オーナーチェンジ物件に自分が住みたい場合の方法は?手順・メリット・注意点を解説

最終更新日:2026年10月30日

不動産ポータルサイトで住まいを探していると、相場より明らかに安い物件に「オーナーチェンジ」という表記が付いているのを目にした経験はありませんか。立地も悪くなく価格も手頃なため、「自分が住む家として購入できるのではないか」と興味を持つ方も多いはずです。
結論から、オーナーチェンジ物件に自分が住むことは法律上も実務上も可能です。ただし通常のマイホーム購入とは異なる手順やルールがあり、知らずに進めてしまうと退去交渉のトラブルや想定外の出費に直面する恐れがあります。
本記事では、不動産投資の理論から実践までを指導する神・大家さん倶楽部が、オーナーチェンジ物件に自分で住むための具体的な3ステップから、メリット・デメリット、購入前に確認すべき注意点までをわかりやすく解説します。割安な物件取得を検討している方は、判断材料としてぜひ最後までご覧ください。

【3ステップ】オーナーチェンジ物件に自分が住む方法

オーナーチェンジ物件に自分で住むには、購入後すぐに入居できるわけではなく、決まった手順を踏む必要があります。具体的な流れは以下の3ステップです。

  1. 賃貸借契約の種類と内容を確認する
  2. 入居者に退去してもらう方法を選ぶ
  3. 退去後に内装・設備の状態を確認して入居準備をする

それぞれ順を追って解説します。

1. 賃貸借契約の種類と内容を確認する

オーナーチェンジ物件に自分が住みたい場合、まず取り組むべきは賃貸借契約の中身を正確に把握する作業です。前オーナーと入居者の間で結ばれた契約は新オーナーへそのまま引き継がれるため、契約の種類によって退去までの道のりが大きく変わります。
賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。普通借家契約は入居者の居住権が強く保護されており、契約期間が満了しても入居者が希望すれば自動的に更新されていく仕組みです。一方の定期借家契約は契約期間が明確に区切られており、期間満了とともに契約が終了するため、再契約しない限り入居者は退去します。
購入を検討する段階では、契約書とあわせてレントロール(各部屋の賃貸条件を一覧化した表)を取り寄せ、以下の項目を確認しておきましょう。

  • 契約の種類(普通借家か定期借家か)
  • 契約期間と残存期間
  • 更新時期と更新条件
  • 家賃・共益費・駐車場使用料などの金額
  • 敷金の金額と預かり状況
  • 連帯保証人の有無
  • ペット飼育などの禁止事項
  • 入居者の属性(個人・法人など)

定期借家契約であれば、契約終了のタイミングまで待つだけで自然に退去が成立します。普通借家契約の場合は退去までの戦略を別途検討する必要があるため、契約形態の確認は最優先で進めましょう。

2. 入居者に退去してもらう方法を選ぶ

賃貸借契約の中身を確認できたら、入居者に退去してもらうための方法を決めていきます。退去のさせ方は大きく分けて3パターンあり、それぞれコストや所要期間、難易度が異なります。

退去方法コスト コスト 期間の目安 主なリスク
①自然退去を待つ ほぼ0円 数年〜十数年 時期が読めない
②立ち退き料を支払って交渉 40〜80万円程度 数か月〜1年 交渉決裂で長期化
③法的手続きによる強制退去 弁護士費用+訴訟費用 半年〜1年以上 適用条件が厳しい

自然退去は、入居者が結婚・転勤・住み替えなどの個人的事情で出ていくのを待つ方法になります。費用はかかりませんが、普通借家契約では数年から十数年にわたって入居が続く可能性も否定できません。
立ち退き交渉では、引越し代・新居の仲介手数料・敷金礼金・家賃差額の補填などをまとめた立ち退き料を支払って退去をお願いします。一般的な相場は40〜80万円程度ですが、交渉がこじれると100万円を超えるケースもあるため注意が必要です。
強制退去は、一般的な目安として3ヶ月以上の滞納が継続し、信頼関係の破綻が認められる場合など限られた条件下でのみ選択できます。

3. 退去後に内装・設備の状態を確認して入居準備をする

入居者の退去が完了したら、ようやく室内の状態をチェックできるようになります。オーナーチェンジ物件は購入時点で内見ができないため、退去後の確認が実質的な初回内見になる点を覚えておきましょう。
確認の際にとくに注意したいのが、原状回復の範囲を巡るトラブルです。入居者の故意や過失による傷・汚れは原状回復の対象になりますが、経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担として扱われます。線引きが曖昧なまま費用負担を進めると、退去する入居者と揉める原因になりかねません。
あわせて、敷金が前オーナーから新オーナーへ正しく引き継がれているかも確認しておきます。引き継ぎが行われていない場合、入居者への敷金返還を新オーナーが自己資金で対応する事態に陥ります。
退去後に必要となる主な作業と費用項目は以下のとおりです。

  • ハウスクリーニング費用
  • 壁紙・床材の張り替え費用
  • 設備(エアコン・給湯器など)の修繕・交換費用
  • 鍵交換費用
  • 引越し前のリフォーム費用

想定外の損傷が見つかる可能性もあるため、資金計画にはある程度の余裕を持たせておくことが大切です。

オーナーチェンジ物件に自分で住む5つのメリット

オーナーチェンジ物件に自分で住むメリットはさまざまですが、以下の5つが主要なメリットとして挙げられます。

  • 住むまでの間、家賃収入を得られる
  • 相場より割安で購入できるケースがある
  • 将来の売却時に節税特例を適用できる
  • 相続税評価額を下げられる可能性がある
  • 一棟物件ならオーナー居住で管理しやすくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住むまでの間、家賃収入を得られる

オーナーチェンジ物件には購入時点で入居者が住んでいるため、自分が住み始めるまでの期間は家賃収入を受け取り続けられます。
通常のマイホーム購入では物件取得後に収入が発生することはなく、ローン返済や管理費の支払いはすべて自己資金から拠出する形になります。一方のオーナーチェンジ物件であれば、入居者からの家賃をローン返済・管理費・修繕積立金などの支出に充当することが可能です。
入居者の退去時期までという期間限定ではあるものの、住宅取得にともなう毎月の負担を軽減できる点は大きな魅力といえるでしょう。

相場より割安で購入できるケースがある

オーナーチェンジ物件は、周辺の同条件物件と比較して割安な価格で売り出されているケースが少なくありません。
賃貸需要が低い立地、たとえば駅から離れたエリアや郊外の物件は、投資用としての利回りが伸びにくいため売却価格も抑えられがちです。自分が住む目的であれば賃貸需要の高低はそれほど問題にならないため、立地条件を妥協できる方にとっては割安購入のチャンスになります。
売主が早期売却を望んでいる場合は、指値交渉でさらに価格を引き下げられる可能性もあります。ただしすべてのオーナーチェンジ物件が安いわけではないため、購入前に周辺相場との比較は欠かさず行いましょう。

将来の売却時に節税特例を適用できる

オーナーチェンジ物件に自分が住むことを選ぶと、将来売却する際に居住用財産向けの節税特例を活用できます。
代表的なのが居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除です。譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、売却益が出ても税負担を大きく抑えられます。さらに所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得として優遇税率が適用され、税額がいっそう軽減されます。
収益物件のまま保有していると上記の特例は使えません。自己居住に切り替えることで初めて適用対象になる点は、長期的な資金計画を立てるうえで覚えておきたいポイントです。
関連記事:不動産投資でできる税金対策は3つ!不動産投資の節税メリットとデメリットを紹介!

相続税評価額を下げられる可能性がある

自己居住用の不動産として保有することで、相続発生時の相続税評価額を引き下げられる可能性があります。
相続した宅地が一定の要件を満たす場合、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)が適用され、評価額を最大80%減額できます。投資用として保有し続けるよりも、自己居住に切り替えた方が相続税の負担を軽くできるケースもあるわけです。
将来的にご家族へ物件を引き継ぐ予定がある方にとっては、相続対策の選択肢としても検討する価値があります。
出典:国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

一棟物件ならオーナー居住で管理しやすくなる

アパートや一棟マンションのオーナーチェンジ物件であれば、自分も住みながら他の部屋を貸し出す賃貸併用住宅スタイルの運用が可能になります。
オーナーが同じ建物に住んでいると、入居者からの設備トラブルや近隣の騒音問題に即座に対応できます。共用部の清掃状況や設備の劣化具合も日常的に目視で確認できるため、管理品質の向上にもつながるでしょう。
物件を自主管理しているオーナーにとっては、管理会社へ委託する手数料を抑えられる副次的なメリットも見込めます。

オーナーチェンジ物件に自分で住む4つのデメリット

オーナーチェンジ物件への自己居住にはメリットだけでなく、以下の4つのデメリットも存在します。

  • 購入後すぐには住めない
  • 住宅ローンが使えず金利が高い
  • 減価償却費の計上ができなくなる
  • 購入時点で室内を内見できない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

購入後すぐには住めない

オーナーチェンジ物件は購入してもすぐに自分が住める状態にはなりません。入居者が退去するまでは新オーナーであっても部屋を使用できないルールになっているからです。
定期借家契約であっても残存期間が長ければ、その分だけ待機期間が発生します。普通借家契約の場合は退去時期そのものが読めず、住宅取得のスケジュールを組み立てづらい点もネックです。
転勤や子どもの進学などで入居時期が決まっている方には不向きな選択肢といえます。すぐに住みたいのであれば、通常の中古住宅や新築物件を検討した方が無難でしょう。

住宅ローンが使えず金利が高い

オーナーチェンジ物件は収益物件として扱われるため、原則として住宅ローンを利用できません。購入資金を借りる場合は不動産投資ローンを組むことになります。
両者の金利水準を比較すると以下のような差があります。

ローンの種類 金利相場
住宅ローン 約0.5〜1%
不動産投資ローン 約2〜3%

1〜2%程度の金利差は、長期返済では総返済額に大きな影響を与えます。購入後に自己居住へ切り替えても住宅ローンへの借り換えは原則として難しいため、最初から投資ローン前提の資金計画を立てておく必要があります。
なお自己居住を装って住宅ローンを利用する行為は不正行為に該当し、金融機関から一括返済を求められる恐れがあります。絶対に避けましょう。
関連記事:不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて!不動産投資は住宅ローンが使えない!

減価償却費の計上ができなくなる

賃貸用途から自己居住用に切り替えると、建物部分の減価償却費を経費として計上できなくなります。
減価償却とは、建物などの資産価値を耐用年数に応じて分割計上していく会計処理です。賃貸経営中は経費として節税に活用できますが、自己居住に変えた瞬間から事業用資産ではなくなり、計上対象から外れます。
一棟物件であれば自宅として使う部屋の分、区分マンションであれば全額が計上不可となります。節税効果が薄れる前提で収支シミュレーションを組み直しておきましょう。

購入時点で室内を内見できない

オーナーチェンジ物件は入居者が居住中の状態で売買されるため、購入を決める段階で室内を内見できません。
外観や共用部の状態は確認できても、肝心の部屋の中は写真や図面で判断するしかありません。退去後に予想以上の汚損や設備故障が発覚するリスクは常につきまといます。
トラブルを避けるためにも、修繕履歴や設備の交換時期を前オーナーへ細かく確認しておくことが大切です。リフォーム費用も多めに見積もり、手元資金に余裕を持たせた状態で購入に臨みましょう。

オーナーチェンジ物件購入前に確認すべき5つの注意点

オーナーチェンジ物件を購入してから後悔しないために、以下5つの注意点を事前にチェックしておきましょう。

  • 敷金の引き継ぎ状況を確認する
  • 入居者に問題がないか情報を集める
  • 売却理由を事前に調べる
  • サブリース契約の有無を確認する
  • 正当事由と立ち退き料の関係を理解する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

敷金の引き継ぎ状況を確認する

オーナーチェンジ物件を購入すると、前オーナーが入居者から預かっていた敷金の返還義務もまとめて引き継ぐ形になります。
入居者が退去するタイミングで敷金を返金するのは新オーナーの役割となるため、売買契約時に敷金相当額を前オーナーから受け取っているかどうかを必ず確認しましょう。受け取りが漏れていた場合、退去時の返金は新オーナーの自己資金から捻出する事態に陥ります。
売買契約書や重要事項説明書に敷金の引き継ぎ条項が明記されているかを、契約締結前にチェックしておくと安心です。

入居者に問題がないか情報を集める

オーナーチェンジ物件では入居者の個人情報がプライバシー保護の観点から開示されにくく、購入後に問題のある入居者だと判明するケースもあります。
開示可能な範囲で、以下のような情報を前オーナーや管理会社へ確認しておきましょう。

  • 家賃の滞納履歴の有無
  • 近隣住民とのトラブル発生状況
  • 契約違反(無断ペット飼育・無断同居など)の有無
  • 入居期間と過去の更新回数

入居者トラブルそのものが売却理由になっているケースもゼロではありません。少しでも違和感があれば購入を見送る判断も必要です。
関連記事:不動産投資における物件の探し方!失敗しないための判断基準を解説

売却理由を事前に調べる

前オーナーが物件を手放す理由には、購入後のリスクを判断するうえで重要なヒントが隠れています。
代表的な売却理由とリスクの大きさをまとめると、以下の通りです。

売却理由 リスクの目安
不動産投資からの撤退 低
物件の買い替え 低
相続した不動産の現金化 中
キャッシュフローの悪化 中〜高
入居者トラブル・建物の不具合 高

売主は不利な情報を進んで開示しない傾向があるため、不明点は遠慮せず質問していくことが大切です。仲介する不動産会社にも背景を確認し、複数の情報源で裏付けを取りましょう

サブリース契約の有無を確認する

オーナーチェンジ物件のなかには、サブリース契約が付いている物件も存在します。サブリース契約とはオーナーがサブリース会社へ物件を一括で貸し出し、サブリース会社が入居者へ転貸する仕組みのことです。
サブリース契約が付いている場合、入居者との直接的な契約関係はサブリース会社が持っているため、自己居住に切り替えるにはまずサブリース契約を解除しなければなりません。解除には特別な手続きや違約金が発生するケースもあり、自己居住までのハードルが一段上がります。
購入を決める前にサブリース契約の有無と、解除に必要な条件・費用を必ず確認しておきましょう。
関連記事:家賃保証してくれるサブリース契約とは?メリット・デメリットと注意点を紹介

正当事由と立ち退き料の関係を理解する

普通借家契約の入居者に退去を求める場合、オーナー側には借地借家法上の正当事由が必要になります。「自分が住みたいから」という理由だけでは正当事由として認められにくいのが実情です。
正当事由の有無は、オーナー側の使用必要性と入居者側の生活への影響を比較衡量して判断されます。オーナーの理由が弱いほど、立ち退き料を積み増して合意を得る必要があり、交渉が長期化するほど費用も膨らんでいきます。
借地借家法は入居者保護の色合いが強く設計されている法律です。「お金を払えばすぐ出ていってもらえる」といった楽観的な見込みは持たず、長期戦になる前提で資金とスケジュールを準備しておきましょう。
出典:法務省|借地借家法の更新拒絶等要件に関する調査研究報告書
関連記事:不動産投資と住宅ローンは両立可能?成功させるポイントなどもあわせて解説

まとめ

オーナーチェンジ物件に自分が住むことは法律上も実務上も可能ですが、通常のマイホーム購入とは異なる手順とリスクを正しく理解したうえで動くことが欠かせません。
まず最初に取り組むべきは、対象物件の賃貸借契約の種類と内容を把握する作業です。契約形態がわかれば、退去までにかかる時間とコストの全体像が見えてきます。

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