃収入が80万円(1部屋8万円 × 10部屋)で、月々の返済額が50万円だとした場合、返済比率は以下のとおり62.5%となります。
(50万円 ÷ 80万円)× 100 = 62.5%
すでに物件購入済みで運用している段階であれば、実際のローン返済額を使って計算できますが、購入前の場合は返済額を想定しておく必要があるので注意してください。
借入金額と返済期間、金利、返済方式(元利均等返済または元金均等返済)が確認できれば、月々の返済額はシミュレーションで確認できます。
ローン返済のシミュレーションを無料で利用できるサイトは複数存在するので、それらを利用するのもよいでしょう。
計算に使う家賃収入は、満室時の家賃収入である点に注意してください。
空室が発生していると実際の返済比率と差が出てしまう点については、あらかじめ頭にいれておかなければなりません。
返済比率とキャッシュフローの関係
キャッシュフローとは、不動産投資における資金繰りを示す言葉です。
具体的には毎月得られる家賃収入から、物件の運用に必要な経費を差し引いた金額を指している場合が多いです。
キャッシュフローが多いほど手元に残る現金が多くなるため、余裕を持って安全に投資ができる、と考えてよいでしょう。
一方の返済比率はすでにお伝えしたとおり、特定の物件の家賃収入に対して、毎月のローン返済額が占める割合です。
返済比率が高くなるほど残る家賃収入は少なくなりますし、比率が低くなるほど残る金額が多くなります。
この残った金額から、ローン返済額以外の必要経費を差し引いた額がキャッシュフローです。
つまり返済比率はキャッシュフローに直結する、不動産投資における重要な要素の1つだと考えられるのです。
理想的な返済比率は50%
具体的にどの程度の返済比率であれば、安全に不動産投資をおこなえるのでしょうか?
結論からお伝えすると、不動産投資での返済比率の目安は40〜50%です。
物件の運用には毎月のローン返済とは別に、満室時家賃収入の20%程度の経費がかかるとされています。
たとえば返済比率を50%で抑えられれば、20%の経費を引いても30%を手元に残せます。
ですが返済比率が70%になってしまった場合、10%しか資金を残せません。
この状態では、十分な余剰資金を作るのは難しいでしょう。
また返済比率は満室時の家賃収入を用いて計算しますが、常に満室で運用できるとは限りません。
収入には、ある程度の余裕を見ておく必要があります。
そのため基本的には返済比率を50%に抑え、より安全性を重視する場合は40%を目指すのがお勧めです。
不動産投資での返済比率が低い場合のメリット
返済比率が低くなるほど安全に不動産投資がおこなえるとお伝えしましたが、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?
ここからは、返済比率が低い場合に得られるメリットをご紹介します。
物件を適切に管理しやすくなる
返済比率が低いほど、月々のローン返済を終えたあとに残る現金が多くなります。
手元の現金が多ければ、余裕を持って物件を管理できるようになり、必要なメンテナンスも適宜おこなえるようになるでしょう。
たとえば台風などの災害によって物件がダメージを負い、突発的に修繕が必要になる場合があります。
返済比率が低くキャッシュフローに余裕がある状態であるほど貯蓄が作りやすいため、このようなときでも素早く対応できる可能性が高まります。
物件をより良い状態で適切に管理し続けられるかは、入居者の募集や維持にも関わる重要な要素です。
必要なときに必要な修繕を施せなければ、入居者の快適な生活が損なわれてしまいます。
物件を適切に管理できるよう、返済比率が高くなりすぎないようにするのがおすすめです。
トラブルが発生しても落ち着いて対処しやすくなる
物件を運用しているなかで、急な設備の故障や、入居者の家賃滞納などのトラブルが発生する場合があります。
返済比率が低くキャッシュフローに余裕があるほど、こういったトラブルが発生しても、落ち着いて対処しやすくなります。
設備の故障は建物の修繕と同様に、不動産投資では避けられないトラブルの1つです。
返済比率が高く資金に余裕がない状態であるほど、素早い対処が難しくなります。
さらに注意しなければならないのは、家賃の滞納です。
家賃が滞納されてしまうと、その分だけ家賃収入が失われてしまうため、キャッシュフローに少なからず影響が出てしまいます。
返済比率が高い状態ほど、大きな問題に発展しやすいです。
これらのトラブルにも落ち着いて対処できるよう、返済比率はできる限り低めにしておきましょう。
空室が出ても安心できる
資金に余裕があるほど、空室が発生しても問題なく運用しやすくなります。
不動産投資では長期間の空室が発生してしまう場合もあるため、返済比率を低く抑えて余剰資金を確保し、長期間の空室に備えておくのが大切です。
家賃を下げて素早く空室を埋める方法もありますが、1度下げた家賃を上げるのは難しいため、後々の後悔につながってしまう可能性があります。
場合によっては他の入居者も同じように、家賃の引き下げを要求してくるかもしれません。
そうなれば、物件の収益性は大きく下がってしまうでしょう。
安定して不動産投資を継続するためには、無理に空室を埋めようとするよりも、自然と入居希望者が増える春や秋になるまで待つのも大切です。
返済比率を低くしてキャッシュフローに余裕を持たせるほど余剰資金を作りやすくなるため、余裕のある対応がしやすくなります。
他の物件に投資する余裕を生み出しやすくなる
返済比率が低いほどキャッシュフローに余裕が生まれ、余剰資金を作りやすくなります。
不動産投資をおこなううえでは、普段からある程度の余剰資金を用意しておくのが理想です。
魅力的な物件ほど早く売れてしまいますが、資金があるほど素早く購入を決断できるため、チャンスを逃がしにくくなります。
不動産投資での返済比率が高い場合のデメリット
返済比率が低いほど資金に余裕が生まれ、安全に不動産投資を進めやすくなります。
逆に返済比率が高くなってしまうと、さまざまなリスクが発生するため注意が必要です。
ここからは、返済比率が高くなってしまった場合のデメリットを解説します。
急な出費への対応が難しくなる
高い返済比率によって余剰資金を作れない場合、急な出費に対応するのが難しくなります。
ある程度の築年数がある物件は、経年劣化によって建物に不具合が出てくる場合がありますし、入居者の生活に支障が出る場合はできる限り素早い対応が必要です。
入居者が退去したら、原状回復のための費用も必要となります。
新築物件を購入したとしても、油断は禁物です。
地震や台風などの災害の影響で、突発的に修繕が必要になるケースも起こり得ます。
火災保険などの対象となり保険金が支払われる場合もありますが、被害の全額が補償されるわけではありません。
また、保険金の受け取りは後日になるため、いったんは自己資金から支払う必要があります。
余剰資金が乏しいと、上記のようなケースで満足な対応ができず、物件を適切に管理・維持するのが難しくなります。
物件としての魅力や資産価値の低下にもつながりかねないため、注意が必要です。
長期間の空室への対応が難しくなる
どんなに魅力的な物件であっても、一時的に空室が発生するのは避けられません。
退去のタイミングによっては入居者が見つからず、空室が長期化してしまう場合もあるでしょう。
余剰資金に余裕があれば、こういったケースでも問題なく対応可能です。
ですが返済比率が高く、余剰資金を思うように作れなかった場合、空室が長期化するほどキャッシュフローが悪化し、運用に支障を来してしまう可能性が高まります。
できるだけ空室期間を短くする方法として、入居者募集の広告を出す、物件の魅力を増すためにリフォームをするなどの対策がありますが、いずれも資金が必要です。
満足な対応ができないまま、投資自体の継続が困難になってしまうケースも考えられます。
金利上昇の影響が大きくなる
借入金額が多いほど、金利が上昇した際に返済総額が増えてしまい、月々の返済負担もその分だけ大きくなってしまいます。
返済比率は高くなるほど借入金額が多くなるため、金利上昇リスクに注意が必要です。
たとえ低金利の状態が続いていても、市場の動向や経済状況によっては、金利が上昇する可能性も考えられます。
低金利だからといって返済比率が高い状態で変動金利ローンを利用してしまうと、金利上昇時の負担増に耐えられなくなるかもしれず、注意が必要です。
金利上昇のおそれがある場合は、全期間固定金利のローンを利用するのも方法の1つです。
ただし、変動金利よりも金利が若干高めに設定されている点に注意してください。
売却時のローン完済が難しくなる
物件を売却する際にローンが残ってしまっている場合、ローン残債の一括返済が求められます。
完済できない場合、その物件は売却できません。
不動産投資では多くの場合、物件の売却が最終的な出口となります。
売却代金は大きな金額になるため、別の物件を購入するための資金として活用するケースもあるでしょう。
一方で、赤字経営による損失増加を防ぐために売却を検討する場合も考えられます。
そのため不動産投資では、いかに売りたいタイミングでスムーズに売却できるかが重要です。
ですが返済比率が高いほど、余剰資金を作るのが難しくなるため、売却時に完済できない可能性が高まります。
その結果、売り時を逃してしまったり、赤字による損失増加を防げなくなってしまったり、といった可能性が出てくるため、注意が必要です。
不動産投資での返済比率を下げるための対策
より安全な不動産投資をおこなうには、返済比率をできる限り低く抑えるのがポイントとなります。
では、具体的にどうすれば返済比率を抑えられるのでしょうか?
ここからは、返済比率を下げるための対策を5つご紹介します。
自己資金を入れて融資額を減らす
返済比率は、借入金額を減らすほど低くなります。
そのため返済比率を下げるには、頭金として自己資金を多く入れる方法が有効です。
頭金が多いほど返済比率も少なくなりますが、自己資金をすべて頭金に回してしまわないように注意してください。
購入時にかかる諸費用の支払いが難しくなってしまったり、購入後の運用資金が不足してしまったりするおそれがあります。
頭金以外にも返済比率を下げる方法はありますので、無理のない範囲で頭金を入れるようにしましょう。
返済期間を長く設定する
借入金額が同じでも、返済期間を長くしたほうが月々の返済額は少なくなります。
そのため返済比率を下げるために、返済期間を長く設定するのは有効な方法です。
ただし、希望した返済期間で審査が通るとは限りません。
できるだけ有利な条件でローンが利用できるよう、評価が高くなりやすい物件選びも重要です。
また返済期間が長くなるほど、支払わなければならない金利の総額が大きくなります。
その分だけ金利上昇リスクも高まるため、長期的な資金計画や投資戦略も踏まえながら、総合的に判断しましょう。
繰り上げ返済をする
繰り上げ返済で元本を減らせば、その分だけ返済比率が少なくなります。
繰り上げ返済は、毎月の返済とは別に借入金を前倒しで支払う方法であるため、一時的に返済負担が大きくなる点に注意してください。
物件の運用に支障を来しては元も子もないので、無理のない範囲で余剰資金をあてるのがおすすめです。
繰り上げ返済には返済額軽減型と返済期間短縮型の2種類がありますが、返済比率を少なくする場合は、返済期間を変えずに月々の返済額を減らせる返済額軽減型が効果的です。
金融機関によっては繰り上げ返済に手数料が発生する場合があります。
繰り上げ返済の利用を前提としている場合は、手数料の有無を事前に確認しておきましょう。
金利が低いローンを利用する
利用するローンの金利が低いほど利息額が少なくなるため、返済比率も少なくなります。
金利は金融機関やローン商品によって違いがあるため、比較検討しつつ有利なローンを選ぶのがおすすめです。
すでにローンを組んでいる場合は、金融機関に金利引下げの交渉をする方法もあります。
現状のローンよりも金利が低い、借り換え候補となるローンを事前に探しておき、乗り換えを検討している前提で相談してみましょう。
利用期間が長いほど、交渉が有利に運びやすいです。
交渉がうまくいかなかった場合は、実際に借り換えを検討してみましょう。
借り換えには手数料が発生する場合もあるので、費用対効果に注意してください。
物件購入時の諸費用を抑える
物件購入時には物件購入代金の他に、ローンを利用する際に発生する事務手数料や保証料、不動産会社に支払う仲介手数料、登録免許税など各種税金といった費用が発生します。
これら物件の購入代金以外にかかる費用が、諸費用です。
基本的に不動産投資ローンで借り受けられるのは物件そのものの購入代金のみであり、諸費用は自己資金から支払います。
ですがなかには、諸費用の支払いにも対応しているローン(フルローン)があります。
このようなローンを利用する場合には、諸費用を抑えるほど借入金額が少なく済むため、返済比率を抑えるのに有効です。
高利回り物件の選定と返済比率の関係
利回りとは、その物件の購入価格に対する、その物件から得られる年間家賃収入が占める割合です。
たとえば、年間家賃収入が500万円の物件を5,000万円で購入した場合、その物件の利回りは10%となります。
ですが購入価格は同じ5000万円でも、年間家賃収入が250万円だった場合、利回りは5%に留まります。
このように基本的には利回りが高いほど、得られる家賃収入は多くなります。
一方の返済比率は、家賃収入に対するローン返済額が占める割合です。
家賃収入が多くなるほど返済比率は少なくなります。
そのため高利回り物件の購入は、返済比率を抑えるうえでも効果的です。
ただし利回りには、さまざまな種類がある点に注意してください。
代表的なものとして、実質利回りと表面利回りがあります。
実質利回りとは、物件を運用するための経費を年間家賃収入から差し引いたうえで求める利回りですが、表面利回りは経費を一切考慮せずに計算された利回りです。
そのため表面利回りだけで返済比率を判断してしまうと、実際とは大きくかけ離れてしまう場合があります。
利回りを参考にする際は、どの種類の利回りなのかも確認したうえで判断するよう注意してください。
返済比率を見直すのに適したタイミングはいつ?
返済比率を抑える対策は内容によって、ローンを組んだあとも可能です。
ですが具体的に、どのようなタイミングで見直せばよいのでしょう?
ここからは、ローン利用開始後に返済比率を見直すのに適した、2つのタイミングについて解説します。
条件の良い金融機関やローン商品を見つけたとき
1つ目のタイミングは、より条件の良い金融機関やローン商品を見つけたときです。
繰り返しになりますが、返済比率は返済期間や金利によって変化します。
そのため現在利用しているローンよりも返済期間を長く設定できる商品や、より金利が低い商品への借り換えができれば、返済比率を低くできます。
金融機関やローン商品のなかには借り換え特典として、低金利で利用できるキャンペーンをおこなっているケースが珍しくありません。
こういったチャンスを見つけた場合、返済比率の見直しを検討するのに適したタイミングといえるでしょう。
金利が高くなってしまったとき
金利変動ローンを利用している場合、市場の変化によって金利が上昇して、返済負担が大きくなってしまったタイミングも返済比率を見直すのに適しています。
もともと返済比率が高めで、金利上昇の影響が大きくなってしまった場合は、とくに積極的な見直しを検討しましょう。
借入金額や返済期間にもよりますが、借り換え前後の金利差が1%以上であれば、返済比率を大きく抑えられる可能性があります。
まとめ
返済比率とは、家賃収入に対して毎月の返済額が占める割合であり、キャッシュフローの安定性にも大きく影響する要素です。
不動産投資においての返済比率の目安は、40〜50%となります。
より安全に不動産投資をおこなうためにも、ぜひこの記事を参考に、返済比率が高くなりすぎないように注意してみてください。
また、不動産投資は物件を買って貸すだけと思われがちですが、実際には融資や税金、空室対策など、幅広い知識と判断が求められます。
塾や会などに参加する事で、基礎から実践的な内容まで体系的に学べるほか、講師や仲間との交流を通じて、リアルな事例や経験談を吸収することができます。
また、一人では気づけないリスクや改善点も、客観的なアドバイスによって早期に気づけるのも大きなメリットです。
安心して第一歩を踏み出すためにも、塾への参加はとても有効な選択だと思います。





















































