不動産投資のキャッシュフローとはどういう意味?計算方法や活用方法も紹介!

最終更新日:2024年4月4日
  • 不動産投資でよく聞くキャッシュフローとはどういう意味?
  • キャッシュフロープラス800万とは?
  • キャッシュフローはどうやって計算するのだろう

この記事では、不動産投資のキャッシュフローの意味がわからない方向けに、帳簿の利益との違いも含めて、キャッシュフローを紹介いたします。

この記事でわかること

  • キャッシュフローの不動産投資での役割
  • キャッシュフローの計算方法と計算時の注意点
  • キャッシュフローを活用する方法

キャッシュフローとは?不動産投資での役割

不動産投資でのキャッシュフローとは、家賃などの収入からローンの支払いや経費を引いて、利益(キャッシュ)はどの程度なのかを計算したものです。

不動産投資での現金の流れを示したものではなく、帳簿の利益との違いを理解しておかなければいけません。

帳簿での利益は同じ数字であっても、ローン金利や減価償却費によって、キャッシュフローでの利益は異なります。

帳簿の利益とキャッシュフローの違い

キャッシュフローに記載された利益は、すぐに使える現金を表しています。

一方の帳簿の利益は、取引の成立時点を基準にして、収入や費用を計上したものです。

不動産投資では、取引が成立してもすぐに収入が発生するわけではありません。

ただし、帳簿ではすでに発生したものとして収入を計上します。

例えば、100万円の収入が発生する取引があった場合は、帳簿では利益が発生します。

実際にはまだ現金を受け取っていないためキャッシュフローではまだ利益を計上できず、現金が不足する可能性がある点が帳簿との違いです。

具体的に、帳簿とキャッシュフローとで大きな違いがあるのが、減価償却費です。

減価償却費とは、建物の経年劣化による価値の低下を経費として計上したものを指します。

ただし、キャッシュフローでは減価償却費は考慮しません。

例えば、収入が330万円で、利息を含めたローン返済が120万円、経費が40万円、減価償却費が30万円とします。

帳簿では、収入330万円から、ローンの120万円と経費40万円、そして減価償却費30万円を引いて、利益は140万円です。

キャッシュフローでは減価償却費30万円を引かないため、利益は170万円です。

また、帳簿とキャッシュフローは、ローン返済の計上の仕方も異なります。

帳簿では、ローン返済と利息を分けて計上します。

しかし、ローン返済も利息も同じ現金での支出であるため、キャッシュフローでは元本と利息を合わせて計上します。

キャッシュフロー計算方法と注意点

すでに保有している物件や狙っている物件はどの程度の利益を出せるのかを知るために、シミュレーションをおこなってください。

シミュレーションでどのくらいの利益が出るのかを予想でき、確証を持って投資できます。

空室リスクや価格下落リスクの対策を立てやすくなります。

キャッシュフローの計算方法

キャッシュフローの大まかな流れは、収入ー支出です。

収入は家賃収入、支出はローン返済額と運営経費です。

ただし、実際にキャッシュフローを計算するには、何が収入になるのか、何を支出とするのかを理解しなければいけません。

収入は現金の増加であり、家賃収入の他に敷金の預かりや更新料、礼金の受け取りが該当します。

支出は現金の減少であり、手数料や保険料、各種税金を計上します。

減価償却費は計上せず、青色申告での特別控除額は控除されたあとの税金で計上するため、注意してください。

具体的には以下のとおりです。

  • 物件の購入額
  • 仲介手数料
  • 購入手数料
  • 立ち退き料
  • 司法書士や税理士に支払う報酬
  • 建物を建てるために土地を取得した際に既存の建物を取り壊す費用
  • 火災保険料と地震保険料
  • ローンの元本と利息の支払い
  • 固定資産税や不動産取得税や所得税などの税金

上記を参考に、実際にキャッシュフローのシミュレーションをしてみてください。

キャッシュフローを計算するうえでの注意点

キャッシュフローでは減価償却費を考慮しない点に注意しなければいけません。

不動産投資では、ローンの元本部分の返済が帳簿での減価償却費を超えてしまう、デッドクロスが発生する可能性があります。

デッドクロスが発生すると、所得税を多く払う必要があります。

ローンの元本返済は現金の支出になりますが、帳簿では支出として認められていません。

一方の減価償却費は、現金の支出にはなりませんが、帳簿では支出の扱いです。

減価償却費よりもローンの元本返済が多くなると、帳簿の利益がキャッシュフローと比べて大幅に多くなり、所得税を多く払わなければいけません。

利益を上げたければ、帳簿を参考にして、所得税や住民税の金額も計算しましょう。

キャッシュフロー向上のための賢い物件選び

キャッシュフローは、家賃収入から支出を引いて利益を算出する、計算の流れを示したものです。

このキャッシュフローをプラスにするのが、不動産投資の最初の目標です。

不動産投資で利益を出すには、利益が出やすい物件を選ぶ必要があります。

ここでは、賢い物件の選び方を紹介するので、参考にしてください。

物件の選び方

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の区分マンションの場合は1部屋単位での投資となり、利益は大きくなりにくい傾向です。

一方で木造アパートは、アパート全体が投資対象となり、利益が大きくなりやすいメリットがあります。

よりキャッシュフローを向上させるには、木造アパートがおすすめです。

また、新築物件よりも中古物件のほうが、購入価格が安くなります。

支出を抑えてキャッシュフローを向上するなら、中古アパートがおすすめです。

新築物件はしばらくの間は大規模の修繕が発生するリスクは少ないといったメリットがあるため、よく考えて選びましょう。

アパートの戸数が多いほど、収益が多くなります。

ただし、戸数が多いと維持管理費用も多く、リスクが大きくなります。

支出を抑えたい場合は、戸数が少ないアパートがおすすめです。

エリアの選び方

不動産投資をする際は、エリアも選ばなければいけません。

日本には、首都圏のような流入が多いエリアから、人が少なく入居が望めないエリアまであるからです。

当然ながら、人の流入が多いエリアが、投資対象としておすすめです。

ただし、東京都内への投資はおススメしません。

都心は流入人口が多く、空室リスクが少なく、土地の価値は下がりにくく資産性が高いとの安心感をメリットと考えられる方もいらっしゃるでしょう。

しかしながら、物件価格が郊外と比べて高く、利回り(投資金額に対する利益の割合)が少ないため、キャッシュフローがほとんど出ず、投資効率が悪くなります。

一方で、郊外の物件は価格が安く入手できる可能性が高く、利回りが大きくなるため、投資効率が良いメリットがあります。

ただし、空室リスクが都心と比べて高いデメリットがあるため、しっかりと空室対策を行い安定した収益が得らえるよう努力する必要があります。

ローン返済とキャッシュフローの関係

不動産投資は、手元にどの程度の現金が残るのかを考えなくてはいけません。

そのため、キャッシュフローで手元に残る現金がどの程度なのかを知る必要があります。

空室ができてしまった場合は、空室の分の家賃収入がなくなります。

また、住宅設備の修理交換が必要になった際に、出費が増える際も同様です。

出費が増えると、その分手元に残る現金が少なくなります。

現金が手元になくても、ローンは返済しなくてはいけません。

場合によっては、自分の手持ちからローンを返済する必要があるでしょう。

キャッシュフローによってマイナスになってしまうと事前にわかれば、ローン返済のために現金をためられます。

ローン返済のためにお金をためておく点でも、キャッシュフローは大切です。

金利上昇時のローンにも備える

金利上昇によるリスクにも備えなければいけません。

金利が上がってしばらくすると返済額も増えるため、ローンの返済計画が大きく崩れてしまいます。

金利が上がる前に低金利のローンへの借り換えをおこなえば、影響を減らせます。

キャッシュフローを最大限活用する方法

不動産投資では、キャッシュフローによって利益がどの程度出たのかを知るのが重要です。

ただし、利益を知るだけでは、キャッシュフローを活用しているとはいえません。

最後に、キャッシュフローを活用する方法を紹介するので、参考にしてください。

利益を把握して次の戦略を考える

キャッシュフローによって、利益の金額が把握できれば戦略が立てやすくなります。

例えば、その利益をためたときに、資金がどの程度になるのかも把握できます。

資金状況に余裕があれば、設備投資で入居率を高めたり、事業拡大で利益を上げたりするのもよいでしょう。

反対に、キャッシュフローによって利益が低いとわかれば、ローンを見直して支出を減らしたり家賃を見直したりできます。

出口戦略を有利にする

出口戦略とは、投資していた不動産を売却して、その物件での不動産投資を終える戦略です。

物件は、買い手がつかなければ売却できないため、購入者にとって投資面での安心感を与えなければいけません。

そこで、キャッシュフローを活用しましょう。

キャッシュフローがプラスになり続けているところを見せれば、購入者にとっては利益を出せる優良物件です。

優良な物件は買い手がつきやすく、売却活動もスムーズです。

また、キャッシュフローの成績が良好だと、査定した際にもプラスに働き、売却額も上がります。

生活を圧迫しないかシミュレーションする

会社員と不動産投資を兼ねている場合は、キャッシュフローが回らず給与でローンを返済しなければならないときに、生活を圧迫しないかシミュレーションしましょう。

不動産投資のキャッシュフローで得た利益でローンを支払い、給与収入で生活費を賄っているケースが考えられます。

そうなると、空室リスクによってキャッシュフローがマイナスになったときに、給与収入からローンを支払わなければならず、生活を圧迫します。

ローンを返済してどれくらい利益が残るのかを、キャッシュフローによってシミュレーションするのがおすすめです。

もし利益があまり残らないようなら、ローンの見直しをしたり、物件自体を変えたりする必要があります。

まとめ

キャッシュフローとは、家賃収入から支出を引いて利益がどのくらいになるのかを示した流れです。

実際に利益はどのくらい出たのかがわかり、空室リスクや設備の修理のための対策がしやすくなります。

利益が出続けている流れをキャッシュフローでアピールでき、出口戦略もスムーズです。

関連記事