不動産投資をやめたいときは?途中でやめるべきケースを解説
- 不動産投資をやめたほうがよいケースが知りたい
- 不動産投資を続けたほうがよいケースが知りたい
- 不動産投資をやめる決断が遅くなるとどのようなリスクが生じるのかが知りたい
本記事では不動産投資をしている方に向けて、投資を途中でやめたほうがよいケースや投資を続けたほうがよいケースを解説します。
また、不動産投資をやめる際には早めに決断したほういい理由と、投資で元が取れるまでにどのくらいの年数を要するのかもあわせて述べます。
この記事でわかること
- 不動産投資を途中でやめるのがよいケースと続けたほうがよいケースとの違い
- 不動産投資をやめる際の決断は早いほうがいい理由
- 不動産投資で元が取れるまでの年数
不動産投資を途中でやめたほうがいいケースとは?
不動産投資で想定外の問題が発生し、投資をやめるべきか、このまま続けたほうがよいのかで悩む方が多いです。
しかし投資を途中でやめる際は闇雲にやめるのではなく、やめたほうがいい状況なのかを見極めるのが大切です。
投資を途中でやめたほうがよい3つのケースと、投資を続けたほうがよい2つのケースをそれぞれ解説します。
長期間収支が赤字である
不動産投資を始める際は投資ローンの契約をして、金融機関から融資を受けるのが一般的な方法となります。
月々のローン返済額は家賃をもとに決めていきますが、早く完済するために家賃収入に対しての返済比率を高くして、手元に残るお金を少なく設定する方が多いです。
空室が多くて家賃収入が減ったり、建物の設備の不具合で予期せぬ支出が発生したりして収支がマイナスに傾いた場合、手元に資金がなく経営が赤字になるでしょう。
短期間の赤字であれば問題ありませんが、長期間にわたって赤字が続いており収益が見込めないときは、負債が膨らむ前に撤退を検討するのを推奨します。
物件の管理にストレスを感じている
入居者を増やして家賃収入を得るためには広告や宣伝をしたり、いつでも内見できるようにこまめに清掃したりする必要があります。
入居者を受け入れる準備ができても、月々の家賃を支払える能力があるかを調べる入居前審査が必要です。
審査に通過しなければ入居できないため、実際に入居希望者が入居するまでに時間がかかるでしょう。
入居者を増やす準備とともに、入居者同士のトラブル対応、家賃滞納の対処も同時にする必要があり、想定していたよりも時間と労力がかかります。
初めての不動産投資の場合は、何から対応すればよいのか、管理業務の優先順位がわからずストレスを感じるケースがあります。
物件の運営に対して大きなストレスを抱いている場合も、投資の撤退を検討したほうがいいでしょう。
確定申告が手間と感じる
不動産投資をしている方は不動産所得が生じているため、毎年確定申告が必要です。
確定申告は毎年1月1日から12月31日までの所得に対して、翌年の2月16日から3月15日までの1ヵ月間に申請し、納税や還付の手続きをします。
会社に勤めている場合は、お勤め先の会社で年末調整をすれば、税金に関する業務を会社が代わりにおこなってくれます。
しかし、不動産所得を申告する際は自分で申告する必要があるため、日頃から帳簿をつけて金銭管理したり、書類提出の準備をしたりする必要があるでしょう。
確定申告に慣れていない方だと、申告の手続きや準備に手間がかかると感じて不動産投資をやめる方が多いです。
現状は赤字でも対策すれば利益が上がる見込みがある
経営が赤字になる危機に直面していても、迅速に対処できれば黒字に戻り安定した収入が得られるケースがあります。
例えば、赤字の原因が空室率の高さであれば、入居者の募集条件見直しや共用部修繕、新しい設備の導入で入居者の数が増える可能性が高くなります。
家賃の見直しを検討して収支を立て直す方法で、赤字状態が軽減する状況もありえるでしょう。
ローンの金利が高くて返済が苦しい場合は、繰り上げ返済や低金利ローンに借り換えて月々の支出額を抑える方法も有効です。
このように赤字になっても対策できる箇所がある場合は、入念に対策すると不動産投資が成功する可能性があるため、投資の継続を推奨します。
土地の将来性がある
投資している物件そのものに価値があるかで、投資が成功するかどうかが左右されます。
周辺に大きなショッピングモールができる予定がある、新しい駅が設置されるなどの開発計画がある場所は現在赤字であっても、将来性が見込められるでしょう。
将来性がある地域は、今後人口が増加し、賃貸物件の需要が見込められるため、投資が成功する可能性が高いです。
実際に周辺に商業施設がある場所や交通アクセスが充実しているエリアは、入居希望者が多く、長く住み続ける方が多い傾向にあります。
早めに不動産投資撤退を決断するべき理由と注意点
不動産投資が思うようにいかず悩んでいるときは、撤退すべきかあるいは継続すべきかを早めに決断するのを推奨します。
なぜ早めに撤退すべきかどうかを決断したほうがいいのかの理由3つと、投資を撤退する際の注意点は理解しておきましょう。
時間経過により経済状況が悪化するおそれ
収支が赤字の状態が長く続くと、赤字を少しでも黒字へと近づけるために手持ちの資金から費用を出していく傾向があります。
現金が尽きてしまうとローンを返済し続けるのが難しくなり、返済が滞る可能性があります。
借入額を返済するために新たにローンを借り入れる方法もありますが、ローン支払いの遅延や未返済の履歴があると新たなローンの借り入れが困難です。
もし、ローン返済の遅延が長期間続くと物件が差し押さえられてしまい、競売や公売がおこなわれて、最終的には物件を手放さなければならないです。
不動産投資を早い段階で見切りをつけると、経済的なダメージが抑えられるでしょう。
築年数が経つにつれて不動産の価値が低下する
新築や築年数が浅い物件であれば修繕箇所が少なく済みますが、築年数が経つと建物の老朽化が進みます。
設備が劣化しているにもかかわらず修繕を放置すると、建物の倒壊や修繕に関するトラブルが発生しやすくなります。
トラブルを防ぐために投資者は老朽化した建物や設備を定期的に修理、メンテナンスが必要です。
しかし、築年数が経つにつれて、外壁の塗装や屋根の修繕など大規模な修繕が必要になってくるでしょう。
高額な修繕費をかけて建物の状態を維持していても、売却する際に利益が出ないケースもあります。
もし黒字化できる見込みがないときは、大規模な修繕が必要になる前に物件を手放すと損失が抑えられるでしょう。
売却を決断しても売れるまでに時間がかかる
投資しても利益が出ず、売却して損失を防ごうと考えていても、投資用マンションの売却完了までには時間がかかります。
売却までの時間が長引くと現金化するのに時間がかかるため、撤退するかどうかの決断は早めに決めるのが望ましいです。
一戸建ては売却するまでに約6ヵ月かかります。
マンションは一戸建てよりも早く売却できますが、最短でも3ヵ月かかると認識しておきましょう。
特に、築年数が経っている物件や立地が悪い物件は、購入希望者の数が少なく、さらに時間がかかりやすいです。
もし購入希望者が見つからず安易に売却価格を下げてしまうと、当初の値段よりも安価で売れてしまい、ローンが残ってしまうリスクもあるでしょう。
不動産投資を撤退する際の注意点
不動産投資を撤退するときは、投資ローンの残債がどのくらいあるのか確認しておく必要があります。
投資用物件を購入する際は抵当権が設定されており、ローンを完済していなければ抵当権が抹消されていないため売却できません。
売却価格でローンの完済が可能か、完済が難しいときは自己資金で補えるかどうかを確認してから撤退したほうがいいです。
不動産を売却する際は、仲介手数料や印紙代などの手数料がかかる点も注意が必要です。
諸費用を考えずに不動産売却を進めてしまうと、目標としていた収益に達しておらず支払いが困難なケースがあります。
仲介手数料や印紙代などの諸費用の相場は売却価格の約5%となります。
また、不動産売却で引き渡しが決まったときは、電気とガス、水道のライフラインとインターネット回線の契約は解除してください。
不動産投資で元が取れるまで何年かかる?
不動産投資では、投資している物件の購入額を回収できるまでどのくらいの年数がかかるかを考えるときに、家賃収入の収益のみで計算する方が多いです。
元を取る計算をする際は、ローンの残債や物件を購入する際に費やした自己資金、投資にかかった経費も考慮する必要があります。
元が取れるタイミングは建物の種類や市場経済などの要因で変動します。
不動産投資はどのくらいで元が取れるのか、元を取れるまでの期間を計算する方法は理解しておきましょう。
元が取れる回収の目安は5年~10年
物件を購入する際は融資を受けるための事務手数料と保証料、登記費用、仲介手数料などの初期費用がかかります。
所有してから1年〜2年では収益の確保が見込めず、取得から20年以上の場合は売却価格の不確実性が高くなるでしょう。
不動産売却で得た利益には譲渡所得税がかかりますが、所有していた年数に応じて税率が軽減される措置があります。
所有期間が5年以下で不動産売却して利益を得たときの税率は39.63%であり、所有期間が5年を超えて不動産売却する際の税率は20.315%です。
このように所有期間が5年を超えてから売却すると税率が約半分まで抑えられ、手元に残るお金が多くなるでしょう。
投資用不動産を取得してから5年〜10年の投資運用で利益が出るかどうかが、判断のポイントとなります。
利回りから元が取れるまでの期間を算出する方法
利回りとは物件の購入価格に対して年間の家賃収入の割合がどのくらいかを示した数値となります。
表面利回りから経費を差し引いた実質利回りがわかれば、利回りから元が取れるまでの年数が計算できるでしょう。
100を利回りで除して計算して出た値が元を取るまでの年数であり、例えば利回りが5%のケースだと20年で元が取れる計算です。
利回りから計算する場合は売却益が含まれていない点に注意しましょう。
CCRから元が取れるまでの期間を算出する方法
利回りで計算する方法よりも、元が取れる期間を正確に算出する指標がCCRとなります。
CCRとは自己資金配当率と呼ばれており、自己資金に対してのキャッシュフローの割合で計算可能です。
わかりやすくいうと、投資した自己資金に対して、年間のリターンがいくらかという事です。
1をCCRで除したときにどのくらいで元が取れるのかがわかるでしょう。
CCRが高ければ高いほど、自己資金回収の効率が上がり、CCRが100%だと1年で自己資金を回収でき、25%であれば4年で回収できます。
例えば、1,900万円の投資用物件を150万円の自己資金で購入し、年間10万円のキャッシュフローがある場合、元を取るまでにかかる年数は約15年かかります。
利回りによる計算方法と同様に、売却価格が含まれていないため注意してください。
まとめ
長期間収支が赤字だったり、投資物件の管理が手間と感じたりしているときは不動産投資を途中で撤退したほうがよいケースです。
一方で、現状は赤字でも対策すれば黒字になる見込みがあったり、土地の将来性があったりするときは収益が得られる可能性があるため、投資を続けるのを推奨します。