不動産投資は年金対策に活用できる?検討するべき理由と注意点を解説
- 年金対策として不動産投資が有効とされる理由を確認したい
- 不動産投資の特徴やリスクとは?
- 不動産投資に失敗しないためのポイントがあれば知りたい
年金制度や、老後資金の不足に不安を感じている方は、多いのではないでしょうか。
老後資金の不足に備える方法としては私的年金が挙げられますが、不動産投資も有効とされており、実際に挑戦する方が増えています。
この記事では、年金対策に不動産投資が有効な理由や、不動産投資のリスク、失敗しないためのポイントを解説します。
不動産を始める流れにも触れていますので、不動産投資に興味がある方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 年金対策として不動産投資が有効とされる理由
- 注意すべき不動産投資のリスク
- 不動産投資に失敗しないためのポイント
目次
年金だけでは老後資金が不足するおそれがある
日本人の平均寿命は増え続けており、近年は「人生100年時代」とも呼ばれるようになりました。
ですが100年間の長い人生を送るうえで問題となってくるのが、老後の長さです。
老後が長くなってしまった分、年金だけでは老後資金が不足するおそれがあると言われています。
2024年度の満額受給額は、国民年金が月額6万8000円、厚生年金が2人分で月額約23万円でした。
一方で、65歳以上夫婦のみ無職世帯のひと月あたりの消費支出は、平均で約24万円となっています。
このように、国民年金は言うまでもなく、厚生年金でさえ若干不足してしまっているのが現状です。
ある程度ゆとりのある生活を送ろうとする場合、年金だけでは老後資金が大きく不足してしまう可能性が高いでしょう。
年金対策に不動産投資が有効とされる理由
不足する年金を補う対策として有効とされている手段の1つが、不動産投資です。
なぜ有効とされているのか、まずはその理由から確認してみましょう。
安定的な収入源になり得る
不動産投資の主な収入源は、投資物件の入居者から得られる家賃です。
物件に入居者が住み続けている間は毎月決まった日に支払われるため、非常に安定しています。
年金を補うためには、リスクの低さも大切です。
短期間で大きな利益が出るハイリスク・ハイリターンの投資は、大きく損をしてしまう可能性も高くなります。
その点、入居者さえいれば家賃収入が得られる不動産投資は比較的リスクが低く、安定しているのが特徴です。
年金対策として、うってつけの投資方法といえるでしょう。
貯蓄よりも得られる利益が大きい
現役時代に貯めた老後資金を投資に使うのに、抵抗を感じてしまうかもしれません。
預貯金は使わない限り減りませんが、収益は生みません。
ほんの僅かな利息が得られるだけです。
不動産投資はリスクこそあるものの、対策が可能です。
収入も比較的得やすく、コツコツと資産を積み上げるのに向いているため、資産形成にも役立つでしょう。
手間がかからない
年金自体の受給額は減ってしまうものの、不足分を働いて埋め合わせるのも方法の1つです。
働けるうちはそれでも問題ないかもしれませんが、働けなくなってしまったら生活が成り立たなくなってしまいます。
その点、不動産投資は不動産管理会社に委託するのが一般的で、手間がかかりません。
入居者の募集や共用部分の清掃、家賃の回収など、すべて任せられます。
仮に働けなくなってしまったとしても収益を維持しやすい点は、健康不安を抱えやすい年金受給者にとって、大きなメリットといえるでしょう。
少ない資金でも始められる
不動産投資は物件を購入する必要があるため、大金がなければできないイメージが強いかもしれません。
ですが不動産投資では基本的に、物件の購入資金を不動産投資ローンで調達します。
数百万円の頭金さえ用意できれば問題なく利用できますし、頭金を増やして月々の返済負担を軽くするのも可能です。
仮に赤字になってしまっても損益通算を利用すれば、赤字の分だけ他の収入を減らせるようになるため、節税効果が期待できます。
そもそも不動産投資とは?
不動産投資とは、購入した建物を賃貸物件として貸し出し、収益を得る投資方法です。
賃貸物件と聞くとアパートやマンションを思い浮かべる方が多いかと思いますが、一戸建てや店舗用の物件を購入し、貸し出す方法もあります。
不動産投資の収益は、家賃収入などの継続的な収入(インカムゲイン)が中心となりますが、物件を売却して得る利益(キャピタルゲイン)も重要です。
不動産は経年劣化によって資産価値が失われ、それにともない家賃も低下してしまうためです。
したがって不動産投資では、ある程度の期間まではインカムゲインを積み重ね、最終的に物件を売却して最終的な利益を確保する形が基本となっています。
年金対策として不動産投資を行う際の注意すべきリスク
比較的安全とされている不動産投資ですが、注意すべきリスクがいくつか存在しています。
適切に対処するためにはリスクの内容を理解したうえで、効果的な対策を把握しておくのが大切です。
ここでは特に注意すべき、代表的なリスクを3つご紹介します。
空室リスク
せっかく物件を購入しても、入居者がいなければ家賃は得られません。
つまり空室は、非常に大きなリスクとなります。
短い期間ならそれほど大きな問題にはなりませんが、長引いてしまうと資金繰りが悪化してしまう可能性が高くなりますし、物件の資産価値が低下する原因にもなるため、できるだけ早く対処すべきでしょう。
空室になる原因はさまざまで、原因によって効果的な対処法は異なります。
たとえば周辺の似た物件に比べて家賃が高ければ、適切な値段に調整する必要があるでしょう。
家賃相応の魅力的な設備を充実させるのも、方法の1つです。
適切に対処するためにも、まずは落ち着いて原因を確かめるところから始めましょう。
家賃下落リスク
家賃が下がってしまうと収入も下がってしまうため、こちらも大きなリスクです。
資産価値や需要の低下などが原因で発生しますが、建物の経年劣化や、人口減少などの環境的な問題など、対処が難しいケースも少なくありません。
ある意味で避けられないリスクではありますが、長期間の空室が原因になる場合もあります。
必要のない家賃下落が発生しないよう、日頃からの空室対策が大切になるでしょう。
修繕リスク
建物は、古くなるほどもろくなります。
外観も悪くなるため、物件としての魅力も低下してしまい兼ねません。
このような場合は、修繕工事やリフォームなどが必要になり、大きな費用がかかってしまいます。
このような修繕や、それにともなう大きな支出に対するリスクが、修繕リスクです。
退去にともなう原状回復も、修繕リスクに含まれます。
こちらも避けられないリスクですが、日頃からのこまめなメンテナンスをおこない、建物の劣化を防ぐのが効果的です。
あらかじめ大規模な修繕やリフォームが必要になるのを見越して、費用を積み立てておくのも良いでしょう。
年金対策として不動産投資に失敗しないためのポイント
少ない資金でも始められる不動産投資ですが、ローンを利用して物件を購入するため、失敗してしまうと大きな損失につながってしまうおそれがあります。
できるだけ成功率を高められるよう、これから解説する失敗しないためのポイントを押さえておきましょう。
不動産投資のメリットとデメリットを理解する
これまでお伝えしてきた通り、不動産投資はメリットだけでなく、デメリットもあります。
メリットばかりに注目してしまうと、デメリットに足をすくわれやすくなるため、大変危険です。
逆にデメリットばかりに注目してしまうと、せっかくの不動産投資のメリットが目に入らなくなり、投資そのものに否定的になってしまうかもしれません。
不動産投資におけるさまざまなリスクはデメリットである反面、適切な対処によって投資自体の成功率を高める、必要不可欠な要素でもあります。
効果的に年金対策をおこなうためにも、メリットとデメリットを正しく理解し、適切に対応できるよう心がけましょう。
物件は慎重に選ぶ
不動産投資の中でも重要なポイントの1つが、物件選びです。
立地や周辺環境など条件の良い物件は、入居希望者にとって大きな魅力となります。
入居者も集めやすく、利益も出しやすくなるでしょう。
逆に条件の悪い物件を購入してしまったら、入居者を集めるのが難しくなります。
効率よく年金不足を補うためにも、慌てて物件を購入するのは避け、収益が見込める物件をしっかり見極めましょう。
資金計画を立てる
不動産投資では、さまざまな支出が発生します。
たとえば毎月の支出として、ローンの返済や物件の管理委託費、メンテナンス費用などが発生します。
もし入居者がいない場合は入居者募集の広告費も必要になりますし、退去があれば原状回復費用も必要になるでしょう。
所得税や固定資産税など、各種税金も納めなければなりません。
これらのさまざまな支出を管理し、収入とのバランスを維持しながら物件を運用するには、資金計画が必要です。
不動産投資では、突発的な支出がつきものです。
台風や地震などの被害に遭い、予想していなかった大きな支出が発生しても耐えられるよう、余裕のある計画を立てておきましょう。
不動産投資の知識を身につける
不動産投資では、物件選びなどの不動産に関する事柄だけでなく、お金の流れや税金、物件の管理、法律など、多種多様な知識や経験が必要です。
ですがこれだけの知識を、わずかな期間で身につけるのは難しいでしょう。
とはいえ、知識を持たないまま投資を始めるのは危険です。
失敗してしまった場合の損害が大きくなれば、もともと用意しておいた老後資金まで失ってしまうかもしれません。
できるだけ成功率を高めるために、始める前に最低限の基礎知識を身につけておきましょう。
始めは書籍や、インターネット上のサイトなどでの勉強がおすすめです。
ある程度の基礎が身についたら、セミナーに参加するのも良いでしょう。
不動産投資の塾に入れば効率的に学べるだけでなく、投資経験者から貴重なアドバイスが得られる可能性もあります。
不動産投資を始める流れ
最後に、物件を購入するまでの基本的な流れを簡単にご紹介します。
物件を探す
不動産投資は、購入する物件の候補を探すところから始まります。
エリアや価格、立地、築年数、構造、間取りなどを判断基準として、希望する物件を探してみてください。
学生やファミリー層など、ターゲットとなる客層を決めたうえで探すのも良いでしょう。
周辺環境や、将来的な人口の変化なども大切です。
たとえば再開発計画が予定されていれば、住宅需要が増加するかもしれません。
人口が減少傾向にある地域は、将来的に賃貸需要が低下してしまう可能性があります。
頭金を準備する
購入する物件が決まったら、融資に備えて頭金を用意しておきましょう。
先に頭金を用意してから、物件を選んでも大丈夫です。
不動産投資ローンを利用する場合は、物件価格の1~2割程度の頭金を求められるケースが多いでしょう。
頭金が多いほど審査に通過しやすくなるほか、頭金の分だけ借入金額を減らせるため、月々の返済負担を軽減する効果が期待できます。
基本的には可能な範囲で頭金を増やすのが好ましいですが、物件購入後の突発的な費用への備えも必要になるため、バランスを見て決めましょう。
収支をシミュレーションする
購入前にシミュレーションをおこない、無理なく運営できそうかを確かめておきましょう。
頭金や月々の返済額、空室率などを使って、収入と支出のバランスを確認してみてください。
さまざまなパターンで収支を確認していく中で、それまで気付けなかった思わぬリスクを発見できるかもしれません。
あらかじめ対策を考えておけば、投資の成功率を高められるでしょう。
不動産収入のせいで年金が減る可能性はある?
不動産収入があっても、受け取る年金に影響はありません。
年金を受給しながら働いた場合、給与額に応じて支給される年金が少なくなる、あるいは支給が停止されてしまいます。
この制度を、在職老齢年金といいます。
不動産で得る家賃収入は、自身が働いて得る給与ではなく、不労所得とみなされます。
そのため在職老齢年金には該当せず、年金の受給額が減ることもありません。
ただし、公的年金等の収入合計が400万円以上の場合や、公的年金等以外の所得額が20万円以上の場合は、確定申告が必要です。
家賃収入が20万円を超えている場合は、忘れないようにしてください。
なお、定年退職したあとに配偶者や子供の扶養に入るケースも多いですが、年金と家賃収入の合計が認定基準を上回ると、扶養には入れなくなります。
その場合は控除金額が減ってしまうので、注意してください。
まとめ
安定的な収入源になり得る不動産投資は、年金対策として有効な手段の1つです。
手間をかけずに運営できるため、働けなくなっても収入を維持しやすいメリットもあります。
不動産投資を始める際は、より良い物件を選べるようになるためにも、不動産投資の最低限の知識を身につけておきましょう。
また、不動産投資は物件を買って貸すだけと思われがちですが、実際には融資や税金、空室対策など、幅広い知識と判断が求められます。
塾や会などに参加する事で、基礎から実践的な内容まで体系的に学べるほか、講師や仲間との交流を通じて、リアルな事例や経験談を吸収することができます。
また、一人では気づけないリスクや改善点も、客観的なアドバイスによって早期に気づけるのも大きなメリットです。
安心して第一歩を踏み出すためにも、塾への参加はとても有効な選択だと思います。