不動産投資の赤字になる原因とは?3つのケースとリスク・節税戦略を徹底解説
- 不動産投資は赤字になるの?
- 赤字になったらどう対処すればいいのか知りたい
- 不動産投資で失敗しない戦略を学びたい
不動産投資は安定した収入が得られると始めても、実際には空室が続いて家賃収入が減ったり、ローン返済額が収入を上回って赤字になったりするケースも少なくありません。
本記事では、不動産投資における赤字の種類やその原因、赤字が続くと生じるリスクについてわかりやすく解説します。
さらに、赤字を防ぐための戦略、赤字を節税に活用する方法までを紹介します。
この記事でわかること
- 赤字の本当の意味とリスク
- 失敗を防ぐための対策と戦略
- 赤字をうまく利用する節税の仕組み
目次
不動産投資における赤字とは
不動産投資における赤字には大きく分けて「キャッシュフロー赤字」と「所得赤字」の2種類があります。
キャッシュフロー赤字とは、物件の収入だけでは借入返済や固定資産税などの支出を賄えない状態で、手元資金が不足したため自己資金から返済する必要がある状況です。
一方、所得赤字は会計上の経費や減価償却費を計上した結果、所得がマイナスになる状態を指します。
しかしながら、所得赤字は所得税や住民税の軽減につながるため節税効果が期待でき、不動産投資の戦略上有効に活用できる場合があります。
ここからは、赤字になる理由について解説していきましょう。
所得がマイナスになる理由とは
所得赤字は、減価償却費などの経費計上によって発生します。
減価償却費は実際の現金支出をともなわないため、キャッシュフローには影響しませんが、税法上の所得計算に含まれるため、課税所得の圧縮が可能です。
家賃収入や駐車場収入などの収入から利子や固定資産税、火災保険料、減価償却費を差し引くと所得赤字が発生し、ほかの所得との損益通算で節税につなげられます。
計画的な経費計上が節税戦略のポイントです。
赤字となるケース
キャッシュフローが赤字になるのは避けなければいけない状態です。
赤字が発生すると資金繰りが悪化し、長期的には物件の価値や金融機関からの評価にも影響するため、早めの対策が必要です。
具体的にどのような理由で赤字になるのでしょうか。
ここでは3つの理由について紹介します。
空室によって家賃が得られない
不動産投資において最も大きなリスクの1つが「空室」です。
賃貸経営は入居者からの家賃収入を前提として成り立つため、空室が発生すればその分の収益はゼロになります。
立地条件が悪かったり、築年数も設備も古かったりする物件では、入居者が見つかりにくく空室リスクが高まるでしょう。
家賃収入が減少しても金融機関への返済や固定資産税、管理費などの支出は毎月発生します。
そのため、空室期間が続くと簡単にキャッシュフローが赤字となり、自身の預金から補填しなければならない状況になるかもしれません。
投資を始める際には、需要のあるエリアを選び、空室対策としてリフォームや適切な家賃設定をおこなう必要があります。
老朽化にともなう家賃下落
不動産投資において避けて通れない課題が「物件の老朽化」による家賃下落です。
賃貸物件は築年数が古くなると、入居者からの人気が下がりやすくなります。
周辺の新築賃貸や築浅物件と比較すると、条件が劣って見えるため、家賃を下げて募集せざるを得ません。
家賃を下げれば当然収入が減り、ローン返済や固定費を差し引いたあとのキャッシュフローが赤字に転落する可能性があります。
さらに周辺エリアに競合物件が建築されると、築古物件はより選ばれにくくなり、空室と家賃下落の二重苦に陥ります。
リスクを回避するためには、購入前から将来的な修繕計画を立て、適切なタイミングでリフォームやリノベーションをおこなうのが重要です。
金利の上昇によって返済額が増える
不動産投資で見落とされがちなリスクが「金利の上昇」です。
金融機関から変動金利で借入している場合、金利が上昇すると毎月の返済額が増えてしまい、赤字になります。
借入返済額は金利の上昇によって増額されてしまうため、キャッシュフローが一気に悪化し、黒字から赤字へ転落する可能性が高まります。
さらに、空室や家賃下落と重なると、自身の預金から補填しなければならない深刻な事態になりかねません。
こうしたリスクを避けるには、金利が上がっても耐えられる余裕資金の確保が大切です。
また、固定金利型への切り替え、低金利の金融機関へ借り換えを検討しましょう。
不動産投資は、収益より返済負担が大きくならないようにするため、金利動向を注視しておく必要があります。
不動産投資で赤字になってしまったときの対処方法
不動産投資でキャッシュフローが赤字になった場合、早急な対処が必要です。
放置すれば預金を取り崩して返済を続けなければならず、資金繰りが破綻するリスクが高まります。
そんなときどのように対処すればよいのか、2つの方法を紹介します。
リノベーションして空室を減らす
築年数が経過した物件は、間取りや設備が時代遅れとなり、入居希望者から敬遠されるケースが多く見られます。
このような場合には、リノベーションなどをおこなって建物のイメージを大きく変える方法が有効です。
古い和室を洋室に変更したり、システムキッチンや独立洗面台など人気の設備を導入したりすれば物件の競争力を高められます。
デザイン性を意識した内装やアクセントクロスを取り入れ、入居者に「住みたい」と思わせる差別化も重要です。
入居率の改善はキャッシュフロー黒字化の近道であり、長期的な不動産投資の成功にも直結します。
ただしリノベーションは工事費用が発生するため、投資額と家賃アップ効果のバランスを考え、工事費用は極力抑えるようにしなければいけません。
工事費用は家賃にも反映するのが一般的です。
高すぎると家賃も高額となり入居者を見つけるのが困難となるため、専門家に相談しましょう。
借り換えによって金利を下げる
不動産投資で赤字を回避する有効な方法の1つが「借り換えによる金利の引き下げ」です。
融資を受けた際の金利が高い場合、そのまま返済を続けると毎月の返済額が大きくなり、キャッシュフローを圧迫します。
しかし、金利が低い金融機関へ借り換えすれば、返済額の軽減により収益性の改善が可能です。
たとえば今借入しているA銀行の金利が2%、借り換え先のB銀行が1.5%であれば、0.5%分安くなります。
ただし、借り換えには事務手数料や保証料などのコストが発生するため、総返済額を比較し、本当にメリットがあるかを精査するのが重要です。
借り換え審査には一定の条件があり、返済実績や物件の収益性もチェックされるため、計画的に準備しましょう。
うまくいけば、毎月の返済額を下げた黒字経営も可能となります。
不動産投資で赤字が続く場合の影響とリスク
不動産投資で赤字が続くと、自己資金の圧迫や生活への影響、資産価値の低下、さらには融資条件の悪化や信用リスクなど、さまざまな問題が生じます。
具体的にどのような影響やリスクがあるのか、見ていきましょう。
自己資金の圧迫と生活への影響
不動産投資で赤字が続くと、キャッシュフローがマイナスになり、ローン返済や固定費を自己資金で補う必要が生じます。
赤字の長期化は、生活資金や貯蓄などを圧迫するため、家計全体に大きな負担をかけてしまうでしょう。
複数物件を所有している場合、赤字物件の負担がほかの物件の収益を圧迫し、全体のキャッシュフローが悪化するリスクもあるため注意が必要です。
また、修繕費や固定資産税、保険料の支払いなど、突発的・織り込み済みの支出が困難になります。
赤字の放置は、資産形成どころか生活基盤そのものを脅かす事態に発展するため、早期の対策が不可欠です。
具体的には、収支の見直しや家賃収入の改善、経費削減、借り換えの検討など、キャッシュフローを健全化する取り組みが求められます。
定期的な現金収支のチェックをし、赤字の兆候を早期に発見し対処するのが安定した不動産投資を維持する鍵となります。
資産価値の低下リスク
赤字が続く物件は、資産価値の低下リスクを抱えているため注意が必要です。
長期間にわたり収益性が悪化すると、物件の市場評価が下がってしまい、購入時より低い価格でしか手放せなくなる可能性があります。
築古物件や設備が古い物件は入居率が低下しやすく、空室リスクによって家賃収入が減少するリスクも頭に入れておきましょう。
周辺に新しい物件が建つと競争力が低下し、資産価値の下落に拍車がかかれば、金融機関での追加融資や借り換えの際に条件が不利になるケースも少なくありません。
このようなリスクを軽減するには、定期的なリフォームやリノベーションで物件の価値を維持し、入居率を高めます。
適切な家賃設定や設備更新、周辺市場の動向チェックなど、計画的な運用が資産価値低下の防止に直結します。
融資条件の悪化と信用リスク
周辺に新しい物件が建ってしまうと、競争力の低下により資産価値も徐々に下がるのが一般的です。
担保としての資産価値が低くなれば、金融機関との関係にも変化があらわれます。
複数物件を保有している場合、1つの赤字物件が全体評価に影響するため注意しましょう。
緊急時の借り換えやリフォーム費用の調達にも悪影響を与えるため、戦略的な資金管理が不可欠です。
赤字リスクは放置せず、収支改善や借り換え、費用の最適化などの対策をこまめにおこない、信用維持と融資条件の安定化を図りましょう。
不動産投資で赤字を防ぐための戦略
不動産投資において赤字を防ぐためには、リスクを事前に想定し、具体的な対策を講じる戦略が欠かせません。
空室や金利上昇などのリスクに備えた戦略の実践により、安定したキャッシュフローと長期的な資産形成を実現できます。
物件選びのポイント
不動産投資で赤字を防ぐためには、慎重な物件選びが重要です。
立地条件や周辺環境などは入居率に直結するため、駅近や商業施設が整った利便性の高いエリアは安定した収益を見込めます。
また、築年数や建物の構造も見落とせません。
築浅物件は初期費用が高めですが、修繕費の負担が少なく空室リスクが低いのが特徴です。
築古物件は購入価格が安く、利回りが高くなる可能性がありますが、家賃下落や修繕費の増加リスクをともないます。
間取りや設備は、ターゲット層に合ったものを選び入居率を高めます。
空室リスクの最小化策
空室は不動産投資で赤字を生む最大の要因となるため、家賃設定の適正化や最新設備の導入などで入居率を安定させましょう。
相場より高すぎる家賃は入居者を逃しやすく、安すぎると収益性を下げてしまいます。
適切なリフォームやリノベーションにより内装や設備を新しくすれば、競合物件との差別化が可能です。
また、広告力や対応スピードの優れた不動産会社を選ぶと入居率は大きく改善します。
ターゲット層を明確に設定し、学生・単身者・ファミリー向けの戦略を取るなどして、空室リスクを最小化しましょう。
融資と返済計画の最適化
不動産投資で赤字を防ぐには、融資条件と返済計画の最適化が重要です。
ローンの返済額が家賃収入を上回ると、キャッシュフローがマイナスになりやすいため、返済比率に余裕を持った計画を立てる必要があります。
金利種類の選択や低金利な金融機関に借り換えなど、返済負担を軽減できれば、年間の支出を大幅に抑えられます。
余裕があれば、繰上げ返済や返済期間の調整も有効です。
返済計画を定期的に見直せば、赤字リスクを最小化でき、長期的な安定経営を実現できます。
継続的な収支管理と改善
収入と支出のバランスを定期的に確認し、赤字の兆候を早期に発見すれば、深刻な資金不足に陥る前に手を打てます。
家賃収入や入居率の推移、修繕費や管理費などを月単位で記録、分析するのが重要です。
収支状況を把握し、不要な支出を削減したり、家賃設定の見直しや付加サービスを導入したりして収入を増やす施策を検討しましょう。
投資は、継続的なチェックと改善の積み重ねによって将来の安定収益とリスク軽減につながります。
赤字を活用した節税対策
不動産投資における赤字は必ずしもマイナス要素だけではありません。
なぜなら、会計上の仕組みを活用すれば、所得税や住民税を抑える効果が期待できるからです。
ここでは、減価償却や損益通算など、赤字を上手に活かした節税対策について解説します。
減価償却を活用した節税
不動産投資において大きな節税効果をもたらすのが「減価償却」です。
建物や設備は年数の経過とともに老朽化が進み、資産価値が低下します。
会計上では毎年一定額を経費として計上できますが、現金の支出ではないため、キャッシュフローには影響せず所得税や住民税の負担を軽減できます。
また中古物件は耐用年数が短く設定されるため、減価償却費を多く計上でき、節税効果が高くなる傾向です。
減価償却は将来的に費用計上できる期間が限られるため、長期的な収支計画を立てたうえで活用しましょう。
赤字の損益通算で他所得と相殺
不動産投資で発生した赤字は、給与所得や事業所得などと損益通算できます。
たとえば、不動産投資で年間100万円の赤字を出した場合、その分は給与所得から差し引けるため所得税や住民税の負担を軽減できます。
とくに減価償却費による赤字は実際のキャッシュアウトをともなわないため、税金だけを抑えられるのが大きなメリットです。
ただし、損益通算には一部制限があり、土地取得のための借入利子などは対象外となる点に注意が必要です。
効果的に活用するには、税理士など専門家のアドバイスを受けながら、ほかの所得とバランスを見て計画的におこなうのが望ましいでしょう。
キャッシュフローと節税効果のバランス
不動産投資では赤字を節税対策として活用できますが、キャッシュフローとのバランスが大切です。
キャッシュフローがプラスであれば、会計上は赤字でも投資は安定的に続けられます。
しかしながら、現金不足が続くと生活資金を圧迫してしまい、投資の継続が困難になるでしょう。
節税効果を狙うためには、毎月の収支がしっかりプラスになるような管理が大切です。
減価償却を積極的に計上する場合は、将来的に計上額が減る可能性を見越し長期的な返済計画を立てる必要があります。
まとめ
不動産投資における赤字は「キャッシュフロー赤字」と「所得赤字」に分けられます。
キャッシュフロー赤字は生活資金に影響するため避けるべきですが、所得赤字は節税効果を活用できる点がメリットです。
赤字の原因には空室、家賃下落、返済額増加などがありますが、リノベーションや借り換え、継続的な収支管理で対策が可能です。
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