不動産投資は年金対策に活用できる?検討するべき理由と注意点を解説

最終更新日:2024年8月28日
  • 年金対策として不動産投資が注目されている理由が知りたい
  • 不動産投資で成功するにはどのようなポイントに注意するべき?
  • 不動産投資で家賃収入を得ると年金の停止や減額もありえる?

 

老後の生活資金に不安を感じている方へ、日本の年金不足の現状と老後資金の重要性を含め、年金対策として不動産投資を検討するべき理由と注意点などを解説します。

 

この記事でわかること

  • 年金制度の現状と老後資金を準備する重要性
  • 不動産投資を検討するべき理由と注意点
  • 不動産の収入が年金に与える影響

年金不足の現状と老後資金の重要性

30332266 M

人生100年時代が叫ばれる日本では、長期化するセカンドライフを豊かに過ごせるかどうか、自分の老後に漠然とした不安を感じている方も多いでしょう。

早めに対策を講じるためにも、まずは日本の年金問題の現状と、老後資金の重要性を確認しておきましょう。

日本の年金問題の現状

日本では少子高齢化が進み、現役世代への社会保障費負担が重くなる一方、高齢者の人口割合が増えて1人あたりの年金受給額は下落傾向にあります。

内閣府によれば、2010年に65歳以上の高齢者1人を現役世代2.8人で支えていたのに対して、2055年には現役世代が1.3人にまで落ち込む見通しです。

また、日本の平均寿命は2020年に男性は81.34歳、女性は87.72歳でしたが、2065年に男性は84.95歳、女性は91.35歳まで延びると推計されています。

現役世代は減少傾向で平均寿命が延びるとなれば、年金制度を支える現役世代の人口比率がますます低くなります。

現状を打開する方法が見つからない限り、年金支給額の減額調整は今後も避けられないでしょう。

 

参照元:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html

年金だけでは老後の生活を満足に送れない

年金問題の実態を知るために、年金受給額がいくらなのか2024年度の例で見てみましょう。

国民年金の場合、20~60歳までの40年間保険料を納付し、満額を受け取る方の受給額は67歳以下なら月額68,000円、68歳以上なら67,808円です。

国民年金のみを受給する対象は、個人事業主、フリーランス、フリーターなどが挙げられますが、この金額で老後資金は到底補えません。

一方、会社員や公務員が加入できる厚生年金の場合は、国民年金よりも受給額は高いです。

平均的な収入43.9万円で40年間働いて受け取る場合の給付水準では、老齢厚生年金、2人分の老齢基礎年金が満額のケースで月額230,483円となります。

ただし、「令和4年家計調査報告書(総務省統計局)」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の場合、ひと月あたりの消費支出の平均は236,696円です。

国民年金は言うまでもなく、厚生年金でも十分な生活費に満たない結果となっています。

 

参照元:

https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf

 老後資金を自分で用意する重要性の増加

現役時代に計画的に老後資金を貯めていた場合は、年金のみでも満足な生活が送れる可能性がありますが、そのような人は一部に限られるでしょう。

一時期、老後2,000万円問題が話題となりましたが、これは「老後30年間で2,000万円不足する」と金融庁が発表した報告書がきっかけです。

こうした背景もあり、年金だけでは老後資金に十分とは言えず、自分で準備しなければならないとの認識が現役世代に広まりつつあります。

老後資金の不足分を用意する重要性が高まり、年金対策として検討されるケースが増えているのが、不動産投資を活用する資産形成の方法です。

参照元:https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

不動産投資を年金対策として検討するべき理由

29316360 M

ここでは、年金対策の一つの手段として不動産投資を検討するべき理由について解説します。

年金制度が不安視される現代では、安心して老後を過ごすための年金対策が不可欠です。

長期的な安定収入や少額資金で始められるなどメリットも多いため、不動産投資が老後の年金対策として注目を集めている理由を理解しておきましょう。

長期的な安定収入が見込める

不動産投資で得られるお金は、入居者から支払われる家賃がおもな収入源です。

家賃は定期的に入ってくるため、入居者が確保しやすい好条件の物件を選べば長期的かつ安定的な収入が見込めます。

株やFXは短期間で大きな利益が出るハイリスク・ハイリターンの金融商品ですが、値動きが激しく、一瞬の判断ミスで大損失を被るケースも珍しくありません。

一方、不動産投資は株やFXより値動きが穏やかで、リスク対策をおこなえば高いリターンが狙えるミドルリスク・ミドルリターンの投資です。

築年数が経って建物の資産価値が落ちた場合でも、入居者がいる限り安定した収入源となります。

貯蓄よりリターンが高い

不動産投資に限らず、完全にリスクのない投資は存在しません。

リスクがない安全な投資として貯蓄する選択肢もありますが、貯蓄はリスクが低い代わりに利息も少なくリターンはほとんど期待できないでしょう。

リターンが得られなければ老後資金を貯めるのは難しく、年金対策には不向きです。

対して、不動産投資の場合は貯蓄よりもリターンを得やすく、高収入も狙えるため資産形成にお勧めです。

事前にしっかりとリスクヘッジをおこなえば、リスクを回避しながら成果につなげられます。

不労所得を得られる

不動産投資で賃貸物件を運営する際、物件の管理は管理会社に委託するのが一般的です。

管理業務や入居者の募集業務を外部に任せられるため、自ら足を運んで対応する必要がないからです。

最初に賃貸用の物件を購入し、入居者に貸し出して家賃が入る仕組みさえ構築してしまえば、あとは特別何かをしなくても毎月お金が入ってきます。

入居者はよほどの理由がない限りすぐには出ていかないため、長期に渡って継続的に不労所得を得られます。

たとえ病気で働けない状況になっても、不労所得が入る仕組みが整っていれば老後資金の不安も和らぐでしょう。

少ない資金で始められる

不動産投資と聞くと多額の自己資金を用意するイメージがありますが、じつは少ない資金でも始められます。

他の投資とは違い金融機関から融資を受けて取り組むことが可能なため、他人資本を使って投資することができます。

まとまった資金を用意する必要がなく、自己資金が少ない方でも始めやすいのが魅力です。

さらに、不動産投資は少ない資金で高額な不動産を取得できる、いわゆるレバレッジ効果が高く、融資を活用すれば自己資金の何倍もの物件を運用できます。

投資に使える予算が同じでも、不動産投資であればより多くのリターンが狙える可能性が高くなります。

インフレ対策になる

インフレになると、好景気で物やサービスの値段が上昇し、お金の価値が下がります。

一方、現物資産とも呼ばれる不動産は、不動産そのものに価値があるため、現金と比較すると価値が下がりにくいのが特徴です。

全体的に物価が上がるインフレ時には不動産価格も上昇傾向にあり、価値が目減りする現金を持つよりも、不動産を購入しておく方がインフレ対策になります。

たとえば退職金が入った場合、現金で保有するとインフレ時に価値が下がってしまいますが、不動産を所有しておけばインフレの悪影響を避けて資産として残せます。

節税対策になる

不動産を運営して赤字になった場合、他の黒字の所得から差し引ける損益通算が可能です。

同一年分のプラスとマイナスを合算できるので、損益通算によって課税所得額が減り、納税額を抑えられる仕組みです。

不動産投資では、減価償却費や固定資産税、ローンの金利、管理費、修繕費などを経費として計算できるため、課税対象となる所得額が減って節税効果を発揮します。

とくに、不動産投資の初年度は初期費用がかさむため赤字になりやすく、高い節税効果が期待できるでしょう。

年金対策として不動産投資をする際の注意点

30658737 M

年金対策に不動産投資は有効な手段ですが、メリットも多い反面、様々なリスクも存在します。

不動産投資を年金対策にうまく活用するためにも、以下に解説する不動産投資をする際の注意点を押さえておきましょう。

不動産投資のリスクを理解する

不動産投資には、空室リスク、家賃下落リスク、金利上昇リスクなど、様々なリスクがともないます。

とくに不動産投資で注意しなければならないのが空室リスクで、不動産運営は入居者がいなければ立ち行かず、収入が入ってきません。

環境の変化により家賃が下落するリスクもあるため、不動産投資は将来性を見据えた地域や物件選びが重要です。

また、不動産投資のためにローンで資金を調達するのが一般的ですが、変動金利でローンを組んだ場合は、金利上昇リスクにも注意しましょう。

物件は慎重に選ぶ

不動産投資で安定収入を得るためにも、物件選びは慎重さが求められます。

老後資金のために不動産投資を始めるなら、年金不足を補える物件でなければ意味がありません。

物件を決める際は、現地に出向いて自分の目で確認し、複数の物件を比較検討してください。

利回りの高さだけで決めてしまうと、思わぬ空室リスクや修繕リスクなどで赤字を招くおそれもあります。

立地条件や利便性をはじめ、築年数や建物の状態、競合物件なども考慮し、安定収入につなげていきましょう。

資金繰りを計画的におこなう

不動産投資は中長期的な投資となり、運営中は様々な支出が発生するため、資金繰りを計画的におこなう必要があります。

収入と支出の計画をきちんと立てなければ、予期せぬ出費があった場合に運営が継続できなくなる危険性があるためです。

物件の購入費用はもちろん、ローンの返済や物件の維持管理費、入居募集費用、リフォーム費用、空室リスクを踏まえた運転資金も支出に含まれます。

また、固定資産税や所得税も発生するため、税金の支払いも忘れずに資金繰りを考えなければいけません。

不動産収入があると年金は減るのか?

20240727 4

不動産収入があっても、受け取る年金に影響はありません。

年金を受給しながら働くと減額になる制度を在職老齢年金といいますが、不動産で得る家賃収入は不労所得となり、在職老齢年金には該当しないためです。

ただし、家賃収入を得ている場合は原則確定申告が必要です。

公的年金等の収入合計が400万円以上の場合や、公的年金等以外の所得額が20万円以上の場合は、税務署への確定申告が必要となるため注意しましょう。

また、定年退職したあとに配偶者や子供の扶養に入るケースも多いですが、年金と家賃収入の合計が認定基準を上回ると扶養には入れなくなります。

結果的に控除金額が減ってしまうため、事前に増税額などを調べておくといいでしょう。

参照元:https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/release/hodo/hodo_24/24kakusihin/pdf/nenkin.pdf

まとめ

年金制度の将来が不安視されるなか、老後資金のための資産形成方法として不動産投資が注目を集めています。

不動産投資は長期的な安定収入や不労所得が期待できるため、年金不足を補い、老後資金の確保に役立つでしょう。

本記事で解説したメリット・デメリットを正しく理解したうえで、不動産投資を上手に活用してください。

 

8d9d8f71aac3e9b7f5785481cdc0178e 1024x193

関連記事