不動産投資の注意点とは?リスクに対する対策や不動産投資のメリットも紹介
近年、投資や副業をおこなう方が増えてきていますが、不動産投資に興味を抱く方も多いのではないでしょうか。
安定していて老後の年金代わりにもなる、節税効果が期待できるなど、さまざまなメリットがありますが、注意すべき点やリスクも決して少なくありません。
この記事では不動産投資の概要と、初心者にこそ知ってほしい注意点やリスクへの対策を解説します。
不動産投資のメリットや、成功するためのポイントも紹介しますので、これから不動産投資を始める方はぜひ参考にしてください。
そもそも不動産投資とは?
不動産投資とは、購入した賃貸アパートや戸建て住宅、マンションなどを賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。
不動産の購入にはまとまった資金が必要になるため、金融機関からの融資を利用します。一般的には年収が高くないと取り組めないと思われがちですが、融資の審査は物件の収益性や立地条件、築年数などをベースにおこなわれるため、申込者の年収が高くなくても始められます。不動産投資は結果の予測がしやすく、リスクに対しても適切に対応できれば結果に繋げられるのが魅力の1つです。
だからこそ不動産投資の注意点やリスクを正しく把握し、対処法を学ぶのが重要となってきます。
初心者にこそ知ってほしい不動産投資の注意点
初心者の方が不動産投資に抱くイメージは、むずかしそう、お金がかかる、安定している、リスクが大きい、手間がかからないなど、さまざまかと思います。
ですが実際のところ、不動産投資をおこなう際には必要な事柄や、注意しなければならない点が少なくありません。
まずは不動産投資を検討している初心者の方に、ぜひ知っておいてほしい注意点を解説します。
継続的な勉強が必要不可欠
不動産投資で結果を出すには、不動産投資に関する継続的な勉強が必要不可欠です。
最初は取り組みやすさが重要なので、書籍や動画、webサイトを活用するのがおすすめです。中にはSNSやブログで自分の経験や知識を発信している投資家の方もいますので、参考にしてみるのも良いでしょう。
ある程度学習が進んだら、セミナーや塾などに参加する、不動産投資の経験者から話を聞くなどの方法で、より実践的な知識を幅広く身に付けましょう。
特に経験者の体験談は、本や動画などからでは得られない貴重なものです。具体的なアドバイスをもらえる可能性もあるので、機会があれば積極的に活用してみましょう。
物件選びには入念な調査が必要
物件選びは、不動産投資の成否を左右する重要なポイントの1つです。
どこのエリアや地域の物件を選ぶのか、物件の種類はどうするのか、立地は、築年数は、間取りは、利回りはなど、物件の良し悪しを判断する基準は多岐にわたります。
利回りを重視するなら中古物件のほうが高くなる傾向がありますし、ファミリー層をターゲットにしたいなら間取りの広い物件を選んだほうが、入居者を見つけやすいでしょう。家賃はそこそこでも、入居率の高い物件を選んだほうが利益は安定するかもしれません。
物件にはさまざまな特徴があり、入居者はさまざまなニーズを持っています。
物件選び1つで安定した収入が得られる一方、さまざまなリスクに直面してしまう可能性も出てきます。できるだけ有利な物件を選び、リスクを回避しやすくするためにも、物件を選ぶ際には入念な調査をし、納得したうえで購入するようにしましょう。
物件購入にまとまった資金が必要
不動産投資では金融機関の融資を利用するのが一般的ですが、ある程度まとまった自己資金も必要です。
融資を受けるには頭金が必要ですし、購入手続きには手数料や税金がかかります。手続きを司法書士などの専門家に依頼した場合は、報酬を支払わなければなりません。
一般的に不動産を購入する際に必要となる自己資金の目安は、購入する物件価格の15〜30%程度とされています。たとえば、3,000万円の物件を購入する際は、450〜900万円程度の自己資金を用意できると安心です。
ランニングコストがかかる
初心者の方は、購入時の資金に注目してしまいがちかもしれませんが、物件を運用するにもある程度の費用が必要です。
たとえば、購入後には毎月のローンの支払いが発生します。安定した家賃収入が得られていれば、そこからの支払いも可能ですが、物件の購入と同時に入居者が得られるとは限りません。
物件の管理を委託する場合は、不動産管理会社に委託費を支払う必要があります。突発的に修繕工事が必要になるケースもあるため、ある程度のまとまった運用資金を用意しておくと安心できるでしょう。
完全にほったらかしはできない
不動産投資は不労所得の代名詞ではありますが、ほったらかしにしていると空室対策などが遅れてしまい、新たな入居者の確保が遅れてしまいかねません。
また不動産は老朽化によって価値が低下してしまうため、売却したくても買い手が見つからないケースや、当初の想定よりも売却価格が低くなってしまうケースも起こり得ます。
常に市場や経済の動向を確認してタイミングを見計らっておくなど、日々の備えが大切です。
リスクごとに対策が必要
不動産投資には、以下のようにさまざまなリスクが存在しています。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 家賃滞納リスク
- 倒産リスク
- 修繕リスク
- 災害リスク
- 不動産価値の下落リスク
- 金利上昇リスク
ここからは、それぞれのリスクの概要と基本的な対処法を解説します。
数が多くびっくりしてしまうかもしれませんが、不動産投資に挑戦するのであれば、いずれも避けて通れないリスクです。それぞれのリスクについてしっかり把握したうえで、適切な対処法を学んでおきましょう。
空室リスク
所有物件が空室となり、家賃収入が得られなくなってしまうリスクです。
購入した物件を賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得るのが不動産投資の基本ですので、空室が発生した場合は速やかに次の入居者を募集しなければなりません。空室状態が長くなるほど家賃収入が得られない期間も長くなり、やがては物件の運用に支障をきたしてしまうでしょう。
基本的に物件の入居率は、立地の良さや効率的な募集活動などで対処可能です。立地の良い物件であるほど、物件そのものの魅力が増し、入居者を集めやすくなります。
入居者の募集や空室対策に強い管理会社を委託先に選べば、適切な対策によって空室を解消してもらえる可能性が高まるでしょう。
家賃下落リスク
物件の経年劣化や周辺環境の変化、空室率の増加などによって家賃が下がり、収益が低下してしまうリスクです。
賃貸物件の家賃は、一般的に築年数が1年増えるごとに1%程度下落するとされています。特に築年数が10年以下の物件は1年あたりの下落率が大きくなりがちなので、新築や築浅の物件を購入する際は注意が必要です。
そのほか、地域の人口や需要の変化などの周辺環境や、空室率の高さが要因となるケースもあります。物件のこまめなメンテナンスや施設の充実、空室率を減らす、などが基本的な対策です。
基本的には避けられないリスクなので、できるだけ下落を抑えられるよう日頃から意識しておきましょう。
家賃滞納リスク
入居者が家賃を支払わず、滞納してしまうリスクです。
滞納の多くは、支払い忘れや残高不足などのうっかりミスが原因ですが、中には経済的な問題で支払えないケースや、故意に滞納しているケースもあります。
このような場合は対処が難しく、解決するまでに長期間かかってしまいかねません。最悪は裁判などの法的措置が必要になる可能性もあり、注意が必要です。
根本的な対策は難しいですが、入居時の審査基準を厳しくする方法や、入居時に連帯保証人を求める、家賃保証会社への加入を求める、などの方法が一般的です。
倒産リスク
物件の管理を委託している不動産管理会社が倒産してしまうリスクです。
倒産によって家賃が回収できなくなってしまう、契約書などの重要書類が失われてしまうほか、日々の物件管理が滞ってしまう、といった悪影響の発生が考えられます。
特に家賃については、裁判を起こしたとしても必ず全額を回収できるとは限りません。管理会社を選ぶ際は、できるだけ経営が安定している会社を選ぶように心がけましょう。
修繕リスク
定期的に大規模メンテナンスが必要となるリスクや、突発的な修繕費用が必要となるリスクです。どんな物件であっても建物である以上、経年劣化は避けられません。
新築の物件を購入したとしても、共有設備が故障してしまう可能性はゼロではありませんし、退去が発生すれば原状回復工事が必要となります。都度速やかに対応できるよう、ある程度の修繕費用を盛り込んで資金計画を立てるように心がけましょう。
日々こまめにメンテナンスをするなど、可能な範囲で劣化を抑えるように意識するのも大切ですが、大規模修繕に備えて費用を毎月積み立てておくのも効果的です。
災害リスク
地震や台風など、自然災害によるリスクです。
場合によっては倒壊などの致命的な被害が発生する可能性もあるため、火災保険や地震保険に加入して備えましょう。
物件探しの段階で地域のハザードマップを確認しておき、どのような災害リスクが存在するのかを把握しておくのも大切です。所有物件を1つの地域に集中させず、分散させるのも良いでしょう。
不動産価値の下落リスク
経年劣化などにより建物の資産価値が低下し、売却価格が下がってしまうリスクです。
物件を長期運用して利益を得る不動産投資では、基本的に物件の資産価値低下は避けられません。
すでにお伝えした通り、賃貸物件の家賃は築年数が増加するごとに低下しますが、同時に物件の資産価値も下がってしまいます。
そのため運用期間が長くなればなるほど、購入価格よりも売却価格が下回ってしまうのです。賃貸物件の資産価値は、家賃の高さや入居率に大きく影響を受けます。
そのため対策としては、普段から物件の管理維持に注意を払い、必要以上に家賃が下がってしまうのを避ける方法や、空室対策を強化して高い入居率を維持するなどの方法が効果的です。
金利上昇リスク
金利の上昇によって利息が上がり、ローン返済額が増えてしまうリスクです。
不動産投資ローンの利用期間は20年や30年などの長期に設定されるケースが多いため、返済期間中に景気や市場の変化などの影響を受けて、金利が変動する可能性があります。
金利が上がった場合は、利息が増える分だけローン返済額が増えてしまい、月々の返済負担も増加してしまうので注意が必要です。
月々の返済額は返済期間を長くするほど低くできるので、あらかじめ金利上昇リスクを見越したうえで返済期間を設定しましょう。そのほか、一定期間中は金利が変わらない固定金利の不動産投資ローンを利用するのも対策の1つです。
不動産投資はメリットも多い
不動産投資にはリスクがともないますが、不動産投資だからこそのメリットも決して少なくありません。
ここからは不動産投資の代表的な6つのメリットをご紹介します。
リスクが高すぎない
不動産投資にはさまざまなリスクがありますが、いずれのリスクも対策が可能なうえ、物件選びや管理手法などによってある程度回避できるものです。
リスクは決して低くはないものの、回避不可能なほど高すぎないからこそ、不動産投資は知識や経験を積み重ねによって、安定した利益を生み出しやすくなります。
不動産管理会社に任せっぱなしにするのではなく、主体的に取り組むよう意識しましょう。
少ない手間で収入が得られる
不労所得の代名詞ともいえる不動産投資には、少ない手間で収入が得られるメリットがあります。状況次第な部分もありますが、必要最低限の手間だけで安定した収入が得られるのは、不動産投資ならではの魅力でしょう。
もちろん状況に応じて、適宜空室対策をおこなう、物件そのものを売却して現金を得る、などの重要な経営判断が必要となりますが、企業に勤めるのとは異なり、自分自身で時間を管理できるため、自分の意思や力で時間の余裕を生み出すのも可能です。
節税効果が期待できる
不動産投資は「相続税」「所得税」などの節税効果が見込めます。相続税は現金を不動産などに資産の組み換えを行うことで課税評価額を圧縮することができるため、納税額を抑えることにつながります。
また不動産投資は経費計上できる項目が多いため、所得を赤字申告できる場合もあります。
不動産投資で赤字となった金額に関しては他の黒字所得と合算してトータルの所得を抑える損益通算が可能となるため、所得税や住民税の節税にもつながるメリットがあります。
売却によって借入リスクを軽減できる
不動産投資は高額な融資を利用しますが、売却すれば完済することもできるケースが多いです。もちろん老朽化してから売却すると安値となってしまいますが、築浅物件や10年未満の不動産であれば、高値で売却することもでき、借入の完済はおろか、手元に利益が残ることも多いです。
実際に不動産の売却利益だけを目的に投資している方も多いため、比較的リスクの低い投資方法でもあります。
擬似的な貯蓄としても活用できる
少し複雑な話ですが、ローンを利用する不動産投資は長い目で見た場合、擬似的な貯蓄としての側面も有しています。
たとえば、5,000万円の物件を頭金1,000万円で購入した場合で考えてみましょう。1,000万円分のローンを返済した時点で、この物件を5,000万円で売却できたとしたら、売却のタイミングで返済した1,000万円を受け取るのと同様の結果となるのです。
もちろん購入価格と売却価格が同じケースはまれですが、できるだけ価値が下落しづらい物件を意識して選べば、売却による現金化によって擬似的な貯蓄効果を発揮できます。
レバレッジが効く
レバレッジ効果とは、少ない自己資金で大きな投資効果を生み出す投資効果を指す言葉です。
不動産投資ではローンを利用するため、自己資金を大きく上回る価値を持つ物件を購入・運用できます。
この際、投資する自己資金をより少なく、借り入れる金額をより多くできるほど、自己資金に対して得られる利益が大きくなります。
たとえば、10%の利回りで運用できる3,000万円の物件を、自己資金1,000万円で購入した場合、得られる年間収入は300万円です。
ですが10%の利回りで運用できる5,000万円の物件を、同様に自己資金1,000万円で購入した場合、得られる年間収入は500万円となり、200万円の収入増となります。
このようにレバレッジ効果を活用すれば、より効率的に利益をあげられるのが不動産投資のメリットの1つです。
不動産投資を成功させるには知識と経験が重要
不動産投資で成功するには、専門家の意見を参考にするのが大切です。
不動産投資は物件によって運用方法が異なり、戦略的な判断が求められます。
また人によって成功へのプロセスが異なるため、どれが正しい方法であるか見極めるのが困難な投資方法です。
だからこそ、不動産投資に詳しい専門家のセミナーや塾などに参加し、知識を蓄えて経験を積むことが重要となります。
まとめ
不動産投資は少ない手間でも利益が得られるうえ、節税効果や貯蓄効果が期待できるほか、現金化が可能など、メリットの多い投資方法です。
しかしリスクも相応に存在するため、しっかりと対策をして経営を安定させるよう意識しましょう。不動産管理会社に物件管理を委託できますが、だからといってほったらかしにしてしまうと経営判断が遅れてしまい、リスクに対応しきれなくなる可能性が高まります。
常に市場の動向や物件の状態を確認するなど、自主的な経営を心がけるのが大切です。
これから不動産投資を始める方は、これを機会にぜひ不動産に関するセミナーや塾に参加し、基礎知識を身に付けてから投資をおこなうことをお勧めします。