新築アパートの不動産投資でよくある失敗例は?メリットやリスクと対策について解説
- 新築アパートの不動産投資はむずかしい?
- 不動産投資で新築アパートを選ぶメリットは?
- 不動産投資を成功させるためには何に気をつければいい?
新築アパートは、設備の充実や、築浅なので修繕がまだまだ先で済むなど、不動産投資をする際のメリットになる要素が多いように思えるでしょう。
しかし「新しいから良いだろう」と安易に物件選びをしてしまうと、収益を出せずに苦労するリスクが潜んでいます。
不動産投資を成功させるためにも、よくある失敗例と一緒に対策方法を考えましょう。
この記事でわかること
- 新築アパートの不動産投資でよくある失敗例
- 新築アパートのメリットとデメリット
- 新築アパートの不動産投資を失敗しないための対策方法
目次
新築アパートの投資物件でよくある失敗事例
新築アパートは、入居者がまだ誰もいない状態の物件のため、すぐに入居者が見つかり安定した収益を得られると考えられています。
しかし、実際には見落とされがちな落とし穴にはまって、不動産投資が失敗に終わるケースが多くみられるので、注意が必要です。
ここでは、新築アパートの不動産投資でよくある失敗事例について解説します。
入居者が集まらない
新築アパートの最大の問題点は、過去のデータがない点が挙げられます。
中古アパートの場合、築年数による老朽化や経年劣化などの問題がありますが、立地や間取り、広さなど条件によって、需要がどのように異なるのか把握できます。
一方で、誰も住んでいない新築アパートでは、周辺の類似物件データをもとにしたシミュレーションでしか収支計画が立てられません。
シミュレーションを間違えると、必要な資金を用意できなかったり、空室率が高いままになったりして不動産投資に失敗してしまいます。
節税対策のつもりが赤字になった
節税のために不動産投資を始めたものの、見切り発車で計画性がなければ、節税どころか負債が生まれてしまいます。
不動産投資のために購入した物件の減価償却費を計上すれば、税金のうち住民税と所得税を節税できます。
新築アパートの場合、築年数が経過していないので、中古アパートよりも計上できる減価償却費が高くなるため、節税効果が高いです。
しかし、減価償却費を計上できる期間には限度があり、一定期間を過ぎると節税効果がなくなります。
その後は、売却もしくは賃貸経営を続ける必要がありますが、適切なメンテナンスをしなければ資産価値が低下するでしょう。
その結果、購入希望者も入居希望者もみつからずに、管理負担や金融機関への返済義務だけが残り、不動産投資に失敗してしまいます。
物件トラブルによる需要の低下
新築アパートは、過去に入居者がいないからこそ、物件の抱えている問題に気づけないまま、購入してしまうケースがあります。
実際に、入居者が入ってから発覚する物件トラブルは、以下のとおりです。
- 隣の人の生活音が聞こえる
- 床と天井が薄い
- 近くに工場があって悪臭がする
- 道路に面していて窓を開けると排気ガスが入る
中古アパートであれば、過去の入居者から入ったクレームや意見をもとに物件選びができます。
その結果、騒音や悪臭など入居者が敬遠しそうな条件があれば、購入を見送る判断材料になります。
しかし、過去に入居した人のデータがなければ、物件情報や内見時だけで、判断しなければなりません。
数千万円ほどかけて購入した物件を、簡単に手放せないからこそ、新築アパートの購入判断は慎重にならなければなりません。
新築アパートの投資で実際にあった失敗事例
ここでは新築アパートへ投資した失敗事例を2つ紹介します。
新築というブランドだけで購入してしまった
やはり新築と聞くと多くの方が魅了されますが、実際の利回りなどを判断しないで購入してしまい、利益が思ったより出なかったという失敗事例です。
入居者は新築や築浅物件を好む傾向にあるため、高い入居率を維持することができます。
しかし利回りが低いため大きな利益を得ることができず、結果借入返済に圧迫されて売却せざるを得ない状況になったという方も少なくありません。
築5年も過ぎると新築というブランドがなくなり、なおかつ新たなアパートが建築されてしまうため、新築だけで購入するのは非常に危険です。
空室が少し出ただけで赤字になった
新築アパートは投資額が大きいため、少しでも空室が出ると赤字になったという事例です。
家賃7万円の6世帯アパートを金融機関の融資で投資し、毎月30万円の返済額となったため、2世帯空室が発生した時点で赤字になってしまったというケースもあります。
新築アパートは高い入居率になりがちですが、物件の立地や退去時期が悪いと空室期間も生まれてしまいます。
不動産投資に新築アパートを選ぶメリット
新築アパートの不動産投資でよくある失敗事例をみて不安を感じた方も多いかもしれませんが、もちろんメリットもあります。
ここでは、新築アパートの不動産投資で新築アパートを選ぶメリットについて解説します。
新築需要が高い
一般的には、築古物件よりも新築物件や築浅物件のほうが人気が高いので、空室リスクを抑えられます。
新築アパートが人気な理由には、清潔感のほかに設備の充実が関係しています。
とくに、防犯カメラやオートロックなどセキュリティシステムがしっかりしている新築アパートは、一人暮らしの人たちからの需要が高いです。
実際に、中古アパートの入居者探しでは広告掲載が必要になるケースもありますが、新築アパートの入居探しでは、そういった手間もかかりません。
ランニングコストが安く済む
新築アパートは、建築されたばかりのため、約10年以上は大規模修繕の必要がなく、数年以内に設備不良が起きても保証で対応してもらえる可能性が高いです。
こういった理由から、中古アパートと比べて新築アパートは、修繕費や維持費などのランニングコストを最小限に抑えられます。
賃貸物件の経年劣化による不具合や色褪せなどの老朽化は、所有者がメンテナンスや修繕費を支払わなければなりません。
中古アパートを安く購入できても、運用開始から数年以内に修繕費がかかるケースがあるため、その点において新築アパートのほうが優れています。
建築設計の自由度が高い
ゼロから新築アパートを建てるのであれば、デザインや間取りなどの建築設計を自由に提案できます。
土地の広さや地域のルールによって制限はありますが、入居者のターゲット層や所有者の好みにあわせた建築が実現できます。
見た目のほか、楽器を自由に弾ける防音性の高い部屋、厳重なセキュリティシステムの導入など、ほかのアパートとの差別化ができれば、家賃を高くしても入居者がみつかりやすいでしょう。
融資に通りやすい
中古アパートと比べて新築アパートは、金融機関の審査で有利になりやすいです。
不動産投資のための物件ローンでは、契約者の支払い能力のほか、物件の収益性が重視されます。
この収益性について、中古アパートは過去の入居率や賃料をベースに審査されます。
一方の新築アパートは、過去データの代わりに、立地や設備など物件条件に対する推定家賃に対して収益性を判断するため、審査に通りやすいです。
節税効果が長い
新築アパートは減価償却できる期間が長いため、長期間にわたって所得税や住民税などを節税することも可能です。
減価償却とは、建物の資産価値が目減りして額を法定耐用年数期間経費計上できる会計上の項目です。
例えば木造アパートの本体価格が4,400万円の場合、法定耐用年数は22年であるため、毎年220万円ずつ経費にできるということです。
すなわち所得が220万円以下であれば、所得税などは課税されません。
さらに減価償却費などを差し引いた所得が赤字の場合、他の所得と相殺できる損益通算も可能となるメリットがあります。
法定耐用年数は以下の表の通り定められています。
|
木造 |
軽量鉄骨造 |
重量鉄骨造 |
鉄筋コンクリート造 |
法定耐用年数 |
22年 |
19年 |
34年 |
47年 |
なお、中古住宅の場合は以下の計算式で算出します。
取得時の耐用年数=(新築時の耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2 |
例えば築15年の木造アパートを購入した場合、「取得時の耐用年数=(22年-15年)+ 15年×0.2=10年」となります。
比較してわかる通り、新築時の方が経費計上できる期間が長いです。
不動産投資に新築アパートを選ぶリスク
不動産投資で新築アパートを選べば、設備の充実度や築年数の浅さを理由に、入居者を集めやすいといわれていますが、多くの失敗事例があるとおりリスクも伴います。
ここでは、不動産投資で新築アパートを選ぶリスクと対策について解説します。
初期費用が高い
新築アパートは中古アパートと比較して初期費用が高額です。
物件の規模やグレード、施工会社にもよりますが、5,000万円から1億円近い価格が多い傾向にあります。
自己資金のみで初期費用を支払おうとしても現実的ではない場合は、金融機関の融資を活用しましょう。
返済義務が発生しますが、近年は低金利が続いているため、物件の魅力をアピールして安定した家賃収入が得られれば、利回りも高く維持できます。
運用開始まで時間がかかる
新築アパートを土地から探してゼロから建築するとなれば、賃貸経営を始めるまでに1年以上かかる可能性があります。
一方の中古アパートであれば、すでに既存物件を購入するので、売買取引が成立すれば、すぐに運用が開始できます。
土地選び、設計、建築の進捗確認、入居者募集などやるべき項目も多くなるため、仕事をしながら不動産投資をしようと考えている人には負担になりやすいです。
デメリットはありますが、明確に差別化された要素のある新築アパートが建てられれば、運用開始から収益率を高く維持しやすくなります。
また、管理会社に委託すれば、最小限の手間で運用できるので、利回りのシミュレーションをしながら金銭で解決する方法も有効です。
新築ブランドの付加価値がなくなる
「新築」の定義は明確化されていませんが、一般的には「建築完了から1年以内」かつ「誰も住んでいない住宅」を指しています。
そのため、最初の入居者に対しては、新築アパートとしての付加価値でアピールできますが、それ以降は、通常のアパートとして売り出さなければなりません。
新築を理由に相場よりも高く家賃設定していた場合、入居率を下げないためにも、将来的に家賃の見直しが必要になる可能性もあります。
新築物件の付加価値がなくなっても、セキュリティやシステムキッチンなど設備を充実させれば、物件の価値を高く維持できます。
新築アパートの不動産投資で失敗しないための対策
新築アパートの不動産投資におけるメリットやリスクがわかったところで、具体的に運用する際に失敗しないため、何から始めるべきでしょうか。
ここでは、新築アパートの不動産投資で失敗しないために抑えるべきポイントについて解説します。
類似物件のリサーチを徹底する
新築アパートは、入居率や家賃の過去データがないからこそ、立地や周辺地域の充実度、治安などの特徴を確認し、類似物件の収益性まで調べましょう。
再開発されたばかりの地域や、これからも多数の物件が建つ予定であれば、人口の増加による入居者の需要も高くなると推測できます。
一方で、周辺エリアの物件の入居率が著しく低いようであれば、不動産投資の失敗につながる恐れがあるため、物件の購入は見送ってもよいでしょう。
差別化した要素を取り入れる
新築アパートの建築設計や設備の選択をする際には、差別化した要素を取り入れると、入居率が高くなりやすいです。
たとえば、防音室のある物件、リモートワークに特化したネット環境の良い物件、天井の高い物件など、さまざまな要素が考えられます。
なお、差別化した要素を取り入れれば、相場以上の賃料にしても空室率が高くならずに、不動産投資の失敗を回避できます。
不動産投資の失敗を回避できるどころか、相場以上の賃料を設定しても入居者が見つかる可能性があるため、高い収益性が期待できるでしょう。
出口戦略を意識して物件を選ぶ
不動産投資の物件を購入する際には、入居率や家賃などの収益性のほか、売却時に取得費以上の利益を生み出せるかどうかも重視するべきです。
このように売却で出る利益を、ビジネス用語では「出口戦略」と呼びます。
新築アパートを築年数の浅さや設備の新しさだけで選んでしまうと、築年数の経過とともに、それらのメリットはすべて価値がなくなってしまいます。
そのため、立地や広さなど、築年数が経過しても資産価値が落ちにくい要素があるかどうかをしっかりと見極めましょう。
また、資産価値が下がる前に売却すれば、手元にまとまった資金が入るため、不動産の買い替えや投資規模の拡大などに発展させられます。
まとめ
新築アパートの不動産投資では、過去の入居者データがないからこそ、思わぬトラブルに見舞われて失敗してしまうケースが散見されます。
新築であれば、清潔感や設備の新しさなどがメリットになり得ますが、初期費用や運用開始までの期間などデメリットもあるので、見極めが必要です。
新築アパートのリスクを抑えたうえで対策しながら、不動産投資の失敗を回避しましょう。
また、不動産投資は物件を買って貸すだけと思われがちですが、実際には融資や税金、空室対策など、幅広い知識と判断が求められます。
塾や会などに参加する事で、基礎から実践的な内容まで体系的に学べるほか、講師や仲間との交流を通じて、リアルな事例や経験談を吸収することができます。
また、一人では気づけないリスクや改善点も、客観的なアドバイスによって早期に気づけるのも大きなメリットです。
安心して第一歩を踏み出すためにも、塾への参加はとても有効な選択だと思います。